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【創世の絆】その奥にあるものを掴め!

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【創世の絆】その奥にあるものを掴め!

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「取り込まれたら水晶化するなんて、珍しい森もあるもんだね」
 くんくん鼻を鳴らしながら、雲入 弥狐(くもいり・みこ)が呟いた。
「森っていうか……ここ、森なのかしら」
 同じく、狐のように耳と尻尾をはやした奥山 沙夢(おくやま・さゆめ)がぽつりと呟いた。
「うん? どういう意味?」
「水晶が花や木みたいな形はしてるけど、これって水晶であって植物ではないわよね……?」
「そういう常識が通用するかどうか、分からないぞ」
 超感覚を持つ二人に先頭を任せていた白砂 司(しらすな・つかさ)が話に割り込んだ。
「地球の常識がパラミタでは通用しないことだってたくさんあったし、ニルヴァーナでも意識を変えておかなきゃ、危ないかもしれません」
 サクラコ・カーディ(さくらこ・かーでぃ)が司を引き継いだ。
「……ここは、かつて森だったんだろうか? それとも、水晶が森の形になったのか……」
 と、司。
「生き物がいない森っていうのは、なんとなく不気味な感じね」
 沙夢がそっと呟いた。
「森がこうなったんだったら、ちょっとヤだな。あんまり、自然な感じじゃないよ」
「そうですね。……たくさんの命をはぐくまないと、森とは言えません」
 獣人同士、弥狐とサクラコが頷き合う。
「以前、ギフトが見付か;つたのはこのあたりだ」
 話を元に戻そうとするように、司が周囲を見回した。
「他のギフトが見つかるかな?」
 尻尾を左右に振って、弥狐が声を上げる。
「動くものは、ほとんど見えないけど……」
 沙夢の鋭い目にも、先ほどから代わり映えしない水晶森の風景が映っているだけだ。ギフトはもちろん、空飛ぶ鳥さえ見かけられない。
「ここで見付けたギフトが誰かの残したものだったら、関係する情報が残されてるかも知れない。ギフトとは何かを解説するような……」
 周囲の風景を確かめる。以前の調査の余韻……足跡や目印のたぐいは、ほとんどそのまま残されていた。
「……このあたりには、もう何もないかも。そんな感じがするわ」
 耳をぴくぴく振るわせながら、沙夢は小さく言った。
「生き物はやっぱりいない……みたいですね。この森の中で、生き物が生き続けるの自体が無理、なのかもしれませんね」
 サクラコが小さく言って、落胆するように下を向いた。
「だが、ギフトはいた」
 司が推測を小さく口にした。
「ギフトなら、この水晶に耐えて生きることができるのかも知れない」
「そういえば、ギフトは生き物なのかなあ?」
 弥狐の素朴な疑問。何とも言えず、沙夢は首をひねった。
「……でも、この水晶化に耐えられるように作られたって考え方はできるかも」
 ギフトが作られた目的……あるいは理由。ほんのわずかにそこに意識を向けて、沙夢は首をかしげた。
「……ひとまず、ここにギフトは見られなかった。あまり長時間、滞在するのはまずい。一度、外に戻ろう」
 司が告げる。一行が頷き、その通りにした。