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26)崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)


崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)が、
悠然と登場して、
トッドさんに恭しく一礼し、見せていた表情は、
質問をされても覆されなかった。
「亜璃珠さんは、
『ムチとハイヒール常備なドSさん』とのことですけれど、
実際にはどのようなことをされるのが理想なのかしら。
具体的に聞かせてくださらない?」
「ごめんなさい、それはきっと公共の電波には乗せられませんわ」
にっこりと亜璃珠は笑う。
「ただまあ……そうね、最近はロープなんかも使うようになったかしら?
ああ別にご心配には及びませんわ、
そこは私なりに空気は読みますから
ここで何かをやらかして、番組や学院の品位を貶めてしまってもいけないでしょう?」
「わたくし、何も心配していませんのよ」
「それは光栄ですわ」
トッドさんが好奇心で瞳を輝かせると、亜璃珠は軽く息をついてゆっくり話し始めた。
「私ね、元々理不尽な暴力はあまり好みませんの、
理に適ったものは大好きだけど。
だからちゃんと責めるだけの理由や立場やシチュエーションが無ければ何もしませんわ。
それかちゃんとそういうのを欲しがっている相手とか、ねえ」
「まあ、合理主義者ですのね」
「あとは……あくまでも自分の力でやりたい、というのもあるかしら。
パラミタの技術があれば、
薬や魔術、呪術の類を使えば何とでもできるとおもうのだけど、
それじゃあ本当に相手の心や身体を支配するとは言えないと思いますの。
ね、相手から心を開いてくれるようにならないと楽しくないわ」
亜璃珠はゆったりと腕を組んで見せた。
「もし使って何かしてるところを見たら……それは完全にお遊びのつもりか、
既に「調教済み」の子だと思っていただいて構いませんわ。
……ただ最近はそういう場面に恵まれませんのよね、
だからついあまーいやり方になっちゃう
まあ、甘いものも大好きだからそれはそれで十分なのだけど」
「ソフトな方面がお好みということ?」
「今、私の述べたことが答えのすべてですわ。

……何にせよ、殆どポーズに近くなってしまっている部分はあるかもしれませんわね。
こうしてインタビューを受けられる程度には顔も広くなったし、
そうなるとあまり目立ってそういった事ができなくなってしまうでしょう?
昔はもっと色々やっていたような気がしますわ。
本当に落としてやりたい人には
そういうのが通じなさそうだっていうのもあるし……」
亜璃珠はトッドさんに再度、にこやかに笑いかけた。
「とりあえずはこんなところかしら?
誰と何をしたいか、してるかまでは内緒ね」
「ええ、結構なお話をありがとうございました」
「どういたしまして」

「そういえば神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)さんとは……」
亜璃珠は紅茶を吹きかけて激しく咳き込んだ。