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23)林田 樹(はやしだ・いつき)

林田 樹(はやしだ・いつき)は、
パートナーの
緒方 章(おがた・あきら)
林田 コタロー(はやしだ・こたろう)
新谷 衛(しんたに・まもる)とともに、
「トッドの部屋」へやってきた。

「どうぞいらっしゃいました」
「ああ、わざわざこうして大勢で呼んでもらってすまない」
樹が、トッドさんにもいつも通りの口調で言う。
「はじめまして、トッドさん。
お噂通りお美しいですね」
「まあ、ありがとう」
章が、トッドさんを淑女として扱う。
「婆さんよろしくな……ごっ!?」
衛のぞんざいな挨拶に、樹の鉄拳制裁が飛ぶ。
「トッド女史に向かってなんたる態度かっ!」
「ふつうにあいさつしただけだろ!?」
「バカモ〜ン!!生放送だぞ!」
「樹ちゃん……」
「ねーたん、まもたん、てれびでるのに、さわいだら、めー、れす」
章がこめかみを押さえ、
カエルのゆる族のコタローが、樹を見上げて注意していた。
「こっ、これは失礼した」
「やめ、まんなかで折れるー!?」
樹は自分も頭を下げつつ、衛の頭を押さえて、無理やり下げさせた。

「あらあら。にぎやかで楽しいわ。
ところで、わたくし、ぜひ伺いたいことがあったの。
樹さんは、以前、バンドを組んで歌を歌われたそうですけれど、
怪音波みたいなんですってね。
せっかくですので、ここで披露していただけます?」
「かいおんぱ、というのは?」
樹がきょとんとする。
「ま、待ってくださいトッドさん!」
章が慌てて割って入る。
「これは、その、とても大勢の方がご覧になる番組なわけですよね。
それはあまりに危険……というか、
契約者でない方の場合は特にその……」
「何の話だ?」
「ええと、その!
公共の電波に乗せるには、あまりにも……。
あまりにも……拙いわけでしてっ」
狼狽のあまり、章はふだんの冷静さを失っていた。
「何言ってるんだ。
せっかくトッドさんからご提案があったのに、
それを無下にする気か?
だいたい、すでに『衛の粗相』のせいで、迷惑をおかけしているんだ。
ここで断れば軍人の名折れ、
教導団に申し訳が立つまい」
「……」
「ひっ、オレ様のせいなのかよ!?」
章が画面に映らないよう配慮して、
「余計なことを……」と書かれた顔で衛を睨みつけた。
「おうたうたうお? ねーたんが? ………………」
「うおっ、こたの助が目を開けたまま気絶してる!?」
衛がコタローを揺さぶる。

「では、どうぞ」
「うわー! こうしている間にトッドさんが樹ちゃんにマイクをー!?」
「なにい!?」
「よし、コホン」
樹が咳払いを一つ。




捕鯨〜♪





防衛〜♪





★☆★




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