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19)小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)

「今回のゲストは、蒼空学園のアイドルにして
西シャンバラ・ロイヤルガードの小鳥遊 美羽さんです」
「みなさん、こんにちは!」
かわいらしいアイドルスマイルで、美羽が挨拶する。
「でも、ずいぶん遅い時刻に放送するのね?」
訝しむ美羽だが、
蒼空学園新生徒会副会長としての活動など、
さまざまなことを説明する。

渋井 誠治さんからの質問です。

好きな食べ物は何ですか?
割とありがちな質問だけど、番組の中で時間があれば答えてくれると嬉しいな。
出身地が違うと食文化も違うだろうし、皆がどんなものが好きなのかちょっと気になったんだ。
パラミタだと地球の料理はなかなか食べられないかもしれないけど、
ここでアピールしておけば空京で流行っていつでも食べれるようになるかもよ?
なーんてね」

「蒼空学園カフェテラスのパフェ!
コハクはミスドのドーナツ、よね?」
「あ、うん」
観覧席のコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が、
いきなり質問を振られて、あわててうなずき、
会場がほのぼのした笑いにつつまれる。

「いろいろありがとう。
実は、美羽さんにぜひ伺いたいことがあったの」
「なに?」
「美羽さんは、『ある特定の空間』では、
『乙女の魔法』で、絶対にスカートの中が確認できないんですってね?
なので、本当は何もお召しでないのかしら、とわたくし考えたの。
その件について、ぜひ詳しく伺えないかしら?」
(こ、このおばさん、静香にも下着のこと聞いてたよね……)
トッドさんの遠慮容赦のない質問に、ひきつりつつも、
美羽はあくまでアイドルらしく振舞おうとする。
「そういうトッドさんはどうなんですか?」
こうして、うまくはぐらかし、
下着に関しての言及を避けるつもりの美羽だったが。

「もしかしたら美羽ちゃんって履いてないんじゃ……」
会場の誰かがぼそりとつぶやいた。

「美羽ってノーパンだったざんすか」
「これはうまく利用すれば儲かるかも……」
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)
ツァンダの町の精 つぁんだ(つぁんだのまちのせい・つぁんだ)が口々に言う。
「美羽は、足技を鍛えるために、きっと動きを阻害する『余計なもの』をつけない作戦ざんす!
ミーもラリアット強化のため、これからノースリーブの服着るざんす!」
「すでにノースリーブだろ。そんなことより、美羽のローアングルの写真を撮るんだ!」
(ぎゃ、逆効果だよ、美羽。
ざんすかやつぁんだが一緒の時空では、
『乙女の魔法』が発動するから、
存在するけど見えないものの証明は難しいし……)
コハクが顔を赤らめながら、
周囲のとんでもない勘違いを是正できないでいた。

かくして、「美羽ちゃんノーパン疑惑」が
噂されてしまうのであるが、
幸か不幸か美羽がそのことを知るのは番組の放送終了後なのであった。