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42)カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)

カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は、
トッドの部屋に出演するに当たり、
人気番組に出られること、トッドさんに負けないようにすることなど、
いろいろ考えすぎて、
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)ともども、
戦場にでも行くのかというほどの重武装で赴いていた。

「カレンさんは、火口 敦(ひぐち・あつし)君と
ご交際をされているとのことですけれど、
どこまで進展されているのかしら?
最近、「第90次性徴」を迎えられたロイヤルガードとしても、
ぜひ、公的なご回答をいただけますか?」

「いやー、まだまだボクなんて半人前だよ。
第100次性徴、
そしてまだ誰も到達した事のないその向こう側に、ボクの目指す所はあるんだから」
火口君のことをいきなり聞かれてうろたえるあまり、
カレンはトッドさんの独特な形の髪型の頭に手を突っ込んで、お菓子を探し始めた。
「ちょっと!何をなさるの!?」
カレンはトッドさんに突き飛ばされた。
「な!?
このボクを突き飛ばすとは、トッドさん、いったい!?」
「ふむ。精神的なものか?」
ジュレが、トッドさんの様子を見て目を細める。

「そんなことより、カレンさん。
火口君との交際は?」
「ああ、うん。火口君とはよく遊びに行ってるよ〜。
新しく見つかった古代遺跡とか、あと誰も足を踏み入れない様な荒野とか樹海とか。
やっぱりお宝探しや魔物退治はワクワクするし楽しいよね〜。
ナラカも案内して欲しいんだけど、なかなか行く機会がなくて」
カレンはニコニコして答えた。
「まあ、健全なお付き合いですのね」
「そう言われると照れちゃうなー」
「だから、わたくしの頭にお菓子はありません!」

「トッド・ブラックウィローよ」
ジュレが、がしゃり、と重低音を立てて向き直った。
「どんな手練の者も、お主の話術にかかると、
精神的なダメージを受けて敗北を認めると聞き及んでいる。
しかし我は機晶姫、
人でないもの故、精神的な攻撃には高い耐性を持つぞ。
我はカレンのパートナーとして
その身を守る事を第一として、戦闘の技術を磨いている。
我は機晶姫の中でも、いわゆる感情と言う物が希薄なようだからな。
この際精神的な攻撃に対する耐性を養う上で、
是非その毒舌を発揮してもらいたい。まぁ我には聞かぬだろうがな」
「ジュレさんは、胸の部分だけ軽量化されているタイプなんですか?」

爆音が響いて、ジュレは倒れた。

「か、完敗だ……」
「早!?」
カレンが駆け寄る。
「大丈夫。これが、ボクたちの貧乳道だよ!」
「彼氏持ちは黙るがいい!
いわゆる『高スペック』というやつなのだろう!?」
「そんなことないって!
胸の薄い者同士、ボクたちはいつも一緒さ!」
「トッドの部屋」であっても、カレンとジュレはいつものごとく漫才するのであった。