リアクション
第十試合 『続いては、真田 幸村(さなだ・ゆきむら)選手対、キネコ・マネー(きねこ・まねー)選手の戦いです。 試合開始早々、異形と化したままの真田幸村選手が轟咆器【天上天下無双】で斬りかかります。キネコ・マネー選手、パシンと猫パンチで槍を払いのけた。 いったん両者距離を取ります。 キネコ・マネー選手、小判投げです。おおっと、真田幸村選手、巧みに槍を大回転させて小判を払いました。 真田幸村選手、キネコ・マネー選手にむかって火を放ちました』 「あち、あちちですらー」 『キネコ・マネー選手、千両箱を守りつつ逃げ回ります。それを、真田幸村選手がつかんで飛びあがり、空中高く放りあげた』 ポヨン。 『凄い、デブッ腹がクッションとなって、キネコ・マネー選手はずみました。無傷です』 「面妖な!」 『真田幸村選手、天上天下無双からビームを放ちつつ猛烈なラッシュ。キネコ・マネー選手、小判でビームを反射するも、槍に千両箱を突き飛ばされてしまいました。けれども、真田幸村選手も反射されたビームで頭の紙風船を貫かれています。相討ちです』 「千両箱があ!!」 『キネコ・マネー選手、あわてて千両箱を拾いに行きます。真田幸村選手、無言でキネコ・マネー選手を一瞥した後、静かに武舞台を去って行きました』 第十一試合 『さあ、ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)選手対、樹月 刀真(きづき・とうま)選手の戦いです。 ルース・マキャフリー選手、銜えタバコはほどほどにしてください。 樹月刀真選手、廃自動車を引きずっての登場です。 では、試合を開始しましょう。 樹月刀真選手、まずは廃自動車を放り投げました。ルース・マキャフリー選手、迷うことなく自動車にむかって、拳銃を撃った。おおっと、跳弾が、樹月刀真選手のブラックコートをかすめる』 「こんな技だってあるんです」 『樹月刀真選手、至近弾をもろともせずに踏み込んだ。銃を持つルース・マキャフリー選手の腕を潰すべく、キックを放つ。ルース・マキャフリー選手、それをキックで迎えうった。下ろす足で、樹月刀真選手の首筋を狙う。 素早く下がった樹月刀真選手の鼻先を、紙一重でルース・マキャフリー選手のキックが通りすぎました。 バランスを立てなおす樹月刀真選手の白の剣に、ルース・マキャフリー選手が集中砲火を浴びせる。ああ、剣が折れた!』 「敵の攻撃力を奪う。後は倒すだけです」 『ルース・マキャフリー選手、至近距離から銃口を樹月刀真選手にむけた』 「月夜!」 『樹月刀真選手、ブラックコートを翻して、一瞬、ルース・マキャフリー選手の視界をさえぎった。ブラックコートに、弾痕が刻まれます。はたして、樹月刀真選手は……。 健在です。素早くコートを脱ぎ捨てて、攻撃を躱していました。いや、樹月刀真選手の手に、光条兵器「黒の剣」が握られています。ああっ、ルース・マキャフリー選手のエンブレムが真っ二つに切られている。 勝負ありました、樹月刀真選手の勝利です』 「はあ!? 負けちゃいましたか。まっ、こういうこともあるわな」 『ルース・マキャフリー選手、ゆっくりとタバコに火をつけて戦闘後の一服です。吸い過ぎには注意してくださいね』 第十二試合 『続いて、曹丕 子桓(そうひ・しかん)選手と、テティス・レジャ(ててぃす・れじゃ)選手の登場です。 相変わらず、曹丕子桓選手、七匹もの獅子を連れています。はたして、テティス・レジャ選手、これをどうさばくか。 さあ、試合開始です。 ああ、やはり、曹丕子桓選手、開幕で獅子たちをけしかけました。それに対して、テティス・レジャ選手が、ホイッスルを鳴らして警告を与えます。その音に驚いたのか、獅子たちが一斉に止まります』 「あなた、この危険動物の飼育許可はちゃんと空京市役所に申請していますか?」 「なんの話なのだ?」 「法律違反ですね。逮捕対象です。七殺の獅子は容疑が晴れるまで没収いたします」 「納得できぬのだ!」 『おおっと、テティス・レジャ選手、ジャスティシアの権限で、法律を盾に獅子たちを一時拘束しました。疑いが晴れるまで、獅子たちは檻から出てくることができません。前回の皇彼方選手の戦いをよく研究していたパートナーのテティス・レジャ選手、しっかりと対抗策を用意してきたようです。 さあ、試合再開です。 いきなりペットを失った曹丕子桓選手、遠当てで自ら攻撃します。テティス・レジャ選手、素早くそれを避けます。 突き出されるコーラルリーフを避けて、曹丕子桓選手が格闘の間合いに飛び込んできました。つかみ合った二人がもみあいとなります。 ああっと、曹丕子桓選手、飛びあがってテティス・レジャ選手の頭に思いっきり頭突きをかましました。って、 こ、これは……』 「し、しまった……」 『曹丕子桓選手、がっくりと膝をつきます。両者相討ちです。 頭突きで、両者の紙風船が吹っ飛びました。 曹丕子桓選手、敵は倒したものの、もののみごとに自爆です』 第十三試合 『さあ、次の戦いに参りましょう。漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)選手対、メイドちゃんこと流竜選手の戦いです』 「刀真も勝ってる……。負けられない」 『おおっと、漆髪月夜選手、パートナーの手前、気合いが入っています』 「まあまあ、お出かけですか? お手柔らかにお願いいたします」 『今大会初試合のメイドちゃん、メイドらしく武舞台を箒で掃き清めながら、にこやかに挨拶をしました。ちょっと不気味です。確か、普段はめどいさんと呼びたくなるような人のはずですが……。 とにかく試合開始です』 「狙い撃つ!」 『漆髪月夜選手、ダッシュローラーを使って相手の死角に入りつつ、マシンピストルで正確な狙撃を……ああっ、すでにメイドちゃんの姿がありません。さっきまでのほほんと掃き掃除をしていたのに』 カチン。 『この音は、仕込み箒の刀身を鞘にしまう音……。いつの間にか、めいどちゃんが漆髪月夜選手選手の後ろにいます。今、はらりと漆髪月夜選手のチョーカーリボンが切れて床に落ちました。漆髪月夜選手の首には、傷一つついていません。 勝者、メイドちゃんです』 第十四試合 『緋桜 ケイ(ひおう・けい)選手の不戦勝です』 第十五試合 『さあ、次の試合が不戦勝ですので、実質第三回戦最終試合となりました。フォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)選手対、ミルゼア・フィシス(みるぜあ・ふぃしす)選手です』 「まだ、この格好をしなければならないのか……」 『フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手、相変わらずゴチメイホワイトのコスプレです。このままこの格好で最後まで貫き通すのでしょうか』 「面白そうな相手ね」 『ミルゼア・フィシス選手が挨拶を交わします。こうなると、黒い鎧のミルゼア・フィシス選手とは対照的です。 さあ、試合を開始しましょう。 フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手、開幕、火球を放ちました。ミルゼア・フィシス選手、なんとそれを真っ二つに剣で叩き斬って防ぎます。 そのまま、一気に剣の間合いへと詰めました。ディザスター・オリジンを、横一線に薙ぎ払います。フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手、後ろに倒れてかろうじてそれを避けました。まさに、偶然助かったという感じです。これは後がないか!』 ちりっ……。 『何かコゲ落ちる音が……。おおっと、炎の聖霊が、ミルゼア・フィシス選手の髪に挿した黒薔薇を握り潰しています』 「あら、忘れてたわ」 「シンボルのことなどすっかり忘れて戦いに没頭していたミルゼア・フィシス選手。まさにフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手を大剣で串刺しにしようとしていたところで、ぎりぎり剣を止めました。寸止めしなかったら、あと一歩で串刺しです。危なかった』 「もったいないわね、本当の戦いでないなんて。……次は、殺し合いましょう?」 剣を引くと、ミルゼア・フィシスがフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』に言った。 『勝者、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』選手です』 第十六試合 『魔導書『複韻魔書』選手の不戦勝です』 |
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