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死いずる国(後編)

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死いずる国(後編)
死いずる国(後編) 死いずる国(後編)

リアクション

 ――そうか。分かった。
 行かなくてはいけない、理由。
 自分が、そうなんだ。
 そしてこれは、試練なんだ。

銃声
AM8:00(タイムリミットまであと16時間)


 ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)が、死んだ。

「アキラあぁああああっ!」
 ルシェイメアは、走った。
 彼女のパートナー、アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)に対しての殺気。
 それを感じ取った瞬間、ルシェイメアに迷いはなかった。

 ダァアアンッ!

「ぐあぁっ!」
「る……ルシェイメ、あ?」
 アキラには、一瞬何が起きているのか理解できなかった。
 ルシェイメアが自分を突き飛ばしたのと同時に、銃声がした。
 一瞬前まで自分がいた所。
 そこに飛び込んだルシェイメアの体が跳ねた。
 血が、舞った。
「え……ルシェイメア?」
「き、気を付けるのじゃ、アキラ。貴様を狙っている、奴が……」
「しゃべっちゃ駄目ヨ!」
 アリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)の言葉に耳を貸さず、ルシェイメアは続ける。
「ワシは……もう十分生きた。この命が、貴様たちのためになるなら喜んで……」
「止めて……止めてくれ、ルシェイメア殿! そんな、まるで死ぬみたいな……っ!」
 アキラの絶叫が、響く。
 その声に、銃声に、アキラたちの周囲に人が集まってくる。
(……ちっ)
 舌打ちしたのは、姿なき狙撃者。

 死に包まれた国、日本。
 その中の、僅かな生き残りであるオヅヌコロニーの面々。
 彼らはハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)からの情報を元に、宝珠を横須賀基地に届ける為に高根沢 理子(たかねざわ・りこ)を中心として基地に向かっていた。
 死人の恐怖。
 そして、彼らの中に交じっているというヤマへの不信。
 悪意渦巻く中、彼らは進む。

 その、微妙なバランスを変えたのは、一発の銃声だった。