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リアクション
「アレナさん?」
「あ、はい」
ユニコルノ・ディセッテ(ゆにこるの・でぃせって)に呼ばれて、アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)は振り向いた。
2人はダンスは踊らずに、テーブルで飲み物を飲みながら、演奏とダンスを観賞していた。
アレナは先ほどからちらちらと、とある人物を見ていた。
「皆、ダンス上手ですね……」
そう言いながら、アレナが再び目を向けたのは――ゼスタ・レイラン(ぜすた・れいらん)だ。
彼は、曲が変わるたびに女性を変えて、ダンスを踊っている。
「気になりますか? ゼスタ様のこと」
「あ……」
ユニコルノの問いに、アレナは視線を彷徨わせた後。こくんと頷いた
「でも、ゼスタ様は優子様の事が好きだと仰ったのでしょう?」
「そうですけれど……」
「なら他の女の子と親しげにしていても、あまり気にしない方が良いです」
ユニコルノの言葉に、アレナはもう一度頷いて。
彼を見ることを止めた。
「外に出ませんか?」
そんな彼女を、ユニコルノはテラスへと誘った。
「はい」
「あ、でも先に行っていてください。直ぐに私も行きますから」
「はい?」
ちょっと不思議そうな顔で、アレナは先にテラスへと向かい。
ユニコルノは荷物を預けてあるクロークへと向かった。
アレナは会場を背にして立ち、外を見ていた。
ユニコルノは後ろ手に隠し持ってきた、ピンクのリボンで可愛らしくラッピングされたプレゼントを彼女に渡して、一緒にシャンバラ宮殿の庭園を見る――。
しばらくして。ふと、視線を感じてユニコルノは振り向く。
遠く、会場の隅から、こちらを――アレナを見ている人がいた。
ゼスタと、ミケーレ・ヴァイシャリー。それから、帝国の龍騎士だ。
直ぐに彼らは目を逸らして、真面目な表情で会話を始めた。
なんだろう。
何か、ひっかかる。
違和感を感じる。
ユニコルノはアレナの手の中のプレゼントに目を向ける。
『ねむり姫』や『ラプンツェル』。
ユニコルノが好きな、その童話の魔女がしたこと、その理由。
物語ではなく、現実ならば。
女の子と魔女は、また違った関係を、そして未来を築くことが出来るのだろうか。
「ユノさん」
アレナが鞄の中から取り出したものを、ユニコルノに差し出してきた。
「お菓子作ったんです。よかったら食べてください」
「ありがとうございます。可愛いお菓子ですね」
アレナがユニコルノに渡したお菓子は、スノーボールクッキーだった。
「はい」
返事をした後、ちらりとアレナは会場を見た。
「……もしかして、ゼスタ様の分も作りました?」
ユニコルノの言葉に、こくりとアレナは頷いた。
「それじゃ、一緒に渡しに行きましょうか?」
そう尋ねると、少し迷った後アレナは首を左右に振った。
「優子さんが、今晩、私の部屋に泊まっていくそうなので。ゼスタさんも一緒に来たら、その時渡します。来なかったら……優子さんに全部食べてもらいます」
「そうですか」
「はい。作ったお菓子は、今日、会ってくれた人にだけにプレゼント、なんです」
少し赤くなりながら、アレナはそう言って、ユニコルノに微笑んだ。
「ユノさん、メリー・クリスマス、です」
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