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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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11)

水上の町アイールにて。
高原 瀬蓮(たかはら・せれん)を誘った
白雪 魔姫(しらゆき・まき)は、
パートナーのエリスフィア・ホワイトスノウ(えりすふぃあ・ほわいとすのう)とともに、
ゆっくりと、街を散策していた。

「観光はのんびりしてなきゃ疲れちゃうものね。
でも、瀬蓮の見たいところがあったら優先するわ。
どこに行きたい?」
魔姫の言葉に、瀬蓮は笑顔で言った。
「えっとね、瀬蓮、せっかくだから、
「繊月の湖」が見てみたいな!」
「そう、じゃあ、湖の周りを歩きましょうか」
魔姫が微笑を浮かべ、うなずいた。

「荷物持ちは、エリスに任せてください!」
「大丈夫?」
「ええ、力だけはありますのでご心配なく」
瀬蓮に気づかわれ、エリスフィアは胸を張った。
「その他にも御用がありましたらお呼びくださいっ♪」
エリスフィアは、一歩下がって、
魔姫と瀬蓮がのんびり楽しめるように配慮している。
また、何か危険なことがあったら、すぐに2人を守るつもりでもあった。

湖の周囲をゆっくりと歩く、瀬蓮や魔姫達の、頬を、優しく風がなでる。
「ヴァイシャリー湖も綺麗だけど、繊月の湖もとっても綺麗だね」
瀬蓮と魔姫は、ともに、百合園女学院に通っている。
ヴァイシャリー湖は、百合園生にとって、親しみ深い場所だ。
「ええ、そうね。
瀬蓮に気にいってもらってよかったわ」
「うん、ありがとうね、魔姫ちゃん」
瀬蓮が、そっと魔姫の手を取る。
「あらあら。でも、どういたしまして」
手を握られて、少し照れた様子を見せた魔姫だったが、
瀬蓮の屈託のない笑みに、自然と笑みを返していた。

「ねえ、そろそろ喉が乾かない?」
「うん、どこかでお茶できるといいね」
「あの喫茶店はどうかしら」
魔姫の提案で、3人は、湖のほとりの喫茶店へと立ち寄った。

お茶とお菓子をのんびりと楽しみながら、
ガールズトークに花が咲く。
「瀬蓮は、今、好きな人とかいないの?」
「ええっと、どうかなあ……。
いろんなことがあったから、それどころじゃなかったのもあるけど。
瀬蓮、まだよくわからないんだ。
魔姫ちゃんは、おねえさんっぽいし、恋愛経験豊富そうだよね?」
「……そんなことないわよ」
魔姫は、どこか遠い目をした。
【リア充、爆発しろ!】と叫んだとは言えない。
エリスフィアが、ちょっとわたわたする。
その様子には特に気づかず、瀬蓮は話題を変えた。
「あ、このクッキー、おいしいね!」
「ええ、そうね。おいしいわね」
そして、3人は、楽しくお茶をして、
ゆったりと、「繊月の湖」を眺めた。

「本当に、こんな時間が過ごせるようになってよかった」
瀬蓮の言葉に、魔姫はうなずいた。
「ええ。瀬蓮が、普通の女の子として過ごせる世界。
こういう時間が、ずっと続くといいわね」