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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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リアクション

8)

ニルヴァーナ中継基地にあるニルヴァーサル・スタジオにて。
ルカルカ・ルー(るかるか・るー)
ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、
金 鋭峰(じん・るいふぉん)を誘い、テーマパークの体験を提案した。
「ニルヴァーナならごった返してるから、顔バレもしづらいかもしれないですよ」
ルカルカの提案通り、団長は、お忍びでやってきている。
もちろん、数人の護衛をつけてはいるが、目立つほどではない。

「ジン、こっちです」
お忍びなので、ルカルカに団長は「ジン」と呼ばれる。
「なかなかのものだな」
巨大なテーマパークを見て、団長は感嘆の声をもらす。

ルカルカに勧められるままに、
絶叫系マシーンにも乗ってみる団長だが。
「これは、応用すれば訓練につかえるかもしれないな」
「そうですか? 私はぜんぜん恐くないですけど」
「ルカの感覚は普通とちょっと違うからな」
「なによ、ダリル。何が言いたいの?」
「別に」
ルカルカに、ダリルが言う。
さっきルカルカ達が乗ったのは、パーク最大の絶叫マシーンだったのだ。

「そういえば、お腹すきませんか?
ハンバーガーなんてどうですか?」
ルカルカが、団長の分もハンバーガーを用意する。
ふだん、ジャンクフードなど食べないだろう、団長に、
いつもはできない体験を、という配慮だった。
「なかなか美味いではないか。
それに、携帯食料としても合理的だ」
片手で食べられるハンバーガーが、団長は新鮮なようだった。

やがて、ルカルカ達は、
イコンシミュレーターの前にやってくる。
「バトルシミュレーターでひとつ対戦と行きませんか。
食後の腹ごなしにでも」
ダリルは、団長が、空京万博に来た時のことを思い出し、言った。
「お。それは見ものかも。
でも、さしものダリルもジンには勝てないと思うんだよねえ」
ルカルカの挑発に、ダリルがあえて乗ってみせる。
「そう簡単に行くと思うなよ。
どうですか、ジン」
団長も、うなずいた。
「ああ、いいだろう。君の実力は一度、間近で見てみたかったところだ」

こうして、団長VSダリルのイコンシミュレーター戦が始まった。
セッティング時に、ダリルが提案する。
「折角だし、特別機のデータをインストールしてソレに乗ってみますか?
それとも、慣れ親しんだ応龍でいきます?」
「君の実力が見たい。お互い、慣れ親しんだ機体で行こう」
「わかりました」

オーソドックスな山岳地帯のマップに、
2機のイコンが出現する。
サブパイロットはAIが担当している。

「いざ!」
「参る!」
団長とダリルの声が交錯する。

2体のイコンは、まずは間合いを詰めぬように遠距離からの射撃を応酬する。
「早い!」
ギャラリーのルカルカの言葉は、団長とダリル、両方に発されたものだ。

「まずは射撃から……だが、少しずつ装甲を削いで行けば、
全体の機動力が落ちていくはずだ」
ダリルが冷静につぶやく。
「そううまくはやらせんぞ!」
「なにっ!」
団長のイコンが、高攻撃力の攻撃を発射したのだ。
「戦況では、先に制したものが勝つ」
「ジン、なかなかやるようだな、だが!」
ダリルが、反撃しようとしたその時。

フィールドに、イレイザー・スポーンが現れた。
「なぜ、このようなものが?」
驚く団長に対し、ダリルは嘆息した。
「ルカの奴……ジン、ここは協力して倒しましょう」
「ああ。わかった」
ダリルと団長は、突然現れたイレイザー・スポーンを、
協力して、一気に片づけた。

シミュレーターから出てきたダリルが、ルカルカの頭を小突く。
「このたんぽぽ頭」
「えへへー。2人の協力するところ、見たかったんだもん」
「たしかに、今回のシミュレーションは、君の実力を知るうえで参考になった。
楽しかったぞ」
団長が微笑を浮かべる。
「ほら、ね」
「何が、ほら、だ。
ジン、こちらこそ光栄です」
ルカルカに突っ込みつつ、ダリルも一礼した。

「いずれ、互いに生身のパートナーを乗せて、手合わせしてみたいですね」
「ああ、そうした機会が来るといいな」
ダリルと団長はうなずきあった。

こうして、ニルヴァーサル・スタジオの楽しい時間は過ぎていった。