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過去から未来に繋ぐために

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過去から未来に繋ぐために
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2章 心の傷


 ヘリワードとリネンが駆る空賊団がブラックナイトの軍勢と衝突した。
 暗雲の下、互いに激しく斬り結ぶ。後方に控える空賊船が一斉に砲撃を行い、ブラックナイトを撃ち落としていく。11機のイコンがサイクラノーシュの装甲表面に取り付き、破壊を開始した。
『無駄だ』
 サイクラノーシュが緩慢な動きで右手を挙げ、掌にエネルギーを集中させた。
 漆黒のエネルギー。【サートゥルヌス重力源生命体】を利用した砲撃が、稲妻の如く空を裂いた。
「くっ……!?」
 漆黒の稲妻が空間を振動させ、蛇のように空賊船に絡み付く。
 全ての空賊船が機関部に直撃を受け、墜落した。空賊船の機関部を破壊してなお暴れ回るエネルギーが地表に降り注ぎ、球状の爆発を巻き起こす。
 一瞬の暗転の後、幾つものクレーターが大廃都の地表に出来ていた。
 ……凄まじい破壊力だ。生身で受けてはまず生還は不可能だろう。
 それでも、不幸中の幸いと言うべきか。重傷者はいるものの、墜落した空賊船に搭乗していた空賊団員は全員無事なようだった。
 一方、サイクラノーシュに取り付いた11機のイコンの内の1機――【コスモス】に虹色の泡が迫りつつあった。
「か、硬すぎるよぉ……!」
 【コスモス】に乗るアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)はアサルトライフルをサイクラノーシュの頭部装甲に連射するが、表面の装甲が少しずつ破損していくばかりで、ほとんど効き目は無い。
 ライフルの連射に集中し過ぎて無防備なコスモスを、虹色の泡が包み込んだ。


■再現された過去■


 虹色の泡に包まれたアリアは意識を過去に飛ばされた。
 気付くと、アリアは裸で牢に囚われていた。
「う、そ……ここは……ああ!?」
 かつて、リヴァイアサンを助けるためパラミタ内海に存在する孤島の施設に向かったアリアは牢獄で囚われ、ゴースト兵に手酷く辱めを受けた。
 忘れたくても忘れることが出来ない、辛すぎる過去。それが今、アリアの眼前で再現されていた。
 武器を持っているかどうか調べるため衣服を全て破かれ、大切な物を奪われ、裸で牢に囚われてしまった過去……思い出したくない経験をアリアは再び味わっていた。
「どうして、こんな……」
 アリアの頬を涙が伝う。
 これが『過去』ならば、アリアはこの後、何日も何度も何人にも辱めを受ける事になる。今まさにゴースト兵に体を弄ばれている苦痛とこの後の拷問の記憶を思い出したアリアは、二重に襲いかかるトラウマに苛まれ、泣き叫んだ。
「いや! いやああああ! い、や、ああああああああ!!」
 何をされるか分かっていても、鎖で身動きは取れない。されるがままにゴースト兵に嬲られるままだ。
「はぁ、はぁ……」
 この後、仲間が服を着せようとしてくれる。ただ被せるだけだったが……それがどれだけ嬉しかったことか。
 だが、すぐにまた囚われの身になった。仲間を助けるためにゴースト兵の気を引き、再び囚われた後は、更に酷い拷問を受けた。
 電流による拷問も辛かったが、壁際に磔にされ、身体のあらゆる箇所を一切隠すことが出来なくされた。敵はおろか仲間にさえ裸を晒された過去は、とても耐えられるものではなかった。
「お願い、もうやめてえええええええええ!!」
 救出されるまで連日連夜の辱めを再び受け、アリアは泣き叫び続ける。


■現在■


 辛く苦しい過去を再び経験したアリアは、完全に戦意喪失してしまった。
 コスモスが機能を停止し、サイクラノーシュの頭部から落ちる。このまま落下し続ければ地表に激突し、死亡する。
 アリアの窮地を救ったのは、ホワイトクィーンだった。ホワイトクィーンは落下するコスモスを間一髪で救出すると、ブラックナイトの攻撃をかいくぐってガーディアンヴァルキリーに着艦した。
『この者は過去の記憶にうなされているようだ。そちらで保護を頼む』
「はぁい、了解ですぅ」
 ミュートが答え、急ぎコスモスを艦内に収容するよう指示を下す。
 ホワイトクィーンとコスモスを追って飛来したブラックナイトは、リネンとヘリワード、【空賊団 親衛天馬騎兵】が迎撃してみせた。
「まったく、厄介ね……!」
 愛馬ネーベルグランツを駆るリネンは【マニューバストライク】でブラックナイトの背後を取ると、【新生のアイオーン】をブラックナイトの頭部に突き立てた。続けてワイルドペガサス・グランツを駆る親衛天馬騎兵が斬撃を放ち、ブラックナイトを解体・爆散させていく。
「ここは意地でも通さないわよ……!」
 デファイアントに乗るヘリワードは空賊団の指揮官として団員を【士気高揚】させ、迫り来るブラックナイトの大群を迎え撃つ。