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【更科雫500枚突破記念シナリオ】更科太郎先生危機一髪! 愛用の○○○○○を探せ!

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【更科雫500枚突破記念シナリオ】更科太郎先生危機一髪! 愛用の○○○○○を探せ!

リアクション

「まあ、その、アレだ。
 がんばって見つけてくれ」

「みすみも説明しないじゃないのー」
「いや、だって……面倒くさいし……」
 ひと言でケータイを切った{SNM9998797#千種 みすみ}に、ジョニーがツッコミを入れる。
 「ほらね。面倒でしょ」と言わんばかりの顔で、ジョニーは得意げだ。
 みすみはため息をつき、足元でうつぶせに倒れたままの更科太郎にあらためて視線を落とす。みすみが来たときのまま、ずっと放置されっぱなしの更科太郎の頭部には、巨大なたんこぶができていた。
 まだまだ大きくなりそうだ。

「……ま、この状況をあいつらに知らせたら、よけい話が大きくなるかもしれないからな。
 あいつらには失せ物探しに集中してもらおう」

 これは英断だ、と腕組みをするみすみに、ジョニーはケロリとした顔のまま「開き直ったの」と言う。
 しかしこのときもうすでに、更科家で起きたこの猟奇(?)強盗殺人未遂事件は、その場にいたみすみの意図に関係なく、またたく間にシャンバラじゅうに広がっていたのだった。


※          ※          ※



「更科先生が気絶してるって、何があったの!?」

「ああしまった! よけいなひと言がくっついていたか!」
 思わずみすみが叫んだ前を、深刻そうな表情を凍りつかせたルカルカ・ルー(るかるか・るー)が通り過ぎた。
 その後ろにダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が、やはり眉間に縦しわを刻み、無言で従う。
 そして訪問客はそれで終わらず、

「あ、どーも」
「こんにちはー」
「お邪魔しまーす」

 とぞろぞろと、堂島 結(どうじま・ゆい)プレシア・クライン(ぷれしあ・くらいん)高柳 陣(たかやなぎ・じん)ユピリア・クォーレ(ゆぴりあ・くぉーれ)ティエン・シア(てぃえん・しあ)木曽 義仲(きそ・よしなか)が続いた。

 彼らは廊下を一列に、まっすぐ更科太郎の部屋へと向かって歩いていく。
 あっけにとられていたみすみだったが、そこでみすみは自分が出てきたときのまま、部屋のドアが開きっぱなしであることに気づいた。
「あ、おい! ちょっと待て!」
 あわてて止めようとしたが、今起きている現象を飲み込むのに数秒を費やしてしまったため、間に合わない。
 開いたドアを回り込み、部屋の中を覗き込んだルカルカは、思わず叫んでいた。

「うわっ! すごいたんこぶ!」

 ぷっくり丸く、焼きモチのようにふくらんだたんこぶに、つい、ほれぼれとした声で言ってしまう。
「うむ」
 ダリルも思わず同意するみごとさだ。
 全員思わず見入ってしまったなか、いち早くプレシアが正気に返って脇の結を肘でこづいた。
「――はっ!
 い、いやいや、見惚れてる場合じゃないって!
 先生! 大丈夫ですか〜っ!?」
 大急ぎ枕元に駆け寄り、こっちに顔を向けて白目をむきっぱなしの更科太郎にあわあわと両手を差し伸べかけた直後。

「ちょっと待ったあああ!!」

 厳しい制止の声が後ろから飛んできて、びっくりして結はそれに従いぴたりと動きを止めた。
「え? な、何!?」
 振り返ると、ユピリアが戸口から一歩なかへ踏み出してきている。
 そしてその面には険しい、キリッとした表情が浮かんでいた。

「触わっちゃだめ! 犯行現場は現状保存が原則よ!!(キリッ」

「は、犯行現場!?」
 なんだか分からないまま勢いに飲まれて、結はつい復唱してしまう。
 
 
「そう。だって見て! 更科先生が倒れているのは部屋の真ん中で、壁の棚から何かが落ちてもこの状態にはならないわ! 加えてそこに落ちているこん棒! きっとあれで何者かに殴られたのよッ!(キリッ」
「つまりお姉ちゃん、これは殺人未遂事件ってこと!?」
 ティエンが目を瞠り、脇から驚きの声をあげる。
 ユピリアは自信たっぷり、大きくうなずいた。
「そういうこと! 更科先生はきっとここで部屋に不法侵入した何者かに襲――」

「盛り上がっているところをすまんが、それをやったのはジョニーだ」
 話の途中、みすみが少し申し訳なさそうに、しおらしく間に割り込んだ。

「そうよ」
 あっさりジョニーも認める。
 更科太郎を殴り倒したと認めたことに、みんながあっけにとられてジョニーに注目するも、ジョニー本人はどこ吹く風でニコニコ笑顔を絶やさない。

 ………………。
 ……………。
 …………。
 ……。

「だ、そうだぞ」
 陣が、口をつく笑いを殺しきれず、ニヤニヤとユピリアを見る。
 ぐぬぬとなるユピリアの横で、今度はティエンがふるい立った。
「で、でも、何か盗まれてるのはたしかだもんっ!」
「そ、そうよねっ?」
「うん!」
 お姉ちゃん、ちょっとそこどいて、とずずいっとさらに前に出たティエンは胸を張り、みんなの視線が自分に集まるのを待って声を張った。

「みすみがこれをしたのはジョニーだと言い、ジョニーは犯行を認めました。
 しかし、はたしてそうでしょうか?
 みすみが言い、ジョニーが認めたからといって、われわれはそれを鵜呑みにしていいんですか?
 ぼ……私たちは何も目撃していないし、それを裏付ける証拠も何ひとつ見つかっていないのに」

「いや、本人が認めてんだからそこは鵜呑みにしろよ」
 すかさず飛ぶ陣ツッコミ。
「物的証拠のこん棒が転がってるわよ」
 ルカルカも指さして言う。
 けれどどちらもティエンからは黙殺された。

「きっとこの強盗殺人未遂事件には裏があります! それをこのぼ……私がみごと解決してみせましょう!」
 ティエンはポーズを決め、高らかに宣言する。

 見た目は子供、中身は100歳!
 迷宮だらけの初心者探偵!
 その名はピヨ探偵ティエン!

 
「真実はいつもピヨる!」


 決まった!
 そう確信してふっふと笑うティエンをよそに。
「さあさっさとベッドに寝かせないと。このままだと更科先生、風邪ひいちゃう」
「うん」
 結の言葉にプレシアがうなずいた。立ち上がり、先んじて壁際にある、少し寝乱れたベッドへと駆け寄る。
「今、ベッドの準備するねっ」
「ええ」
「俺が運ぼう」
 横に片膝をついて、更科太郎を抱き起こそうとしていた結の手をそっと押し戻したのはダリルだった。
「ダリルに任せちゃえばいいわよ」
 とルカルカ。
 たしかに男のダリルの方が適任だ。
「お願いします。
 あ、じゃあ私、タオル濡らしてくる!」
「どうせなら水を張った洗面器とタオルの方がよくない?」
「そうね。
 みすみ、洗面所はどっち?」
「あ? ああ、こっちだ」

 結とルカルカはみすみに案内されながら洗面所へと向かう。
 更科太郎をベッドへ移動させて、てきぱきと看病の準備に入る4人。
 当然ながら、ティエンやユピリアは完全無視である。

「お姉ちゃん」
「ぐぬぬ。
 くじけちゃだめ、ティエン。これ以上現場が荒らされる前に、まずは現場検証よ」
「あっ、そうか!」
 なるほど、とぽんと手を打つティエンの姿に、陣は重いを通り越して痛みだした頭へと手をあてる。
「ユピリア、もうおまえ黙ってろ」
「えー?」


「ピヨたち、全員集合ーーーーッ!」


 陣の胃が痛くなるような気苦労も知らず、ティエンの掛け声が高々と上がった瞬間、まるでそれを今か今かと待っていたかのように、突然数十のピヨが戸口から部屋になだれこんできた。

「ちょ!? 何これ!?」
 プレシアが目をむくのも当然。
 赤や緑、紫、黒、黄色等々、まるでお祭りのカラーひよこが入ったダンボール箱をぶち撒けたようだ。
 もはや足の踏み場がないほど、びっしりと床がピヨたちで埋め尽くされていた。

「さあティン、ピヨたちに命令して。何がなくなったか、ピヨたちに探してもらうの」
 足元を埋めるピヨたちの姿を見下ろし、得意げなティエンの命令に、ティンがうなずいた。

 ちなみにティンとは高柳家にいるピヨのなかでも特別な1匹で、必殺技としてほかのピヨたちを指揮する能力を持つ。
 先ほどティエンの出した号令でピヨに合わせてピヨたちを部屋になだれ込ませたのも、実はこのティンだった。

「ここで生まれたピヨたちだもん。このピヨたちなら、きっとなくなったものに気づけるよねっ」
 ピヨピヨ、ピヨピヨ、鳴きながら活発に部屋のあちこちで探索を始めた――しかしあまりに数が多いため、互いが互いの邪魔になって、実際はほとんど動けていないようだ――ピヨたちを見ながら、ティエンは言う。

「なるほど」
 同意する声が起きて、「え?」と振り返った先、そこにいたのはハイコド・ジーバルス(はいこど・じーばるす)だった。
 これにはみすみもビックリだ。
「いつの間に!?」
「さっきふつーにドアから入ってきたわよ」
 とジョニー。
 やはりまったく動じている様子はない。

「ああ、すまない。一応声はかけたんだが返事がないし、玄関ドアが開きっぱなしだったもんで」
 ハイコドは自分を見て驚いている面々にそう言うと、ティエンに向かい先の言葉を続けた。
「ピヨたちに部屋を探索させるのはいいアイデアだ。こいつらなら机と壁の隙間など、人の目や手の届かない場所までもぐり込めるからな。
 ただ、あきらかに資料等仕事に関係した物と分かる物には触れさせないで、本棚にも上らせない方がいいだろう。本を崩してよけいに散らかすことになるかもしれない」
 ここは更科太郎の自室である。本人が気絶して意識のないうちに家探しをするのはマナーに反する。
 あくまでプライバシーを守ること、と念を押すハイコドに、ティエンは褒められたことに照れて緩んだ顔をあらためて引き締め、
「うん! 分かった!」
 とうなずく。
 そして彼の言うとおりのことを足元のピヨたちに指示を出した(もちろん実際に命令したのがティンなのは言うに及ばずである)。
「分かった?」
 ピヨたちは「ピッ!」と理解した合図に敬礼をすると、再び部屋の探索に戻る。

 わちゃわちゃ、わちゃわちゃ。
 それからしばらくは、数十のピヨがあちこちで忙しそうに動いているのを、みんな期待を込めて見つめていた。
 しかしなかなか成果らしい成果が上がらず、やがて飽きがきたか、ハイコドはぼんやりと考え始める。

(しかしパラミタにはいろんな動物がいるが、ある意味一番不思議なのはこいつらピヨだな。
 はっきり言って、肉食獣の前では餌にしかなりそうもない大きさ。
 人懐っこいし、たぶん人の言葉が分かる程度の知能はある。
 ……そういえばあの手でどうやって物を持ってるんだ? 粘着性の汗でも分泌してるのか、それとも小さなトゲでもびっしり生えてんのか?
 あー、そういやこいつらの頭って、あのゴムで縛ってなかったらどうなるんだろ?)

 思い立ったら調べてみずにはいられない。
 ちょうど目の前にいて、すぐ捕まえられそうな青いピヨにそろそろと手を伸ばす。
 背後からの不穏な気配を感じたピヨが振り向き、迫るハイコドに何らかの危機感を感じて「ピーーーッ!」と悲鳴を上げたとき。


「っあーーーー!! こ、これは、先生のスケッチブック!!!」


 お触わり厳禁となったピヨの代わりに、資料の詰まった本棚を調べていたエクリィール・スフリント(えくりぃーる・すふりんと)が、突然大声で叫んだ。

「し、しかも……しかもしかもッ!
 これは、未公開イラストとな……!?」
 両手で掲げ持ったB4サイズのリング帳を凝視して、わなわな震えている。
 リング帳の表紙にはたしかにエクリィールの言うとおり、『ボツイラスト』の文字が書かれていた。

「これはもしや、更科太郎先生、未公開のピヨ画集……?
 み、見たい」
 ごくり。
 まさに垂涎ものだ。
「い、いやっ! だめじゃ! ファンとしてはそういうことはしてはいけないのじゃ!!
 これはそのまま本棚に戻すのじゃ!!」
 ぶるんぶるん首を振り、そんなことを口走りつつも、体は正直っつーか手は別物っつーか。
 言うことをきかないようで、表紙をめくりにかかる。
「だめじゃというに! ……な、なんじゃ!? この吸引力は!?」
 まるで何者かに寄生されて別の生き物と化したかのようにめくろうとする右手首を左手首で押さえるエクリィール。
「だめなのじゃ!」

 苦悶するエクリィールの言葉にかぶせるように、ユピリアが叫んだ。


「分かったわ!!」


「……何が分かったんだ?」
 突然何の脈絡もなくとなりで叫ばれて、陣はつんざかれたショックにじんじんする耳を両手でふさいで問う。
「もちろん今回の事件の犯人よ!」
 それが分かったことに表情をきらきらさせて、ユピリアは得意げに胸を張る。
 そして、ビシィッ! と音が聞こえるくらいの勢いで、「 犯人はあなただ!」と、この場にいるある人物を指さした。

「……ココ?」
 意外そうに義仲がつぶやく。
 だが一番以外だったのはココ本人だろう。

 知らない方のために念のため解説しておくと、ココというのは更科家に住む1匹だけ成獣のピヨのことである。
 今もみんなに遠慮して、邪魔をしないよう廊下に立って、戸口からなかの様子をうかがっていた。
 なんか知らんけどえらいことなってるなーと思っていたら、いきなりユピリアに指つきつけられ犯人と言われ、全員の注目を浴びたことにすっかり驚いて、目をパチパチさせている。
「ピ、ピヨッ!?」

「そう! あなたよ、ココ!
 ピヨの進化系として紹介されたのに、ほとんど出番もなく消えていったことに耐えられなかったあなたは、ピヨばかり描く太郎先生に内心怒りを深く抱いていた。
 ココを中心にしたココのためのイラストを描くことを太郎先生に要求したのに断られたあなたは、ついにその怒りを爆発させた。
 そしてその結果として、太郎先生を殺してしまった!」

「だから死んでねぇって」
 陣ツッコミ。
「なに不吉なこと言ってんだよ」

「陣は黙ってて!! いいとこなんだからっ!!
 もちろんわざとではなかったでしょう! 先生と言い争いになったとき、あなたの目にこのこん棒が目に入り、あなたは無意識で手に取ってしまった!」

「なんで当然のようにこん棒が部屋にあるんだよ。先生は原始人かよ」

「だから黙っててってば!
 そしてそれを持ち上げ、驚愕している先生の後頭部に振り下ろしてしまったのよ! そう、これは事故!! 悲しい悲劇が招いた惨劇という事件なの!!」

「驚愕してる人が背中向けるってどういう状況だ。それから悲しい悲劇って何だ? 頭痛が痛いか、馬から落馬か。あと事故か事件かどっちかにしろ。それと、盗まれた物はその推理のどこに入るんだ?」
「あら?」
「あら、じゃねぇよ」
「ふうーーーむ。なるほどな」
「義仲、おまえも感心してるんじゃねえ。ユピリアがますます図に乗――」
「俺はてっきりピヨの人気を妬むゆるキャラの仕業と考えてしまったが、よくよく考えれば、それではさすがに俺の身が危ないな。
 ココが犯人であったか」
「だから違うっつってんだろ、聞けよひとの話をよ。てめーの耳はザルか義仲」
 ボケだらけでもはやツッコミが追いつかない!

「やっぱり!? 私、冴えてる!? 名探偵!?」
「お姉ちゃん、すごいよ!!」
 義仲が同意したことに、ぴょんぴょん跳ねて喜ぶティエン。
 ユピリアは鼻高々だ。

「まあ、梨の妖精やクマ、最近は猫も人気らしいが、あれらを敵に回さずにすんで良かった。
 ココよ、ここまで暴かれては言い訳もできぬ。ここは素直に犯行を認め、ともに更科太郎の菩提を弔おうではないか」
 慰めるように、義仲はココの肩(?)をぽんとたたく。


「締めに入ってるーーーーっ!?」


 何がなんだかよく分からないまま見ていたら、いつの間にかそういうことになっていたことに遅れてあわてだす結、プレシア、ルカルカたち。
「ち、ちょっと待ってよ。全然筋通ってないでしょ。ルカ、そんなんじゃあ納得できないよ!」
「そそそそそ、そうよっ!」
「ココは悪くない! ココを逮捕しないで!」


 神崎 輝(かんざき・ひかる)が着いたのは、ちょうどそんなときだった。
「…………あのー、皆さん。何をしてるんですか?」




「更科太郎先生が大変なことになってるって、ピヨ太郎とピヨ次郎が言ってるです〜」
「ええ!?」
 神崎 瑠奈(かんざき・るな)の言葉に輝は驚いて、それまでしていた作業の手をとめて振り返った。
 瑠奈は右手にピヨ太郎、左手にピヨ次郎を乗せて、そこに立っている。
 ピヨピヨ、ピヨピヨ、ピヨピヨ。
 一生懸命鳴いて訴えてくるピヨたちの姿は輝の目から見てもいつもの2匹とは違っている。
「ふんふん」
 瑠奈はピヨ太郎とピヨ次郎の言葉に耳を傾け、さらに詳しいことを輝に告げる。
「先生、気絶してるの!? そ、それで容体は!?」
「そこまでは分かんないのです〜」
「そう。……分かった。先生のとこへ直接行ってみよう」
 出掛ける準備をしながら、輝はふと思い立って結に連絡をとった。そしてピヨ太郎たちから聞いたことを話し、現地で待ち合わせることにしたのだった。

「距離からして、結さんたちの方が先に着くでしょうから、ボクたちが着くころにはもう落ち着いてますかね?」

 行き道で瑠奈の言った言葉に
「そうだね。もう目を覚ましているかも」
 とうなずいたものだったが。

 まさかこんなカオス状態になってるとは。

 床じゅうピヨだらけ。
 ハイコドはいやがるピヨの頭からゴムをはずそうとし、
 エクリィールはリング帳を持った自分の右手を左手で押さえてぶつぶつつぶやきながら震えているし、
 ユピリアとティエンはきゃあきゃあ抱き合って飛び跳ねてるし、
 義仲はココの両手(?)を前に揃えさせてお縄のポーズとらせてるし。

 そしてここでなぜか自分で入れたお茶を飲んだ陣がその場でぶっ倒れた。

「きゃあっ! 陣!!」
「むう。これはもしや、真相に迫ったわれらを狙っての犯人の犯行!」
「えっ!? そうなの!? 義仲くんっ」
「陣は犠牲になったのだ!」
「そんな……いったいだれが……!」
「犯人は…………僕たちのなかにいるってこと……?」


 ――もう書いてるこっちもわけが分からないよ!




「何ですかね? この状況は」
 もうわけワカメ、と瑠奈は早々にサジを投げた。
「よく分からないのであとはお兄ちゃんに任せて、ボクはこのピヨたちをもふもふして遊ぶことにしますにゃ〜 ♪」
 と宣言し、床を埋めているカラフルなピヨたちにとっとこ近づき、座り込む。
「任せるって……えーと」
 瑠奈に負けず劣らず輝も混乱していたのだが。
 とりあえず、更科太郎がきちんとベッドに寝かしつけられているのを見て、結とアイコンタクトを取った輝は、そちらは心配しなくても大丈夫だと結論する。

「それで皆さん、なくなった物が何かは分かったんでしょうか?」




 ピヨたちの探索のおかげで失せ物が更科太郎愛用のタブレットであることが判明したのは、それから数十分後のことだった。