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リアクション
序章
【マホロバ暦1187年(西暦527年) 6月1日 夕刻】
本之右寺(ほんのうじ)――
「腹をすかせているのか」
扶桑の都への道すがら、戦国の覇者織由 信那(おだ・のぶなが)一行が通りがかった。
ここから扶桑の樹まではすぐ目と鼻の先にある。
信那は馬をとめ、うずくまっている白いおかっぱの童女にきいた。
従者に言って白瓜を渡す。
「まだ早くて硬いが、食え」
童女は白瓜を受け取ると匂いをかぎ、ぽりぽりとかじった。
信那は満足そうに微笑み、馬を歩ませた。
「この乱世を終わらせるのは、信那の仕事ぞ」
そういって悠々と本日の寝所、本之右寺(ほんのうじ)に入っていく。
卍卍卍
「くすくす……信那ちゃん、お寺にはいちゃったね。そのまま棺おけになるのにね。手間がはぶけていっか!」
「いつ、攻撃をはじめますか。アルコリア様、マイロード」
「まだですよ。とっておきの号令があるんですからね」
少女たちの含み笑いが闇夜に広がってる。
そのころ、別の意思が交錯していた。
「また、繰り返すというのですか。同じ過ちを」
「光秀がやるっつんなら、俺もやるが?」
「やるからにはなぁ、派手に攻め立てるぞ」
夜が明けてからでは遅い。
朝が来る前に、決行しなくては……。
謀反者たちがいっせいに口をひらく。
その言葉に鬼の仮面の声が重なった。
敵は、本之右寺にあり――
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