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リアクション
■オープニング
ここはリンド・ユング・フート。
人の無意識の底にある、知識の源。
そこを流れる1つの川、1つの夢、それは1つの意識――――――
のハズなのだが。
とてもそんな威厳はカケラもない、ピンクを基調とした極彩色のマーブル模様の空――天井?――を、コンペイトウの流星が降っていた。
キラキラ金銀の砂がシャワーっとクマの顔をした太陽から振りまかれる下で、蝶のようにひらひら舞う本、ふよふよ浮いている本棚がオーケストラのような音楽を奏で、リボン状の道に沿って、ぱぱぱや〜ぱぱぱや〜ぱやっぱっぱっぱぱー♪とナゼか子どもの落書きのような顔をした花がコーラスを歌っている。
「……なんか、前に来たときよりはっちゃけ度がさらに増してるよーな気がする…」
目の前に広がるわけわかんない空間を見て、だれかがそうこぼしたとき。
「みんなっ、リンド・ユング・フートへようこそ〜♪」
花の顔からにゅるんっといった感じで、突然スウィップ スウェップ(すうぃっぷ・すうぇっぷ)が現れた。
そのまま空中に飛び出して、くるんぱっとポーズをつける。
「――ん? みんなどしたの?」
なんか、ドン引きしちゃってるみたいだけど。
「スウィップ、それ気持ち悪いからッ! もうちょっと登場の仕方考えてっ」
「あ、そお? ごめーん」
にぱにぱ。
すっかり笑み崩れた顔で謝るスウィップ。その目も表情も、なぜからんらんと輝いている。
見間違いではない。なにしろ、彼女の感情に反応して、パルックを背負ったような後光までさしているのだから。
そんな顔で
「あたしは前回同様あなたたちが立派にリストレイターの務めを果たしてくれることを望みます!(キリッ☆」
とか言われても、だれが信用するかっての。
「ちょっと浮かれすぎだよね」
「あからさますぎね?」
そんなツッコミが次々飛ぶが、スウィップのにこにこ笑いは崩れない。
そんな中。
「スウェップ嬢」
柚木 瀬伊(ゆのき・せい)が前に出た。
「久しいな、スウェップ嬢。以前は貴瀬が失礼した様で申し訳ない。あの後、きちんと叱っておいた」
「あらー? べつにいいのよ、そんなこと。あたし、なんとも思ってないからっ」
にこにこ、にこにこ。
やはりスウィップの満面の笑みは崩れない。
おお! さすがスウィップ! とだれもが思った直後。
「……あ。パルック後光が落ちた」
そのときのことを思い出して、ちょっぴり気にしちゃってるのはバレバレだった。
「い・い・か・ら! みんなさっさと行っちゃいなさいよってば!」
ぴこりーん。
スウィップの振ったタクトからこぼれた燐粉……もとい、光のきらめきの中から、本に通じるドアが現れる。
相変わらず木枠がついただけのピンクのドアだ。
「出た、どこでも○ア」
その向こうに渦巻く白い空間も、もうおなじみだ。
「この安っぽさだけはどうにかなんないかなぁ…」
ぶつぶつ言いながらも、彼らは次々とドアをくぐっていった。
いざ行かん19世紀のパリ、オペラ座へ――――
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