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伝説の焼きそばパンをゲットせよ!

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伝説の焼きそばパンをゲットせよ!
伝説の焼きそばパンをゲットせよ! 伝説の焼きそばパンをゲットせよ!

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 校長室に戻った山葉を、パートナーの花音・アームルート(かのん・あーむるーと)と、3人の生徒が迎えた。
「話は聞いてる」
 2人の女子生徒をソファに案内した。
「せっかくだから大々的に取り上げて欲しい」
 明日の購買部近辺で起きるであろう、伝説の焼きそばパンの獲得競争を放送したいと申請してきた2人だった。
「良いの? やったぁ!」
 羽瀬川 まゆり(はせがわ・まゆり)は、印象的な青い髪と胸を揺らしてバンザイした。
 その隣に座った鈴虫 翔子(すずむし・しょうこ)は、ちょっと意外そうな顔をする。
「騒動をあおるようなことは止めてくれって言うかと思ったけど」
「さすがにそれは困るが、購買部の混乱具合が放送されれば『今日は止めておこうか』って考える生徒も出るはずだ」
 まゆりと翔子は、なるほどとうなずいた。
「詳しくは放送部と相談して決めてくれ」

「臨時の喫茶店?」
 次に座ったのは小柄な女生徒。山葉は彼女が用意してきた企画書をめくる。
「ああ、伝説の焼きそばパンだかなんだか知らないが、オレの焼きそばパンだって、かなりのもんだぜ」
 椿 椎名(つばき・しいな)は、自信たっぷりに胸を張った。喫茶エニグマの名前は、山葉も耳にしたことがある。椎名と共に、パートナーのソーマ・クォックス(そーま・くぉっくす)ナギ・ラザフォード(なぎ・らざふぉーど)で切り盛りしているらしい。
「それを明日売りたいってことか」
 短時間でまとめられたにしては、しっかりした内容の企画書をめくる。
「ん?もう一人いるな」
 企画書に不破 勇人(ふわ・ゆうと)の名があった。
「ああ、なんでも韓国風焼きそばパンを作るって意気込んでるよ」
「そうか」
 混乱が緩和されるなら好都合と、山葉はこちらにも許可を出した。
「いろいろとお疲れさま」
 花音・アームルート(かのん・あーむるーと)が温かいお茶を運んでくる。山葉は喉を潤すと、湯飲みに残った温もりを手のひらで楽しんだ。
「やることはやった。後は明日を待つだけだ」


 しかしやることをやっている者は他にもいる。
 とある場所では、多比良 幽那(たひら・ゆうな)がマンドレイクを粉にしていた。樹木人のアルラウネ達も彼女を手伝っている。
「うふふふふ、まだまだ足りないわね」
 山盛りになったマンドレイクの粉を横に、更に粉が挽かれていく。
「半分はこねてパンになさい」
 幽那の指示に、数体のアルラウネが動く。
「そっちは麺にするの」
 別のアルラウネは、うなずいて粉を運ぶ。
「ああ、そっちは食紅を混ぜて、紅ショウガのようにするんだから」
 パンと麺と紅ショウガ。明日の光景を思い浮かべた幽那は、笑みを隠さなかった。


「む、今回はこれだけとは、他の者は怖気つきましたか」
 赤羽 美央(あかばね・みお)は、集まった3人を見た。
「怖気づく? そんなわけはありません!」
 クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は、言下に否定した。
「ただ場所が蒼空学園なだけに、出遅れの不利は覆せないと見る向きが多いようです」
「そうですか……そうそう授業をさぼるわけにはいきませんね」
「はははは、皆さん、少数精鋭と考えましょう!」
 士気が落ちかけたところをルイ・フリード(るい・ふりーど)の力強い笑い声が救った。
「そうです。へーかが『食べたい』と仰るのであれば、我々が行うことは決まっています」
 クロセルの言葉に、パートナーの童話 スノーマン(どうわ・すのーまん)も、赤くて高い鼻をいつにも増して高くする。
「その通りでござる。拙者達が協力すれば、伝説のひとつやふたつ、ものの数ではござらん。蒼空学園でも『雪だるま王国あり』と存在感を示してやろうではござらんか」
 気を取り直した4人は、当日の具体的な作戦を練り上げた。