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ミッドナイトシャンバラ2

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ミッドナイトシャンバラ2

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    ★    ★    ★
 
「まったく、ハガキファイターとか言っているわりにあまり読まれませんけど。たまに読まれたと思ったら、なんですか、あの内容は!」
 正座した朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)を前にして、腰に手をあてたイルマ・レスト(いるま・れすと)が、懇々と語った。
「でも、読まれたんだからいいじゃない」
 朝倉千歳がちょっぴり口をとがらせる。
「だいたい、ラズィーヤ様のファンクラブは一つですから、その時点で私だと特定できるじゃないですか。それに、山積みというほど積んでいないでしょう」
「でも、少しぐらい大げさに書いた方がウケがいいと思ったのよ」
「知りませんわ、そんなこと。これでは、私が表裏のある人間みたいに誤解されるじゃないですか……」
 それじゃあ、表裏がないみたいじゃないという言葉を、朝倉千歳はすんでのところで飲み込んだ。
「まったく、直接面とむかってだと口下手なのに、ハガキ投稿やネットだと饒舌になるんですから……。ネット弁慶にもほどがあります。いいでしょう。そういうことなら、これから一時間ほどゆっくりお話をしましょう。嘘はいけないですものね」
 イルマ・レストはそう言うと、えんえんと説教を始めたのだった。
 

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「ペンネーム、真っ黒装甲さんのふつおたです。
 シャレード・ムーンさん、こんばんわ。これが初の投稿なります。
 最近、私は大荒野にて巨獣やパラ実生を倒して修行することが多くなりました。
 パラ実生は気絶させた後に金目の物を奪って放逐。時々仕返しに来る奴がいるので、それをまた倒して再度放逐。それをまた…と、気分はキャッチ&リリースです。
 あらあら、あまり危ないことはしないでくださいね。
 巨獣は倒した後、そのまま焼いてその日の御飯になってます。塩コショウで味付けして、ほんのり醤油をたらすと結構美味しいんですよ。少し熱を通して、ほんのり溶かしたチーズをのせても合います。ちょっと肉が硬いのが難ですけれどね。(笑)
 …おっと。書いてたららお腹が空いてきました。ハガキを投函した後、ちょっとパートナー達と狩ってきます。
 
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「今読まれたよね」
「読まれたな」
 ラジオを聞いていた霧島悠美香とルーフェリア・ティンダロスは、あらためて顔を見合わせた。
「おーい、要、お前のハガキ読まれたぞー!」
 ルーフェリア・ティンダロスが叫んだが、戦闘中の月谷要には声が届かないようだった。
「まっ、いっか」
「そうそう、ほっときましょう」
 二人はそのまま岩陰にもたれかかると、ラジオを聞き続けた。
 
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「次のお便りは……。ええっと、がさごそがさごそ……。何か封筒に入ってますねえ。まあ、手作りの人形ですね。えっ、何? 私にそっくり? うん、凄いですね。
 シャレードさん初めまして
 ヴァイシャリーの工房で働いてる人形師なのですが・・・
 実はスランプ真っ最中なんです!
 シャレードさん流のスランプ脱出方法があったら是非教えてほしいです
 ペンネーム、通りすがりの人形師さんからです。
 これだけの物を作れるのにスランプなんですか?
 ということは、普段はもっと凄いってことじゃないですか。
 凄いなあ。
 ああ、私ですか。私は、普通に気合い入れて乗りきります。ほら、気合いの入り方って、ある程度波があるじゃないですか。ですから、仕事をするときに波の頂点がちょうどくるように調整するんですよ。頑張らなきゃいけないときにだけ頑張るわけですね。ずっと頑張っていたら、それは気疲れしてしまいますものね。人形師さんも、頑張ってうまくスケジュール調整してくださいね。
 最後のお便りは、ペンネーム、べとべと細胞のふつおたです。
 はじめまして、べとべと細胞と申します。
 ごくありふれた悩みなのでしょうが、モテたいのですが何故か性格を勘違いされたりしてしまい、一向にモテる気配がありません。
 スタイルは良い、家事は一応できる、頭だって悪くは無い。
 顔の傷が悪いのでしょうか?それとも拷mげふんげふん……ちょっと危ないコレクションがあるのがいけないのでしょうか?うちの子達が悪いのでしょうか?
 教えてくださいジャガンナー……じゃなくてシャレードさん。
 後良い人がいたら紹介してください。

 P.S.ロリコンは死滅すればいいと思う」
 これは……。全部なんじゃないですか?
 顔の傷はお化粧である程度隠せますよ。
 げふんげふんに関しては、捨てた方がよさそうですね。イケメンとコレクションとどっちをとります? ああ、究極の選択を迫っているのかもしれません。さあ、どうする。
 うちの子っていうと、シングルマザーか何かなんでしょうか。お子さんがいるとすると、やっぱり再婚は難しいのかなあ。
 既婚者なら、それは、ロリコンは敵でしょうね。
 でも、パラミタは広いですから。そのうちいい人が現れるかもしれません。
 そうですねえ。いい人って言ったら……。さっき読んだおハガキの、パラ実の方々とじゃれ合って遊んでいる真っ黒装甲さんなんか、ワイルドでいいんじゃないでしょうか」
 
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「うーん、どんな人なのよ、その真っ黒装甲さんって。でも、パラ実からカツアゲしているようじゃ、ジャスティシアとしてはあまり見過ごしてもおけないわよ」
 ラジオを聞きながらメモをとっていた伊吹 藤乃(いぶき・ふじの)は、唐突に出てきた名前に戸惑いを隠せなかった。
「それに、あたいは既婚者じゃないし。なんだか、盛大に勘違いされちゃってるよ。まあ、でも、要は気にするなということよね。はあ、やっぱり自分でなんとかするしかないのかなあ」
 とにかく頑張ろうと、伊吹藤乃は気合いを入れなおした。
 
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『やめろ、やめろー、ぶっとば〜すぞ♪』
 冒険屋ギルトのCMが流れている間に、リュート・アコーディアはあわただしく副調整室を出入りしていた。