First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
☆★☆★☆
「しかしまあ、同じようなことを考える者はいるのだな、カレン」
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)は、丸太を運び込みながら、作業中の面々を見渡す。
カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)はジュレールの方を向き、グッと親指を立てる。
「あったりまえじゃん! 広い敷地と豊富な木材。これがあったら考えない人はいないでしょー」
「おーい、どやー、調子は?」
と、泰輔が連れてくるダイソウ一行。
カレンは泰輔たちを迎えながら、
「まー、順調じゃない? ダークサイズの拠点だから、わざわざ邪魔者なんて来ないと思うしね」
と、平和な島を満喫しているようだ。
「ていうか、君も作業手伝いなよ」
「何言うてんねん。僕は資材やら資金やらの提供者やで。作業まではできひん」
「ずいぶんとギャラリーがおるのう」
ジュレールが、ダイソウと一緒に行動する祥子たちを見る。
ダイソウも特に気にするなとばかりに、
「見学と護衛だ」
と、エメリヤンから降り立つ。
「おー、来た来た! ダイソウトウ! これ見てや、すごいやろ〜。まだまだ広くなるんやで」
そこに走り寄ってくる日下部 社(くさかべ・やしろ)。自慢げに建設中のエリアを見せる。
それをカレンが止めに入る。
「あ、ちょっと! 君一人で作ってるんじゃないんだからね」
「わかっとるわい。俺はあくまで代表としてやな」
「勝手に代表になんないでよ。アスレチックの監視小屋はボクが入るって決めてるんだからね」
「まあ待ちいな。俺らが作ってんのは、アスレチックなんて生易しいもんやあれへんで。カリペロニアの一大レジャーランドや!」
「あ、そうだった。アスレチックじゃなくて、レジャーランド!」
カレンは社に一瞬食い下がったが、その点には全力で賛成だ。
「ダイソウ様、やっぱカリペロニアには遊び場がなくっちゃね。ダークサイズは遊び心だよ!」
「そうだ。そしてレジャーランドどころか、ゆくゆく目指すべきは、テーマパークだぜ。ネズミーランドばりのな」
作業がひと段落したのか、トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)がいつの間にか合流している。
「せや。しっかり入場料はもらいながら、ここでみんなに遊んでもらう。さらにこの向こうに見えてくるのは、大総統の館。偶然とはいえ、すごいやろ。あの館、シンデレラ城みたいにならんかなぁ」
社は、某有名テーマパークとの共通点を見つけていて、カリペロニアのレジャーランドに期待を寄せている。
ダイソウも、なるほど、という顔をして、
「たしかに、あのネズミーランドは東京の東にある。このカリペロニアも、空京の東に位置するな」
「おお〜! そうやな! もうカリペロニアはテーマパークになるしかあらへんわ!」
「ふっふっふ。それだけじゃないもんねー」
さらにそこに現れた、レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)。
「キミたち、どうしてレジャーエリアが島の南側になったかわかる?」
レキは答えを言いたくてうずうずしながら、あえてクイズを出してみる。
その問いに、ダイソウが答える。
「この先に進み、島の南東部に及べば、戦闘員の訓練施設に到着するな」
「さっすがダイソウトウさん、察しがいいねー。ここのレジャーとアスレチックを遊びながら進んでいくと、知らず知らずのうちに、ダークサイズ戦闘員としての訓練をほどこされることになるのだー!」
レキが島の南東部に向かってびしっと指さして答える。
「おおー!」
「なるほど!」
「偶然とはいえ、緻密な戦略!」
一同感心して、レキに拍手を送る。
その中で一人、ミア・マハ(みあ・まは)だけは、
「レキよ、そなたノリノリだが、わらわたちはダークサイズの一員ではないぞ?)
と、小声で念を推すが、レキはその辺は全く気にしていない。
「すごいねー! 遊びながら抵抗なくダークサイズ加入! これなら収入と増員が同時にできる!」
カレンも感心し、ふと思い立ち、ダイソウに進言する。
「やっぱこのレジャーランドの名前は、『空京カリペロニアランド』に決まりだね」
「お、ええなあ! 東京ネズミーランドに少しかすっとる辺りがなおええわ!」
社もカレンのネーミングを一発で気に入ったらしい。
「なるほど、名前もそれでよかろう」
と、ダイソウは何故か気もそぞろにカレンの提案を了承する。
そんなダイソウにトマスが言う。
「でだ、まだ作成中のアトラクションもあるんだが、やっぱ僕たちとしては、リーダーにチェックしてもらいたい。そこでダイソウトウ、アトラクションのいくつかを体験してもらえないか?」
と、トマスが提案した途端に、ダイソウの瞳がギラリと輝く。
「よかろう! 行くぞ!」
言うが早いか、ダイソウはすたすたと進んでいく。
(あ、そんなにやってみたかったんだ……)
全員がそう思い、ダイソウを追う。
「ふう。思っていたより、肉体労働というもの楽しいものですね」
と、魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)は額の汗をぬぐう。
「おーい、魯粛。メリーゴーランドの方はどうだ?」
テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)が、太い丸太を抱えて通りかかる。
「ええ、木馬の彫刻もあらまし終わりましたし、後は塗装といったところでしょうか。テノーリオ、あなたの回転ブランコはどうです?」
「ああ、一応形は出来上がってるぜ。ミカエラ! ジェットコースターは……おい、どうした?」
テノーリオがジェットコースターの作業をしているはずのミカエラ・ウォーレンシュタット(みかえら・うぉーれんしゅたっと)を見ると、彼女は図面を睨みながら、時折線を引きなおしたりしている。
「トマスが作りたいって言うからやってみてるけど、図面に問題があるわ。今修正個所をピックアップしてるんだけど……」
「ええ? でも途中まで作っちまったじゃねえかよ」
「さすがに最初から作りなおせないわ。だから後付けで修正しなきゃならないの」
「木製ジェットコースターとなれば大物ですからねえ。ところで、トマス坊ちゃんは迎えに行けましたかねえ」
子敬が先ほどトマスが去った方を見る。すると、ちょうどトマスがダイソウ達を引き連れてくるのが見えた。
「おや、トマス坊ちゃん。おかえりなさい」
「様子はどうだ?」
「私のメリーゴーランドは、いつでもどうぞ」
子敬の報告を聞き、トマスはメリーゴーランドを指さす。
「じゃあダイソウトウ、まずはメリーゴーランドを試乗してくれ」
「うむ」
と、メリーゴーランドに向かうダイソウの足取りは、心なしかウキウキしている。
木馬にまたがるダイソウを見て、レキがふと思い立つ。
「そうだ、ミア」
と、ミアを呼ぶ。
「ん、なんじゃ? わらわは肉体労働はせぬぞ?」
「ううん、ダイソウトウさんと一緒に、メリーゴーランドに試乗してみてよ」
「何故じゃ? 試乗なら一人でもよかろう」
「いいからいいから。たくさん乗っても壊れないかチェックしないとね」
「そうか、そういうことならば……」
と、ミアも木馬にまたがる。まるっきり子供が乗っている様子になるが、本人はそれと気づかない。
それを見た美羽や結和、朱美が、
「それなら私も」
と、面白がってメリーゴーランドに乗る。
「ところで、これはどうやって動くのだ?」
というダイソウの疑問に、
「大丈夫じゃけん! オレに任せろじゃけん!」
と、肉体労働専業として、島中を走り回って働いている、赤城 長門(あかぎ・ながと)が姿を見せる。
「全員乗ったかのう。それじゃあ回すけん、振り落とされんようにのう!」
「え? 振り落と?」
「ふぬあああああああああ!」
と、一瞬聞き捨てならない言葉を放った長門だが、メリーゴーランドのそばにある大きなハンドルを、渾身の力で回し始める。
すると、メリーゴーランドがゆっくりと動き始めた。
(じ、人力だったんだ……)
誰もが心で突っ込みながら、長門は筋肉をきしませる。
「ぬおおおおおりゃああああ! ぐぬああああああ!」
出来上がったばかりでまだろくに油もさしていないメリーゴーランド。長門は正式稼働よりも倍の力を込めて試運転をする。長門の体から汗が噴き出す。
「回れぇぁぁああああ! つぁありゃあああああ!」
(うるさいなぁ……)
メリーゴーランドとしてはちゃんと機能しているものの、長門の気合いの叫びは楽しそうなBGMとは程遠い。
しかし調子が出てきたのか、長門の人力メリーゴーランドは快調なスピードで回る。
ところが、
「あれ……ちょっと早くない?」
「うん……あの、長門、スピードが……」
「うりゃあああああ!」
回すことに夢中の長門は、気付かずにメリーゴーランドのスピードをどんどん上げていく。
「ちょ、ちょっ、ま!」
「早い! 早いよ!」
「コーヒーカップじゃないんだからあああー!」
ぎゅんぎゅん回る木馬に、みんな夢中でしがみつく。
「長門よ、スピードが、ぬ、しまった」
他の女子より体重がある分、遠心力に弱いダイソウは、手を滑らしてメリーゴーランドから外に吹っ飛ばされ、
「ぬご!」
と、ちょうど長門に直撃する。
そのおかげでどうにかメリーゴーランドは止まったが、
「気持ち悪い……」
「目が回る……」
と、みんな早速げんなりしている。
その様子を見た子敬は、
「なるほど、人力というのは再考の余地ありですね。しかし強度は太鼓判を押せますね」
と、冷静にメモを取る。
トマスは続いてダイソウに、
「じゃあ今度は回転ブランコだ」
と、テノーリオのブランコに案内する。
「へへへ。塗装はまだだから手作り感満載だが、まあ乗ってみてくれ。他のみんなも乗っていいぜ」
テノーリオの案内で、ダイソウはブランコに腰を下ろす
「こ、今度は大丈夫やろな……」
と、今度は泰輔と社、フランツが、こわごわとブランコに腰かける。
そのブランコを、テノーリオはロープを引いて、5メートルほどの高さまですいすいと引き上げる。
「よし、じゃあ頼むわ!」
「それじゃあ回すけんのう!」
テノーリオの合図で、額にこぶを作った長門がハンドルに手をかける。
「また人力かい!」
「ちょい待ち! やっぱ降りるわー!」
泰輔たちは悲鳴を上げるが、今度の長門は一味違う。
「大丈夫じゃけん! 何度も同じ失敗を繰り返す赤城長門じゃないけんのう! ふおわああああ!」
と、今度は回りはじめると、奇声をあげながら速度調整をしている。
「お、大丈夫そう……」
しかし、
……めきめきめきめきっ!
「うおお! う、嘘やろ! た、倒れ……」
ずどおおおん……
今度は回転ブランコの芯が折れ、これまた長門に倒れこむ。
「なあるほど。やっぱ主軸はもっと太くしなきゃだめだなぁ。作りなおしとくぜ」
「初めからそうせえやー!」
分析をメモるテノーリオに、泰輔と社がつっこむ。
「よし、次に木製ジェットコースターだが……」
と、トマスはミカエラの方を向く。
「まだ強度の調整中だから、500メートルまでしかできていないわ」
「そうか。じゃあそこまで乗ってみてもらおうか」
「あほか!」
レールが途中までしかないのだから、当然全力で拒否する。
「こんなんやったら、ネズミーランドは程遠いで……」
社がふらふらになって文句を言う。
しかしトマスは、
「大丈夫。人体実験でデータは取れたから、問題点は完璧に修正できるぜ」
「実験すなや……」
と、社のツッコミも弱弱しい。
「ま、まあとにかくそういう部分は修正されるとしてさ、今度はあたしのアトラクションも見てよ」
今度はカレンが進み出る。
「あたしはアスレチックがやりたかったんだよねー。トマスたちのより体を使うし、ちょっと訓練むきかな?」
「なるほど、あれでテンションをあげて、アスレチックに自然に入れるようにするわけだな」
ダイソウも納得する。
カレンの案内でもう少し進むと、丸太で作った城や、ネットとかロープを張り巡らせたアスレチックが出来上がっている。
「おおー、すごい」
「ふっふっふ、どーお? 好きに遊んでいいよー」
今度は安心して遊ぶ、泰輔たち。
「アスレチックは懐かしいな。私も子供のころ遊んだものだ」
その様子を見て懐かしそうにつぶやく、ダイソウ。それにカレンが気づく。
「へえ、ダイソウ様にも子供の頃なんてあったんだね」
「もちろんだ。特にあの」
ダイソウは、ゆるい坂道にロープを張って、それに吊った丸太にまたがって下っていくアスレチックを指さし、
「ターザンみたいなアレは、常に行列ができていたものだ」
見ると、レキに促されて、ミアが丸太にまたがって滑って行くのが見える。
その器具には美羽や祥子、結和まで並んで順番待ちをしている。
「ああ、あのターザンみたいなアレね、あたしもなかなか乗れなかったな」
「そう、あのターザンみたいなアレだ」
「うん、あのターザンみたいな、うん……」
「……」
(あれ、名前なんて言うんだっけ……)
二人して、そのターザンみたいなアレの名前は、最後まで出てくることはなかった。
「お、あれがダイソウトウか……」
カリペロニア内で個々人のゲリラ活動へと移行していた、ダークサイズ敵対組のエヴァルト。
彼は変装を兼ねてパワー度スーツを身につけ、『蒼空の騎士パラミティール・ネクサー』に変身して、森の中を動いていた。
森の中から見える、ダイソウとダークサイズのメンバーらしき数人。
「ひいふうみ……うーん、一人でやるには相手が多いな。しかしせっかく見つけたんだから、何もしないでやりすごすのもあれだし……」
と、ダイソウ達を尾行しながら、思案に暮れている。
一方、ダイソウ達は、レキが組み上げた岩風呂や檜風呂がある露天のスパに到着する。
風呂釜はできているものの、お湯は張られていない。
「後はお湯を入れたいんだけど、どうせなら天然温泉がいいなーと思うんだけど」
「温泉を掘り当てるなど、大変じゃぞ」
と、先ほどからミアが注意している。
会話は聞きとれないが、隠れて様子を見ていたエヴァルトは、
「よし、決めた! あのダイソウトウの実力を試しに、一発撃ち込んでみよう」
いつまでも悩んでいても仕方ないと、エヴァルトは小型に改良したパイルバンカーを構え、ダイソウの足元に狙いをつける。
「直撃したらシャレになんないからな。こいつの気配に気づくかどうか……」
「ふむ、確かに温泉が出れば、非常に価値が高いが……」
と、ダイソウは土の固さをみようと、サーベルを腰から外して、鞘で地面をガシッと打ちつける。
その瞬間、ちょうどダイソウの足元に、
ドゴオッ!!
と、エヴァルトのパイルバンカーが炸裂する。
そして、
ぶしゅー……
と、地面の穴から、お湯が噴き出す。
「おお、見ろ。お湯が出たぞ」
「お、温泉掘り当てたー!」
エヴァルトの存在など知る由もないみんなには、ダイソウが温泉を掘り当てたようにしか見えない。
エヴァルトもエヴァルトで、
「ん? お、お湯が出てる……? ダイソウ、まさかわざと……まさかね」
と、無駄に勘ぐったりしてみる。
大喜びなのはレキで、
「わっほーい! これでカリペロニアランドは安泰だねー! あ、そうだカレン、向こうの器具、ミアが使いづらそうだったよ。子供用に高さ調整したらいいんじゃないかな」
と、カレンに意見を言っている。それが耳に届いたミアの眉毛がピクリと動く。
「レキ……どうもさっきからやたらと施設を使わせるから、おかしいと思っていたのじゃが……」
「あ、口が滑っちゃった」
「そなた! 子供でも使えるかどうか、わらわで試したおったのだなー!」
と、突然キレ出すミア。
「わらわを子供扱いするでないと、何度言ったら分かるのじゃー!」
ミアはレキの後ろから手を回し、自分にはない大きな胸を揉み始める。
「あん、ちょっと、ミア〜」
「おのれ、お仕置きじゃ。揉み揉みの刑じゃ。自分ばっかり大きな胸を持ちおって。おのれ、この胸め!」
お仕置きなのかじゃれあってるだけなのか、とにかく仲のよさそうな二人。
このレキの温泉を抜けると、すぐにラルク達の訓練所エリアとなる。
「おう、来たな! 今日はもう来ないかと思ったぜ」
カリペロニアランドで時間をかなり使ってしまい、ダイソウ達が訓練所に到着したのは、夕方になってからであった。
訓練施設はあらかた出来上がっており、ラルクはダンベルを抱えて、早速自分のトレーニングに没頭し、体中汗が噴き出している。
「俺はトレーニングで忙しいからよ、適当に見て回ってくれ」
「案内してくれるわけではないのか」
「広さは確保してるが、複雑な場所じゃねえから、大丈夫だろ」
ラルクの言った通り、ゆくゆく戦闘員の増員を見越して、かなりのスペースが確保された訓練所。
彼の見取図通り、非常にまともで整った施設が出来上がっている。
「材料はこっちで揃えたんだが、アサノファクトリーに図面を渡したら、あっという間にやっつけてくれたぜ」
「なるほど、いいんじゃないかな」
「うん。特に問題は……見当たらない」
「うん、これでいいんだよな」
「むしろこうあるべきなのよね。これが正しいんだよね」
アクシデント満載のカリペロニアランド体験の直後のため、問題の無さに若干の物足りなさを感じる一同。
くいくい
と、そこにダイソウのマントを引っ張るものが。
ダイソウが見下ろすと、彼のマントをペンギンが口で引っ張っている。
「わー! ペンギン! かわいい〜」
レキとカレンがペンギンに反応して抱きつくと、
「ぅぐ……」
と、ペンギンから声が漏れる。
「あれ?」
「痛いよ」
ペンギンがくちばしを開くと、口の中には円の顔が見える。
「き、着ぐるみ?」
「ふふふ。ダイソウトウ、ペンギン王国が大体できあがったよ。案内してあげる」
訓練所のすぐわきに出来上がっている、円の『ペンギン王国』。
ゲートをくぐると、冷房完備ガラス張りのペンギン用巨大水槽、ペンギンふれあいエリア、ペンギン体験の着ぐるみコーナーなど、ペンギン尽くしの専用水族館となっている。
「よ、よくこれほどのものを」
さすがのダイソウも感心する。
「ペンギンへの抵抗をなくすために、ふれあいエリアもあるよ。ちゃんと調教してあるから、どれだけもふもふしても平気」
と、円は早速ペンギンを抱きあげて、ひたすら愛でている。
「や、やばいわ。訓練所なのに癒されちゃう」
「ペンギン王国は、ペンギン部隊の足がかりだからね。島の反対には研究所を作ってる人がいるし、そこでペンギン怪人とかペンギン戦闘員を開発できるようになるよ」
円は先々のプランまで披露しながら、大量のペンギンたちで見学者をもてなす。
この先、ダークサイズの主力部隊は本当にペンギン部隊になってしまいそうだ。
「おーい、もう日が暮れるし、メシ食いに行こうぜ」
みんながペンギンに夢中になっているところに、特訓を終えてシャワーでさっぱりしたラルクが顔を出す。
「おお、もうすっかり日が暮れているではないか」
「ダイソウトウ、ペンギンにハマりすぎだぜ……」
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last