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リアクション
「……」
ドクター達と分かれて、再び果樹園へ向かう最中、白波 理沙(しらなみ・りさ)、ランディ・ガネス(らんでぃ・がねす)、リリィ・クロウ(りりぃ・くろう)が雅羅の前後ろを守っていた。
だが、三人の表情は常に険しく、警戒心をそこらじゅうに張り巡らせているようだった。
「あ、あの、そんなに警戒しなくてもいいと思うの?」
雅羅は声をかける。すると、まっさきに振り返ったのは理沙だった。
「だめよ! 雅羅さんただでさえ不幸体質なんだから!」
「わたくしは、僧侶として常に警戒心を忘れない修行を――」
理沙とリリィは、きっぱりと言い切ると再び周りを見回す。
「イチゴ、イチゴ、イチゴケーキ。イチゴモンスター♪」
そんなことをつぶやきながら、ランディだけはイチゴモンスターを探すことに必死だった。
だが、その警戒心は無駄ではなかった。
「雅羅さん、それに理沙さん止まってください!」
「えっ?」
リリィが突然、叫んだ。
すると、目の前の道に亀裂が入る。
だが、雅羅はすぐに体が動かせずに居た。
「神様、お守りを!」
リリィが、体を張って雅羅を後ろへと引っ張った。
目の前は土砂が崩れさっきまであった道が無くなってしまう。
「あ……ありがとう。助かったわ……」
「いえいえ、わたくしは僧侶としてあたりまえのことをしたまでですから」
リリィは手で拭くについた土をはたきながら立ち上がる。
だがその直後、リリィの表情は強ばった。
「り、理沙さん頭上気をつけてください!」
頭の上から落ちてきたのは、50センチはある岩だった。
「危ない!」
カイル・イシュタル(かいる・いしゅたる)は素早く理沙の頭上に飛び上がり、岩を蹴り飛ばした。
岩は見事に森の奥へと飛んでいき難を逃れる。
「ここは、まだ危ない。さっさと奥に行った方が良いだろう」
「そっ、そうね、慎重に先に進みましょう」
雅羅は、カイルの言葉に強く頷き、先を歩き始めた。
「すみません、わたくしもまだまだのようです」
「そんなことはないわよ。ねえ、カイル」
「ああ、そうだな。降ってきていることを教えてくれなければ俺も対応できなかっただろうからな」
申し訳なさそうにしているリリィに、カイルも理沙も感謝をした。
「あ! 大変です、大木が!!」
リリィは、雅羅の方を指さして叫んだ。
理沙が雅羅を見たとたん、開いた口がふさがらなかった。
「雅羅、ストップよ!」
「へ?」
先をゆっくり歩いていた雅羅は足を止めた。その真上には大きな大木。
だがその大木は根元が古いのか、傾いており今にも倒れそうになっている、
「普通なら、ありえないんだろうけど、雅羅ならあり得るわ……ランディ! 雅羅のそばへ行って!」
最悪の事を考えランディを雅羅のそばに行かせる。
「なんだって言うんだよ……ってうおおおおおお!?」
ランディが雅羅のそばにたどり着いたとたん、大木が倒れてくる。
とっさにしゃがむ雅羅。
ランディは倒れてきた大木を抱え上げた。雅羅の体は間一髪で大木につぶされずにすむ。
「ランディ、頑張るのよ。雅羅、ゆっくりこっちへ」
理沙が、雅羅を大木の下から脱出させた。
「うおーい、オレはどうすれば良いんだぜ!」
「うーん……カイル、なんとかできる?」
様子を離れて見守っていた、カイルは苦笑していた。
「いや、無理だな」
「そっか、じゃあどうしようもないわね」
「ちょ、おい!? どうしようもないってどういうことだよ!」
「つまりね、自分の力で頑張るのよ!」
理沙達はそのまま先へ進んでいった。
「おい、おいていくなよ。おーい!?」
無情にも、ランディの叫び声がずっとこだまする。
その後、遅れてきた学生達の協力もあり、ランディは何とか生還を果たすが、それはだいぶ後のことだった……。
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