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リアクション
第3章 ボスイチゴ現れる!
「イチゴって言えば、イチゴですよね!」
「うーん、イチゴはそのまま食べたほうが好きかな」
杜守 柚(ともり・ゆず)は雅羅と話をしながら歩いていた。
その場所はすでに、雲の上まで来ており、上空は青空が広がっていた。
「あれ……?」
それに気がついたのは杜守 三月(ともり・みつき)だった。
「あれって、果樹園の入り口じゃないか?」
雅羅と柚はまっすぐ前を見た。底にはアーチ上の看板に門が見える。
「果樹園の入り口かしら?」
「まってください! なにかでっかいのがあそこに居ませんか……?」
柚の言葉に今度は雅羅と三月が目を細め、もっとしっかりと見た。
「……」
それが何か分かった瞬間3人は声が出せなかった。
「でかいわね……」
雅羅がようやくつぶやいた一言だった。
果樹園入り口。そこでヴェルデ・グラント(う゛ぇるで・ぐらんと)、ルナ・ライト(るな・らいと)、健闘 勇刃(けんとう・ゆうじん)、枸橘 茨(からたち・いばら)、熱海 緋葉(あたみ・あけば)は先回りをしていた。
だが全員、門は開いているがどうしても、中に入ることが出来ない。
それには理由があった。
「何よこいつ! ぜーんぜん、倒れてくれないじゃないの!」
緋葉の前ではミニタイムちゃんタワーが、強力な電気をイチゴに与えていた。
全長10メートルはあるそのイチゴモンスターは、まるで蚊が飛んできてるかのように効果は薄かった。
だが、居るのは巨大イチゴモンスターだけでは無い。
「先回りして少しでも負担を減らそうと思ったんだが……多すぎる」
ヴェルデは目の前に並んだ数え切れないほどのイチゴモンスターを見て、ため息をついた。
大きさこそは普通だが、数が多すぎるために、ヴェルデ達だけでは果樹園に入ることがなかなかできずに居た。
「大丈夫ですか!」
柚が、雅羅と三月と共に加勢に入る。
「おお、来たか。罠を仕掛けては見ているんだが、どうしてもこの馬鹿でかいイチゴモンスターだけは罠にはまってくれないだ」
勇刃は巨大イチゴモンスターに向かって、クロスファイアを打ち込みながら柚に教えてくれた。
「巨大イチゴモンスターだけじゃない。果樹園の奥から小さなイチゴモンスター達がぞろぞろ、まるで温泉が湧くかのように出てきやがる」
続けて、ヴェルデが教えてくれた。
雅羅達はその言葉に、周りを見渡す。
「僕が、あのでかいイチゴモンスターに斬りかかってみる。柚と雅羅にはサポートをお願いしてもいいかな?」
「わかりましたわ」
雅羅と柚は三月の提案に素早く頷いた。
「どうにか、氷術が効かないかな」
柚は、巨大イチゴモンスターに向かって凍術を試みるが、やはり凍る様子はない。
だが、柚の凍術のすぐあとに三月が斬りかかると、傷を与えることができ、イチゴの汁が飛び出てきた。
そんな三月の様子を、遠くから全員に魔法で回復させながら見ていたルナは、何かを思いついたようだった。
「もしかしてこれって、同時に攻撃すればダメージを与えられるんじゃ……」
ルナは近い勇刃とヴェルデの元へ駆け寄った。
「もしかすると、同時にみんなで攻撃すれば効果があるかも!」
勇刃は強く頷いた。
「よし、茨、緋葉! 同時に攻撃をしてみるぞ!」
「てことは、遠距離攻撃で良いの?」
茨の質問に勇刃は頷きながらクロスファイアを打つ構えを取った。
茨もサンダーブラストを打つ構えを取る。
「あたしは、このままミニタイムちゃんタワーでいいよね?」
緋葉は結果的にそのまま同じ攻撃を続けることになった。
「あんまり俺は、接近戦には向いていないんだが、少しでも効果がある方が良いな」
ヴェルデはリターニングダガーを持つと、真っ先にイチゴモンスター方へと走っていく。
「援護します!」
柚が後ろから、巨大イチゴモンスターの周りを囲んでいる、イチゴモンスターを狙い、ヴェルデがイチゴモンスターにたどり着けるように道を空ける。
「いくぞみんな、いち、にの、さん!」
勇刃の「さん」っというかけ声と共に、全員が一斉に巨大イチゴモンスターへ攻撃する。
イチゴモンスターは体制を崩し、崩れ落ちる。
「やりましたか!」
柚が喜びの声を上げる。
「いや……たぶん一時的に倒れてるだけな気がしますわ」
雅羅は、喜ぶのを横目に見ながら巨大イチゴモンスターへの警戒を止めなかった。
「健闘君、緋葉さん。まだ喜んでいられませんわ、普通のイチゴモンスターが残ってますわよ」
茨はサンダーブラストで次々と普通サイズのイチゴモンスター達を倒しながら言った。
だが、イチゴモンスターは倒しても倒しても果樹園の奥から出てくる。
「やけに多いな……」
「あいつらなら、トラップも引っかかるが……数が多すぎるな」
ヴェルデは勇刃と会話をしながら、罠を仕掛けていく。
所々にあるヴェルデの罠にイチゴモンスター達ははまっていくが、数が多いためにすり抜けてくるイチゴモンスターが居た。
その罠をすり抜けてきたイチゴモンスター達を、勇刃がゲーム感覚で殲滅していく。
「この調子だと、永遠と作業ゲー……じゃなかった、わき出てきそうだ」
勇刃は果樹園の奥を見て言った。
「思ったのですが、もしかしてこれ魔方陣が暴走してる限り永遠と沸くんじゃ……」
柚がそうつぶやいた瞬間に、巨大イチゴモンスターは再び動き始めた。
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