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リアクション
第2章 危険はモンスター意外にも
清泉 北都(いずみ・ほくと)は雅羅達を遠くから見ながらも、常に雅羅達の一歩先を警戒していた。
「ん……」
北都は禁猟区によって、危険人物が前方に居ることを察知した。北都はそちらの方を鋭い目でにらむ。
見えたのは裸体の男だった……。
「なんだ変熊さんか、放っとこう」
変熊 仮面(へんくま・かめん)はみんなに見つからないようにとこっそりと、先を向かっていたのだった。
だが、北都の禁猟区はそれとは別の危険も察知していた。そちらを見れば、赤い物体がぞろぞろと向かって来ていた。
「これは、たいへんそうだなー」
すぐに北都は、銃型HCを使い呼びかけた。
「応援を頼む! イチゴモンスターだ。数、三〇近く」
しばらくすると、モーベット・ヴァイナス(もーべっと・う゛ぁいなす)、エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)、ネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)が応援に駆けつける。
イチゴモンスター達は、目の前にまで来ていた。
「これはまた、おいしそうな……いや、さっさと片付けよう」
モーベットはそう言うと、サイドワイダーでイチゴモンスター達を足止めする。
一方でエッツェルとネームレスはイチゴモンスターをどう料理しようかと、楽しんでいた。
「いやー、本当にでっかい一度ですねえ。これならジャムとか作り放題じゃないです?」
「活きが良い……」
ネームレスはぽつりとつぶやいた。表情はよく分からないが、食べる気で居る。
「一杯居るようですし、どうぞ食べて良いですよネームレスさん」
そう言うと、ネームレスの姿はその場から消え、イチゴモンスターへとかぶりついていた。
「さて、私も楽しみますか」
エッツェルは素手でイチゴモンスターへと殴りかかって行った。
「……なんか、すごいのが応援にきたねえ」
素手で殴りかかるエッツェルに、イチゴモンスターに口を開けてかぶりついているネームレスを見て、北都は唖然としていた。
「北都、よそ見してる場合ではないのだよ」
鳩が豆を食らったように呆けていた北都に、モーベットは軽やかに声をかけた。
「あ、そうだね。僕も負けてられない」
一〇匹近くのイチゴモンスターの前に、北都とモーベットは立ちはだかった。
向かってくるイチゴモンスターに、モーベットはクレセントアックスを使って叩ききる。
北都は、モーベットが逃したイチゴモンスターを体術で次々に倒す。
「っと、逃がさないよ」
少し離れたところに居るイチゴモンスターには北都の持つ銃が火を噴いていた。
「あ……エッツェルさんそっち行きます」
「ん?」
北都は、取り逃したイチゴモンスターがエッツェルに近づいてきていることを知らせた。
エッツェルは瞬発的に横によけると、イチゴモンスターはネームレスによってかぶりつかれてしまった。
「うーん、そいつら食べて大丈夫?」
北都は不思議そうに首をかしげながら、ネームレスに聞いた。
「大丈夫……おいしい」
「ふむ、このモンスターは食べられるのか?」
ネームレスの答えを聞くなり、モーベットはメガネを指で持ち上げると、倒れて沈黙としたイチゴモンスターを興味深そうに眺めていた。
「まあ、私はおすすめしませんけどね。普通の人が食べればおなかをこわすんじゃないでしょうか」
エッツェルの言葉に北都も大きく頷く。
「というか、食べるものじゃないとおもうよ、こいつら」
「む、残念だ……」
モーベットは、少し残念そうに肩を落とした。
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