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リアクション
「見て!」
と、何かを見つけたミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)が声をあげる。
それを聞いた契約者たちはミーナの元へと集まってきた。
「どうしたんです、ミーナ!?」
ミーナの契約者である長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が彼女に声をかける。するとミーナは生い茂る雑草の中に落ちていた蒼穹学園のメガネを皆に見せた。
「それは八重のじゃねぇか!?」
奈津が声をあげる。
「あっ、こっちにも何かあるみたいよ」
そう言って駆け出したのは、エリザロッテ・フィアーネ(えりざろって・ふぃあーね)。
彼女が近づいていくと、何者かがガサガサと草むらの中で動く。
「誰!?」
エリザロッテは慌てて武器を構え、戦闘態勢を取った。
だがそれは取り越し苦労に終わる。
なぜならそこから出てきたのは小さな子ぐまだったからだ。
しかもその子ぐまはなぜか頭に喪悲漢をのせていた。
「この子ぐま……そしてあの喪悲漢――まさか!」
それを見たエリザロッテは自分の契約者であるヴェルデ・グラント(う゛ぇるで・ぐらんと)の姿を思い出す。
「くまーっ」
と、その子ぐまが一声鳴いてどこかに向かって歩きだした。
「ついてこいってこと?」
エリザロッテはそうつぶやき、みんなを促して歩きだした。
子ぐまはクンクンと匂いを嗅ぎながら道なき道を行く。ところどころに無理やりなぎ倒された木など見受けられる。
そして人が踏んで歩いた後も、わずかにだが残っていた。
「この先に敵のアジトがあるのか」
そんな周りの様子を見て、三途川 幽(みとがわ・ゆう)は体を武者震いさせる。
「ちょっと幽、どこに行くんですか?」
だがそんな幽の後ろから、パートナーのリリア・ローウェ(りりあ・ろーうぇ)の声が聞こえてきた。
なんで後ろから? と思いながら幽が振り返ると、なぜかみんなが進んでいるルートとは違う道を彼は歩いていた。
幽の頬をたらりと汗がつたう。
実は幽はもの凄い方向音痴なのだ。物忘れが激しく、その事実に気づいていないパートナーのリリアは首をかしげる。
「そちらになにかありましたか?」
「いや、別に」
「そうですか、なら早く皆さんと参りましょう」
「わっ、わかってるよ」
幽は恥ずかしさを隠すように大股に歩いて、みんなの元へ戻ってきた。
(なんだか、ルイみたいな人がいるなぁ)
そんな幽の姿を見て、自分の契約者のことを思い浮かべるのはシュリュズベリィ著・セラエノ断章(しゅりゅずべりぃちょ・せらえのだんしょう)。
いま彼女が頭に思い浮かべている美マッチョルイ・フリード(るい・ふりーど)の姿は、この場にはない。
「それにしても嫌な感じ」
セラは眉をひそめてぽつりとつぶやく。
みんなと一緒に進むセラは、敵のアジトへ近づけば近づくほど気持ちがざわついていた。
「こんな時、ルイがいればなー」
再びルイを思い浮かべるセラだったが、あいにく彼は、買い物に出かけていて帰ってきていなかった。
しかも買い物にいってもう三日も経っている。ルイは幽と同じ――いや、それを超えるほどの方向音痴なのだ。
なので、あと四日もすれば多分帰ってくるだろうとセラも思っていたが、実際どうなるかは誰にもわからない。
ただ今回はルイがいないうちにひとりで冒険にでかけて、ルイをびっくりさせちゃおうというのがセラの考えだ。
セラはひとり気合を入れて鼻息を荒くする。
「とにかくセラは頑張るしかないよね」
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