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リアクション
(嫌な感じがするなぁ)
セラと同じようにざらつくもの感じ取っていた月谷 要(つきたに・かなめ)は胸の中でつぶやく。
だがそれがなんなのかはわからない。
ただ確実に何かとんでもないものがいる――そんな予感を彼は抱いていた。
「――隠れろ!」
と、源 鉄心(みなもと・てっしん)が突然みんなにそう言った。
戦争の最前線で戦い続けてきた歴戦の戦士である彼の直感が、敵の存在に気づいたのだ。
敵の気配を察知した鉄心は、皆にすぐ隠れるように指示を出すと、自分も木の影に隠れる。
するとほどなくして、武器を手にした3人組みの男が現れた。
彼らはキョロキョロと辺りを見回すと、足の向きを変えてどこかへと消えていった。
「あいつらって鏖殺寺院の信徒よね?」
消えていった男たちを見て、草影に身を潜めていたセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)がつぶやく。
「ええ、どうやら今回の事件は鏖殺寺院が絡んでいるようね」
側で同じように身を潜めていた恋人兼パートナーセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が、静かに答える。
「――みんな、もういいだろう」
敵の気配が完全になくなったのを感じ、鉄心が声をあげた。
すると隠れていた面々が姿を現す。
「どうやら敵も警戒を強めているようですね」
うーんと唸りながら、風森 望(かぜもり・のぞみ)がつぶやく。
「相手は鏖殺寺院……イルミンスールの森をそんな輩がウロウロしているなんて、ここも物騒になりましたわね」
ため息をつきながら望のパートナーノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)が言った。
「敵は鏖殺寺院だけじゃないかもしれないわよ」
と、フレデリカ・レヴィ(ふれでりか・れう゛ぃ)が言った。
「どういうことですか、フレデリカ様?」
望は同じ騎士団に所属するフレデリカの言葉に首をかしげる。
「みんな、これを見て」
そう言ってフレデリカはティ=フォンを取り出すと、一枚の画像を皆に見せる。
イルミンスールを守るミスティルテイン騎士団に代々所属する名門出身のフレデリカは、出発前にそのコネクションを使って様々な根回しを行なっていた。
そしてイルミンスール周辺で最近目撃された怪しい人物の写真が、先ほどティ=フォンへと送られてきたのだ。
「鏖殺寺院の信徒と一緒に写っているこの白衣の男は何者だ?」
写真を覗き込んだ柊 真司(ひいらぎ・しんじ)がフレデリカに聞いた。
「詳しいことはわからないそうよ。でもこの男、この森の中での目撃情報もあるのよ」
「そいつは怪しい。鏖殺寺院との付き合いもあるようだし、この男が今回の事件に関わってる可能性は高そうだな」
「ええ、私もそう思うわ」
契約者たちは今回の敵が鏖殺寺院だけではないことがわかり、身を引き締める。
そして敵のアジトへ着いた時、どのように行動するかを話し合いながら、道案内の子ぐまの後について歩いていくのだった。
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