蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

パラミタ・ビューティー・コンテスト2

リアクション公開中!

パラミタ・ビューティー・コンテスト2

リアクション

 

ソア・ウェンボリス

 
 
『エントリーナンバー6番、ソア・ウェンボリスさんの登場です』
 シャレード・ムーンが、ソア・ウェンボリスの名を呼んだ。
「ほら、御主人の番だぞ」
「うん、行ってくるね。また後でね、ベア」
 雪国ベアにうながされて、ソア・ウェンボリスがゲートからステージへと飛び出した。
ストレイ☆ソア参上です
 スイーツ魔法少女少女姿のソア・ウェンボリスが、元気に名乗りをあげた。ピンクを基調とした魔法少女衣装で、パフスリーブのブラウスと、ショートパンツの上に前のやや開いたオーバースカートを巻いている。襟元は幅広のアスコットタイできりりと締め、白いエプロンが胸元からお腹にかけてを可愛らしく被い、端のフリルがまあるくエプロンを飾っている。頭の布巾には、スカートと同じリボンで両サイドを締め、後ろへと長い帯をのばしてその先に大きなリングを留めている。手首はグラブカフスに飾られ、足許はニーソックスにレッグウォーマー風のひらひらしたファンネル型の飾りがついていた。ぱっと見では分からないが、衣装の細かな場所には、ルーンを織り込んだステッチなどが隠されていた。
 手に魔道書をかかえたまま、ソア・ウェンボリスが笑顔で花道を歩いて行く。
「いい笑顔じゃのう」
 楽屋裏でまだ目玉アピールをして女性陣に追い出されたアキラ・セイルーンを引きずって客席に戻ったルシェイメア・フローズンが、ソア・ウェンボリスの笑顔を見てちょっと癒やされた。
我求めるは、天翔る翼ー♪」
 花道の突端で空飛ぶ魔法↑↑で軽く宙に飛びあがったソア・ウェンボリスが、オーバースカートをクルリと回して広げながらターンを決めた。
「ソアは、相変わらず小柄で可愛いなあ」
 ソア・ウェンボリスがショートパンツを穿いていてくれたために難を逃れたコハク・ソーロッドが、友人であるソア・ウェンボリスを応援した。
「あれは、反則であります!」
 なぜか、飛びあがったソア・ウェンボリスを見て、大洞剛太郎が悔しそうに拳に力を込めた。
 ソア・ウェンボリスがステージに戻ってくると、袖から何やらシステムキッチンが現れた。押してきたのはもこもこの雪国ベアである。
「ゆるゆるもこもこふわっふわー、ゆるゆるもこもこふわっふわー。ゆるゆるもこもこふわっふわー、ゆるゆるもここ……」
 なんだかテーマソングを口ずさみながら、雪国ベアがステージにキッチンを作りあげる。
「魔法少女3分クッキングが始まりまーす」
 調理長用の山高の白い帽子を被って、ソア・ウェンボリスがはきはきとした声で言った。
「おお、これは……」
 最近夫婦で料理に凝り始めた御神楽陽太が、ちょっと身を乗り出した。
「今日は、アイスボックスクッキーを作ります」
 そう言うと、ソア・ウェンボリスが生地をこね始めた。普通のクッキー生地と、チョコレート生地の二種類を作っていく。
「この二つを綺麗に組み合わせます。混ぜちゃ、ダメですよ」
 生地を細長い四角柱に整えると、それを四つ組み合わせて、断面が市松模様になるように生地を作ってラップでくるんだ。
「これを、冷蔵庫で冷やします」
「任せとけ。3秒で終わらせてやるぜ
 生地を受け取った雪国ベアがステージ袖に走っていって消え、即座に駆け戻ってきた。手には、よーく冷やされたクッキー生地がある。でも、なんだかさっき持っていった物と微妙に大きさが違う気もする。
「固くなって扱いやすくなった生地を、クッキーの厚さに切っていきます」
 ソア・ウェンボリスが、包丁でクッキー生地を薄く輪切りにしていった。金太郎飴のように、綺麗に生地が市松模様になる。
「これをオーブンで焼きます」
 生地をならべた鉄板を、二台ならんだオーブンの下の方に入れて、ソア・ウェンボリスが言った。
特製マジカルクッキーですから、ここで魔法のオーブンが登場です。スティーブ……じゃなかった、ベア、クッキーを取り出してください。3、2、1。はいどうぞ」
「おっしゃあ、凄い、もう焼きあがっているぜ」
 ソア・ウェンボリスに言われて、雪国ベアが上のオーブンから、焼きあがったクッキーを取り出した。
「完成! 魔法少女ストレイ☆ソア、無事に事件を解決です
 できあがったクッキーを小分けして、ソア・ウェンボリスが審査員に配っていった。
「魔法のオーブン恐るべし。私も一つ装備したい物だな」
 素直に信じたコア・ハーティオンが、自分もほしそうに言った。
「あれは、最初から焼いてあったものでは……」
 非不未予異無亡病近遠が、あまりにもベタな展開にちょっと微笑む。まあ、そうでもしなければ、3分でクッキーを作れるわけもない。
「可愛いから、いいのですわ。あたしも食べたいのです」
 可愛いは正義とばかりに、ユーリカ・アスゲージが言った。
ふっ、バレバレだぜ
 ニコニコしているソア・ウェンボリスとは対照的に、照明の当たらない所で独り言をつぶやく雪国ベアであった。
「へえ、なるほど。確かに、一つの仮説としては成り立つよね。でも、証明のしようはないよ」
 それを聞いたぬいぐるみ妖精が、何ごとかぶつぶつとつぶやく。
「ほれっ」
 黙っていろと雪国ベアが余ったクッキーをバラバラと放り投げると、ぬいぐるみ妖精がそれをパクパクと空中キャッチした。
「う〜ん」
 ソア・ウェンボリスのぬいぐるみ妖精を見て、なんとなく自分のティコナちゃん人形を見つめる源鉄心であった。
『それでは、審査員の方々……』
 シャレード・ムーンが審査員に寸評を求めたのだが……。
『べぶぼべばばびびべべ』
『ぽりぽりぽり、ぼぼぶびばぼびびびべぷば……』
『えっと、食べ終わったら、また聞きたいと思います』