リアクション
第16章 たまには休息を…エリドゥStory4
「(―…ルカたちはどこに!?む、…メールか。なっ!!?)」
海でオメガと泳いでいた淵が砂浜に戻るとパートナーたちや鋭峰の姿も見当たらない。
その時、石に立てかけておいた携帯から音が鳴る。
ルカルカからのメールを見ると、“頑張れ!”というエールの文字があった。
淵にばれないように、ルカルカたちは2人が見える場所で見物していた。
「…淵さん?」
「はっ!…オメガ殿、浜辺で貝でも探そうか」
「面白そうですわ。…いろいろな貝がありますわ」
「あまりよいものが見つからないな」
「頑張ってください、淵さんなら見つけれます」
「ありがとう、オメガ殿。(むっ、これは…)」
オメガに応援してもらった淵は、その声に答えようと探していると、波打ち際に転がる貝を発見する。
「耳に当てると潮騒の音がするそうだ」
巻貝を見つけた淵は、オメガの耳にそっとあてる。
「―……聞こえます。不思議ですわ」
コォオォオ…ザザザッと小さな音が聞こえる。
「自習の時もオメガ殿が励ましてくれたおかげでいつもよりうまくいった」
「そんなことありませんわ。淵さんが頑張った結果ですもの」
「(巨大な敵にも動じぬ俺がなんとしたことか…)」
オレンジがかったブロンドの瞳と視線が合ってしまい、淵の鼓動は彼女に聞こえてしまうのではないかと思うほど早鐘を打つ。
「オメガ殿…」
「はい…?」
「これからは、殿をつけずオメガと呼んで良いか?」
すぐ傍にいる大切な人を目の前に、緊張する気持ちを抑えた淵は、勇気を振り絞って言う。
「ええ、構いませんわ」
真剣な眼差しを向ける彼に、にこっと微笑む。
だが、しかし返事と反応が妙だ…。
「わたくし淵さんのこととても好きですし、淵さんのことを親友と思っているのですから、そう呼んでいただけるほうが嬉しいですわ」
「し…ん…ゆ……う?」
その2文字に淵の精神がフリーズしかかる。
遠まわしに付き合ってくださいと言ってたのだが、まったく気づかれていない。
勇気の結果はパートナーたちも知っている。
彼が告白するであろう場所に置いた、通話モードのルカルカの携帯を通して、カルキノスの携帯から聴いていたのだ。
「ありゃー、分からなかったみたいね」
「そもそも恋だとか分かんねぇんじゃないか?親友と恋愛の好きの違いも理解してねぇだあれは」
「はうっ、淵……可哀想っ。でも、フラレたわけじゃないもんね!よく知らないってことだけだから」
「つーかさ…、あいつから恋だとか教えるってなんか、あれじゃねぇ?しかも、また失敗しそうだぜ」
「そうね、ここがルカが教えなきゃ!」
淵のためにも恋について教えなければ!と燃えたルカルカだった。
「あら…オメガ様。お1人ですか?」
「さっきまで誘っていただいた親友と、遊んでいましたわ」
「せっかく水着なのですから一緒に遊びましょう」
綾瀬の言葉にドレスが“え…。”と小さく声を上げた。
「リトルフロイラインは海に入っても大丈夫なんですの?」
「水中で長く呼吸を出来るわけではありませんが、問題ありません!」
「ね、ねえ、綾瀬?そのまま入ったりしないわよね」
「ボートで遊ぶつもりですから心配いりません。リトルフロイライン、いらっしゃい」
「はーい綾瀬様!」
海に浮かべられたボートにリトルフロイラインが飛び乗る。
「オメガ、次は使い魔を呼び出してみるんだったわよね」
「はい、そのつもりですわ」
「どれにするか決めているの?」
「水の魔性にしようかと思いますわ」
「確かニクシーね」
「えぇ、そのはずですわ」
端から見えれば綾瀬と会話しているように見えるが、今話している相手は装着しているドレスのほうだ。
「―…綾瀬、風が出てきたから戻らない?」
「そうですわね。あっ」
浜辺へ戻ろうとオールで漕ごうとしたその時、強風に煽られボートがひっくり返ってしまった。
3人は仕方なくボートを押して浜辺に戻る。
「濡れてしまいましたわね…ドレスさん」
「ホント、私…可哀想なことになってるわ」
「散歩していればそのうち乾くでしょう」
「(自然乾燥!?酷いわ、綾瀬。乾かなかったら帰るまでびしょ濡れじゃないの、私ってば…)」
綾瀬の物言いにドレスはムッとする。
「―……濡れたままでは、ドレスさんが風邪をひいてしまいそうですわ」
「どこかで乾かせればよいのだけどね」
「却下します。解除してしまったら私がどんなことになるか…。人目がない乾燥機つきの洗濯機なら考えなくもないですが」
「やめて!私が干からびちゃいそうよ」
「フフフッ、冗談ですわ」
「綾瀬さまー、キレイな貝を見つけましたっ。…あわっ!?」
こけてしまったリトルフロイラインが、綾瀬に激突してしまう。
その拍子に綾瀬は砂浜に倒れてしまった。
「す、すみません、綾瀬様。お怪我はありませんか?」
「大丈夫ですわよ、リトルフロイライン」
「私は大丈夫じゃないんだけど」
装着しているドレスが砂まみれになった。
「ドレスさん…洗ったほうがよいですわね。海水ですが、そこに…」
「いやもう、家に帰るまで我慢するわ」
「なるほど。海水で砂を洗い流すという手がありましたね」
「ちょっと…綾瀬?私はただの服じゃないのよ。そんな、手荒くしないでっ。雑に洗わないで!!」
着られたままざぶざぶ洗われる。
結局、家に帰るまでドレスは乾かなかった。
皆様、大変お待たせしました。
書いていて好きにいぢ…いえ、とても楽しかったです、はい。
リアクションの描写はシナリオガイドのマスターコメントの通りです。
担当外のシナリオの内容に触れないPCやNPCとの関係は問題ありませんが、その他の描写はなくなっています。
持ち込みと思われるもの、オーバーものは見えない魔性さんに食い尽くされています。
「シャクシャクシャクシャク…」
さて次回は、実戦の予定です。
●成功したアイデア術
(敬称略)
■術名:マグヌスエクソシズム(強化)
メンバー1:ルカルカ・ルー/ダリル・ガイザック/カルキノス・シュトロエンデ/夏侯 淵
中願寺 綾瀬(計5名)
メンバー2:ルカルカ・ルー/ダリル・ガイザック/カルキノス・シュトロエンデ/夏侯 淵
中願寺 綾瀬/ベアトリーチェ・アイブリンガー/小鳥遊 美羽(計7名)
・魔道具
ハイリヒ・バイベル:裁きの章II/哀切の章II
ニュンフェグラール:リトルフロイライン(ポレヴィークII)
術者能力:エクソシスト・アークメイジ以上の称号を持つ者(各章、1人以上)
発動条件:
※1:ポレヴィークIIを使役する者が、術の修練を積むことで効果の※1、2の発動確立が上がる。
・効力
2つの章の効力を与えたポレヴィークは、祓魔術の光で酸の雨を包み込み、植物の蔓で直径6cmくらいの球体を作り出す。
球体で霊や魔性を囲み、破裂させ渦潮のように激しく回転し、数体に光輝魔法ダメージを与える。
機械に憑く以外の魔性の魔法防御力も一定時間下げ、対象を溶かすか任意で行える。
※1:40%程度/(下級相手の確立のみ)
威力を下げなくても痛みを与えにくくする。
※2:40%程度/(下級相手の確立のみ)
対象を1度目の術で祓いきれなかった場合、一定時間徐々にSP・体力を徐々に減少させ続けることがある。
その効果を受けた対象は、一定時間SPの回復行動を行えなくなる。
※一般的なイメージです。
リトルフロイライン二丁拳銃武装:前方半径40mまで威力を落とさず、一丁につき祓魔弾を3発連射することが可能。
■術名:レイン・オブ・ペネトレーション(強化)/和名:見抜き通す雨
メンバー:七枷 陣/ジュディ・ディライド/仲瀬 磁楠/遠野 歌菜
月崎 羽純/カティヤ・セラート(計6名)
・魔道具
ハイリヒ・バイベル:裁きの章(I、II)
エレメンタルケイジ:エアロソウルLvII/アークソウルLvI
・効力
半径40メートル範囲で、機械に憑くような魔性の魔法防御力を、一定時間下げる。
メンバー内の術者が得る効果:
エアロソウルLvII・アークソウルLvIがなくとも、その効力を得ることが出来る。
メンバー以外の仲間の効果:
若干透明に見えるが、不可視の魔性を見ることが出来る。
■術名:セイクリッド・ハウル/和名:聖なる雄叫び
メンバー:七枷 陣/ジュディ・ディライド/仲瀬 磁楠/遠野 歌菜
月崎 羽純/カティヤ・セラート(計6名)
・魔道具
ハイリヒ・バイベル:裁きの章II/哀切の章II/悔悟の章I
エレメンタルケイジ:エアロソウルLvII/アークソウルLvI/フレアソウルLvI
ホーリーソウルLvII
エレメンタルリング
術者能力:エクソシスト・メイジ以上の称号を持つ者(裁きの章II、1人以上)
・発動条件
※1:最後に唱える者は、ハイリヒ・バイベルに記した哀切の章IIを使える者でなければならない。
※2:ハイリヒ・バイベルに記した悔悟の章Iを使える者が2人以上いない場合、能力を合成しきれず効果の※2は発動しない。
効果を受けて使うメンバー1人のみの効果:※2は発動条件を満たしていないと発動しない。
炎の魔力の気を纏い、氷・水・毒の属性を持つ魔性の進入から一瞬だけ身を守る。
不可視の魔性などを見ることが出来る。
目に見えないもの、姿を隠している者の気配を感じる。
魔性や邪悪な心を持つ相手にダメージを与える。
※1:機械に憑く以外の魔性の魔法防御力も一定時間下げ、対象を溶かすか任意で行える。
※2:対象を1度目の術で祓いきれなかった場合、一定時間徐々にSP・体力を徐々に減少させ続けることがある。
その効果を受けた対象は、一定時間SPの回復行動を行えなくなる。
一部の方に、称号をお送りしました。
それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。