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リアクション
昼、ヴァイシャリー、百合園女学院学生寮。
「何か賑やかだと思ったら平行世界の人達がこちらに来ていたなんて。前のような危険な事件は関係していないみたいだから良かったけど……」
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は学院の方から聞いたパラミタを賑わしている騒ぎについて思い出しながら廊下を歩いていた。
「もしかしたらあの子も来ているかな」
ふと上映会で見たり同化現象騒ぎで共闘した平行世界の自分を思い出し、もしかしたらと思ったネージュは捜しに行こうと歩き出した。
廊下。
「ここは学院の寮? さっきまでいたのは……もしかしてまた何かあったのかな」
可愛らしい男の娘は周囲を頼りなく見回していた。実は平行世界の住人で訳も分からずに呼び出されて困っている所。
「と、とにかく誰かに聞かなきゃ」
突っ立っていても仕方無いと判断した男の娘は人を捜して行動を起こした。
しかし、
「ふわぁあぁぁぁ」
ドジっ子のためか何も無い所で転倒し、人捜しは一時中断となった。
そこへ
「大丈夫?」
聞き覚えのある優しい声と差し伸べられた手。
「……大丈夫……あっ」
手を握りゆっくりと起き上がり、相手を確認した途端、男の娘は驚きで言葉が止まった。
「また会ったね」
いたのは笑顔のネージュだった。
「うん。またありがとう」
おっとりとした笑顔でうなずく内気な男の娘、平行世界のネージュ。
この状況はまるで共闘したあの時と同じだった。
「慌てなくても今回は何も事件は起きていないよ」
ネージュは事情の詳細を伝えた。
「……帰れるのは明日の朝……どうしよう」
事情を知った男の娘ネージュは困った顔に。
「ねぇ、あたしのお部屋でお菓子を食べながらお喋りをしようよ」
ネージュは笑顔でちょっとしたお茶会に誘った。再会したのも何かの縁、別れまで楽しまなければもったいない。
「うん」
男の娘ネージュはこくりとうなずいた。相手はこちらの自分。何も不安になる必要はない。
ネージュは自室に案内して平行世界の自分を美味しい紅茶と自作のお菓子でもてなした。
ネージュの部屋。
「どうかな? お口に合うといいんだけど」
「とっても美味しいよ」
ネージュがお菓子の味を訊ねると男の娘ネージュは美味しそうに食べながら元気に答えた。
「ありがとう。それと、前はたくさん助けてくれてありがとう」
ネージュは紅茶を飲みながら改めて以前の共闘のお礼も付けた。
「……ううん、お礼が言いたいのはボクの方だよ。一緒にいてくれたらあんなに頑張れたんだよ。だっていつも転んだりみんなに迷惑を掛けたりして……あぁっ」
男の娘ネージュはぷるりと頭を振った後、ドジをする日々を思い出し少ししょんぼりした時、うっかりカップを落としてしまい、テーブルと男の娘用カスタム制服を汚してしまった。
すぐさま
「大丈夫、大丈夫」
ネージュは布巾でテーブルを拭く。相手が思い詰めないように笑顔で。
「……ごめんね」
迷惑を掛けた事を謝り少ししょんぼりの男の娘ネージュ。
「謝らなくて大丈夫だよ。それより、制服が汚れちゃったね」
ネージュは紅茶のシミが出来ている男の娘ネージュの制服を見て思案。
「……うん。でも少しだけだから大丈夫」
制服どころではない男の娘ネージュはぼそり。
「だめだよ。可愛い制服にシミを作っちゃ……そうだ!」
ネージュは軽く厳しい顔をしたかと思ったらな何か妙案が思いついたのか少し席を外しごそごそ何事かした後、手に衣類を持って戻って来た。
「これをどうぞ」
そう言ってネージュが差し出したのはカスタム制服。
「うわぁ」
制服を見るなりぱぁと顔を輝かせ嬉しそうに制服を受け取った。
「プレゼント! 色々助けて貰った事と再会して楽しく過ごせた事へのお礼。本当ならお別れする明日が良いかもしれないけど」
ネージュは男の娘ネージュが元気になった事に安堵した。
「ありがとう! とっても気に入ったよ」
男の娘ネージュは思いがけないプレゼントに嬉しさで笑顔になった。
それから男の娘ネージュはプレゼントの制服に着替えて汚れた制服を洗濯に回してからまたネージュ達はお喋りに花を咲かせた。
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