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【創世の絆】光へ続く点と線

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【創世の絆】光へ続く点と線

リアクション


プロローグ

 北ニルヴァーナの海上に突き出た、ピラミッドを思わせる遺跡を擁した島。現在その遺跡を破壊すべくインテグラル・ナイトの群れが押し寄せてきているという。アクリト・シーカー(あくりと・しーかー)ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)とのやり取りを終え、『ヒトガタ』搬出指示を出した後しばし事態を考察した。ジェイダスの手早い手配と指示で海岸線に沿ってイコン大部隊が展開し、遺跡周辺にも警護のイコンのの手配を行ったと言っていた。また別途遺跡内の防衛システムや機晶ロボから探索メンバーを救い出すための部隊も動き出している。
 アクリトはざっと今までの探索結果をさらった。ジェイダスが契約者たちと共に時間を稼いではくれるだろうが、残された時間は少ない。
「……もう少し調べておきたかったのだがな」
それを受けて今回の探索に参加していた十数組の契約者たちが名乗りを上げた。アクリトはその全員に救出部隊との合流予想時間や座標についての連絡を逐次入れることを伝え、契約者たちは各々散っていった。
 ジェイダスはその美しい顔に厳しさを加え、海上に展開するインテグラル迎撃部隊と海岸線に向かってきているナイトの群れを見た。
「海上の見通しは良いが、油断するな。各機連絡を絶やさぬよう」
ジェイダスの命を受け、ラドゥ・イシュトヴァーン(らどぅ・いしゅとう゛ぁーん)が全部隊に向けて通信を行うと、ジェイダスのイコンは遺跡方面へと向かった。遺跡入り口付近の哨戒に当たることにしたのである。
「……わかった。なるべく時間を稼いでくれ」
 キロス・コンモドゥス(きろす・こんもどぅす)は遺跡付近で哨戒に当たるジェイダスからの通信を一旦切り、周囲を見回した。先ほどまでそばにいたはずの夏來 香菜(なつき・かな)の姿がない。
「あれ? アイツどこへ行った……?」
傍にいた契約者が香菜とルシア・ミュー・アルテミス(るしあ・みゅーあるてみす)の二人が、アクリトからの探索についての話があった直後、連れ立って探索に向かったようだと告げる。
「……おいおい……またかよ……。なんだって勝手に危ねえことはじめるんだあいつらは……探しに行ってくる!」
「連絡を絶やすなよ」
「……あぁ」
呼びかけたアクリトに唸るように返事をすると、キロスは苛立ちをあらわにしながら急ぎ二人を探しに単身遺跡内を探索に向かった。どうも自分は毎度後手後手に回ってしまう。幾分抜けているせいもあるのだが、当人はそのことに気づいていない。
 一方遺跡内に閉じ込められた状態になっている探索隊の救出に向かった契約者たちも続々と海上遺跡に到着しつつあった。その中には白昼の幽霊のような姿のアラム・シューニャと、対照的に濃い影のようなレナトゥスの姿もあった。
「僕は元から存在を感知されにくいし、君の姿も暗がりでは見えにくいだろう。そのことが何か有利に働くかもしれないな」
「ワタシは……ここを知っていル」
自らレナトゥスと名乗ったインテグラル・クイーンはどこか懐かしむような表情で遺跡入り口を見つめていた。
「そうか……『ヒトガタ』のこともあるし、何か関係があるのかもしれないね」
アラムは言った。彼女が何か思い出せば、あるいは突破口を開くことが出来るかもしれない。香菜と似た面差しの少女の横顔を見つめ、アラムは思った。
「……行こうか」
アラムがレナトゥスに声をかけたそのとき、背後から元気のいい声が同行を呼びかけてきた。