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地に眠るは忘れし艦 ~大界征くは幻の艦(第2回/全3回)

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地に眠るは忘れし艦 ~大界征くは幻の艦(第2回/全3回)

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「ヴィマーナが飛び立つだと!?」
「ええ。全力を持って阻止しろとの指示です」
 聞き返す柊真司に、ヴェルリア・アルカトルが答えた。状況を把握したフリングホルニから、ヴィマーナへの攻撃命令が発せられている。
「とはいえ、あの大きさだからな……。仕方ない、ブレード展開! BMI85%!」
「BMI85%開放」
 ヴェルリア・アルカトルが、素早くリミッターを緩めた。
 柊真司が、ゴスホークのプラズマライフル内蔵型ブレードを展開して構える。エネルギーが充填していく。
『魔障覆滅、準備よし』
 柊真司の身体を被うリーラ・タイルヒュンが言った。
「エネルギー充填完了。いけます」
 ヴェルリア・アルカトルがゴーサインを出す。
切り札を切らせてもらう。受け取れ! バーストショット!
 エナジーバーストの急加速と共に、柊真司がファイナルイコンソードを魔障覆滅の多段攻撃で戦艦型のヴィマーナに叩きつけた。一撃の剣圧でヴィマーナの装甲が大きくひしゃげて引きちぎれるところへさらに機体を押し込んで二撃三撃と斬り進んで行き、五太刀めで完全にヴィマーナを真っ二つにした。
 断面を灼熱させて分断されたヴィマーナが、誘爆を起こしていきながらゴスホークの背後で崩れ落ちる。
「BMI10%へ低下。エネルギーチャージ完了までいったん退避を」
 ヴェルリア・アルカトルが告げる。
「連戦できないのが、大きな弱点か……」
 ゴスホークは帯域破壊ではなく、決戦兵器むきだなと感じつつ、いったん機体を下げる柊真司であった。
 
    ★    ★    ★
 
「単艦でゲートを開くんじゃないかと危惧していたが、さすがにそこまでの性能はなかったか。味方の攻撃の邪魔をさせるな。敵イコンはこちらですべて引き受ける!」
「おう」
 ヴィマーナ空港内を駆け巡りながら、紫月唯斗と朝霧垂の魂剛と黒麒麟が人馬一体となってタンガロアを斬り倒していった。
 
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ちょっと、まずいわね
 発進準備に入ったと思われるヴィマーナのイレイザー・スポーン部分を、至近距離から破壊して回りながら仁科姫月がつぶやいた。こちらの火力にくらべて敵が多すぎる。
「だが、この戦力では敵の数を減らすしかないだろう」
 ゲート通過後の再調整のために集結が遅れた大型艦艇のことを思って、成田樹彦が言った。だが、今ここにいない者をあてにはできない。
 
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「リミッター解除。敵艦のイレイザー・スポーン寄生部分をピンポイントで狙います」
 バスターライフルを展開させて腰撓めにアイオーンに構えさせたシフ・リンクスクロウが、ミネシア・スィンセラフィに言った。
「リミッター解除します」
 エネルギー伝導回路のリミッターが外され、トリニティシステムのすべてのエネルギーがバスターライフルへと集約する。
「仰角−3。右+1修正」
「誤差、左3秒。狙撃ポイント固定」
「敵、狙撃位置に達します。3、2、1……」
 ミネシア・スィンセラフィのナビゲーションに従って、狙いを定めていたシフ・リンクスクロウがトリガーを引いた。バスターライフルから放たれた必殺の一撃が、スロープを上りかけていたヴィマーナ輸送艦の中央を正確に射貫く。
 西ゲート格納庫に入りかけていたヴィマーナがぐらりと傾いた。そのまま斜めに格納庫に突っ込んでいき、カタパルト左の壁面に突っ込んで爆発した。
「再充填、急いで。砲身、急速冷却!」
 次弾に備えて、シフ・リンクスクロウが叫んだ。
 
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「連射であれば、ジェイセルの独壇場だよ。ジェニファー、どんどん撃っちゃってよね」
「言われなくても、撃っているわよ」
 キャロライン・エルヴィラ・ハンターに言われて、トーマス・ジェファーソンが答えた。
 四つの異なる砲が一体化したアウクトール・ジェイセルの特性を生かして、それぞれを順に発射していくことによって連射性を維持している。敵の数があまりに多いため、一撃必殺は他のイコンに任せて手数を多くしているという感じだ。
 アウクトール・ジェイセルのそばでは、応龍弐式がその大火力を遺憾なく発揮して連続攻撃を浴びせている。
「いい感じじゃないかあ」
「あたりまえなんだもん。応龍弐式なんだよ」
 ローグ・キャストの言葉に、フルーネ・キャストが、ちょっと自慢するように答えた。
 だが、次の瞬間、突然周囲の空間に異常が起きる。
「何だ、どうした!?」
「出力低下していきます。応龍であればエネルギーは確保できますが、他のLサイズ以下のイコンは機種によって出力が不安定になっています」
 ユーノ・フェルクレーフが、フリングホルニから送られてくる周囲の空間状態のデータを見ながら叫んだ。
 
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「全艦、攻撃開始します!」
 ウィスタリアの中で、アルマ・ライラックがゲートにむかって攻撃を開始した。
「攻撃を開始するよ」
 カル・カルカーのハーポ・マルクスやエリシア・ボックのオクスペタルム号からも砲撃が始まる。
 だが、今や巨大な壁となっている遺跡の扉が邪魔となって攻撃を弾かれてしまう。あまつさえ、強く発光し始めたその壁は、ゲートの回りにバリアを張り巡らせたようだ。