リアクション
「うわああああ〜〜〜〜〜!!!!」 突然。 温室の中から悲鳴が聞こえた。 「管理人さんが! 管理人さんが食われてる!!!!」 続けられた言葉で、その場にいた全員が、凍りついた。 やがて。 「──行か……なきゃ……」 七瀬 瑠菜(ななせ・るな)は震える足を前に出した。 「行かな、きゃ……助けなきゃ!!」 だが思うように足が動かない。 「どうして……どうしてタネ子さんが管理人さんを……!?」 タネ子さんは動くものに齧りついちゃうけど、牙もないし、きっとホントはおなしい子なんだよ! 管理人さんがいなくなっちゃったのだって、きっと何か他のわけがあるんだ! タネ子はきっと悪くない。なんとかして守らないと! そう思っていたのに──考えが根底から覆される! どうして──!? 「泣いてる場合じゃありませんよ! 早く助けなければ!」 ケイティ・アルベイル(けいてぃ・あるべいる)が瑠菜の肩を押さえながら言った。 「とりあえず中に入って状況を確認しましょう、今は泣くよりも救助が優先です!」 ケイティの強い言葉に、瑠菜は涙を目にためながら頷いた。 (……ヒーリング系音楽を魔法に乗せてタネ子さんに聞かせれば、大人しくなるかもしれない!) 持っているバイオリンをケイティはぎゅっと抱きしめ、温室のドアを力強く開けた── ◆ タネ子の三つの頭──巨大ハマグリのような物体が、温室の天井をゆらゆらと浮遊している。 長く伸びた茎は、一体どこまで動くことが可能なんだろう? そして。 そのうちの一つに…… だらりと垂れ下がった人間の足。 ハマグリに足が生えてるー! などと言って笑う者など、一人もいなかった。 「かんり……にん、さん……?」 勇が口の中で呟いた。 構えていたカメラが自然と下がる。 「管理、人……さ…ん……──ああぁああぁあああああああああ!!!!!」 一斉にタネ子の側へと走った。 管理人さんが喰われている! あれは見間違うことなく人間の──管理人さんの足だ!! 草を掻き分け、根を飛び越え──だが、行く手を阻むかのように触手が立ちふさがる。 「くっ……!」 「ここはボク達に任せて、早く管理人さんを!!」 真口 悠希(まぐち・ゆき)が叫んだ。 「ありがとうございます! お願いします!」 ロザリンドが、ミルディアが、真奈が礼を言って走り去る。 「…さぁ……ここからが本番です!」 悠希は蠢く触手を見ながら唇をきつく結んだ。 |
||