シャンバラ教導団

リアクション

■■■　Ｄｒｅａｍｌａｎｄｓ


２７ターン。ラドゥ、カードをドロー。


ラドゥ　
　残りライフ　６３００
　手札　４枚
クリーチャー
　崇徳院顕仁
　佐伯梓
　ソーマ・アルジェント
　清泉北都


真奈美
　残りライフ　２０００
　手札　４枚
クリーチャー
　グリムゲーテ・ブラックワンス（２ターン攻撃不可）
　ラルク・アントゥルース（２ターン攻撃不可）
　鈴木周（２ターン攻撃不可）
　ティア・ユースティ（２ターン攻撃不可）
　リューグナー・ファタリテート（２ターン攻撃不可）
　国頭武尊（２ターン攻撃不可）


「ではクリーチャーを召喚する。
　『“舞い降りる天使”クナイ・アヤシ（くない・あやし）』を召喚だ。
　召喚時特殊効果で墓地に眠るクリーチャーカードを一枚手札に戻すことができる。
　『“アルマインの乗り手”クレア・ワイズマン』を手札に戻し、直後に召喚する」


レベル５８　クナイ・アヤシ　戦闘力５８００
レベル５３　クレア・ワイズマン　戦闘力５３００


「そしてこれはほんの余興だが……
　マジック発動。『Ｓｕｍｍｏｎ　Ａｄｏｎｉｓ』（美少年召喚）！」

またタシガン語版カードである。ヘル・ラージャ（へる・らーじゃ）自慢の一品であった。


『Ｓｕｍｍｏｎ　Ａｄｏｎｉｓ』

効果：
　美少年を召喚し、応援して貰う。プレイヤーはやる気が出る（かも知れない）
　このカードを出された場合、相手プレイヤーは１０分以内に美少年（相手プレイヤーの感性で美少年だと思う人物）を探して交渉し、連れて来なければならない。
　時間内に美少年を連れて来れなかった場合、相手プレイヤーは敗北する。


このカードに真奈美は難色を示す。
「まてよ、美少年かそうじゃないかなんて個人の主観だろ。
　拒否し続けられたら文句は言えないし、どうすんだよ」

これを聞いてラドゥ激怒。

「この私を誰だと思っている！
　闇の王、ラドゥ・イシュトヴァーンであるぞ！
　この私が勝敗のために自らのプライドを捨て、美意識をねじ曲げると思ったか！」

「えっ、あっ、すいませんでした」
ビビリながら美少年を渉猟する真奈美。
ここは美少年の本場タシガンである。美少年には事欠かないが、ラドゥの美意識に合うとなると……

「すみません、ジェイダスさん、ラドゥさんの美意識に適う人というとジェイダスさんしか思いつかないんです」
もはや少年ではないが、ラドゥの認めた男といえばジェイダス・観世院をおいてほかにいない。

ジェイダスはいたずらな笑みを浮かべている。
「フフ……はたしてどうであろうな？
　ラドゥのやつはあの通り、なかなかに好みがうるさいからな。
　昨晩も……」
「やめろ！　それ以上余計なことを言うな！」

その後８分ほどジェイダストラドゥのトークが繰り広げられ、真奈美は顔を赤くしながらも二人の会話をしっかり聞いていたのだが、１０分ぎりぎりのところでラドゥが折れてカードの効果は終了となった。


「それでは攻撃だ！　すべてのクリーチャーでアタック！」

真奈美のクリーチャーは『戒めの芸術』でまだ動けない。

「トラップカード！　『超霊ツァトゥグァ・スポーン』！」

カードから生み出された異形の怪物『落とし子』たちが、ラドゥのあやつるクリーチャーを食い止める。
かつてウゲン・タシガンが、高崎　悠司（たかさき・ゆうじ）に貸し与えた超霊のカードだ。

しかし超霊には大きな副作用が！

はじめのうちは試合を観戦していた悠司だが、ウゲン関連のゴタゴタが終わったためか、急に眠くなって寝てしまった。


……夢のなかでは、宇宙的にねじ曲がった未知なる角度があり、荒涼たる名も無き高原で夜鷹めいた翼あるものが嘲笑を込めて鳴き交わしていた。
不浄なる単細胞生物の表面には泡が立ち、悪意に満ちたつぶやきをもらし続けている。


暴走した超霊が、真奈美にも襲いかかってくる！
「減っちゃう！　正気度減っちゃう！」


……その深淵からはかすかな歪みゆえに神経を苛立たせる忌々しき笛の音が漏れでており、人類以前の種族が用いた邪悪な言語で彼らの崇める蕃神を賛美していたのである……


「うわあ！」
悪夢にうなされた悠司が目を覚ますと、『ツァトゥグァ・スポーン』も消えていた。


ラドゥ、攻め切れないままターンエンド。