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リアクション
夕方。
久しぶりのお休みを涼しいプールで過ごそうと、フレデリカ・レヴィ(ふれでりか・れう゛い)は流れるプールでのんびりぼんやり過ごしてしていた。ホルダーネックになっている深緑のトップスに、黒いショートパンツのタンキニはボーイッシュだが、黒いレースのフリルがアクセントで入っているのでそこまでボーイッシュではない。
「一緒に来られたら良かったのになぁ〜」
好きな人の事を考えながら大きな浮き輪に背中を預け、足をぶらぶらと水にまかせる。進行方向とは逆を向き、太陽を仰いだ。
「ん……? 何かしら?」
ぬるっとした何かが背中を触った。しかし、それ以降触って来ないので気のせいかとまたぼんやりを続ける。
しかし、今度はお尻に何かが当たった。それを皮切りに一斉にぬるぬるとした長く太いものが色々なところを触ってくる。背中、お尻、太もも、足の裏……それ以外にもけっこう際どいところまで触られ、適度な電気も加わる。声が漏れそうになり、必死に手で口を押えこらえた。フレデリカは顔どころか耳まで真っ赤だ。あまりの事に思考がストップしてしまっている。
しばらくして、やっと思考が戻ってきた。
「ま、まさかチ、チカン? い、いやぁぁ!! 好きな人にもまだ触られたことないのにー!」
そう叫ぶと、フレデリカは色々なところへ火術を乱射した。
1発は少し遠くにいた朝斗へ、もう1発は救護室から出てきたばかりのエルへ、そしてラストにあたったのは流れるプールの監視員をしていた渋井 誠治(しぶい・せいじ)だった。
「エルさん!? フリッカさん、落ち着いてー! そこにいるのは痴漢じゃないからー!」
「ふえっ!?」
ホイップの声を聞き、やっと火術の乱射をやめた。
「ご、ごめんなさい……」
そして、プールから出るとエルとホイップに謝罪したのだった。朝斗に当たったというのはどうやら気が付いていないらしい。
ホイップたちが向こうに行ってしまったあと、火術から回復した誠治が血相を変えてフレデリカのそばへと走ってきた。
「一体なんなんだ!? 何事だ!? 痴漢でも出たか!?」
「はっ!? もしかして火術当たった!? ご、ごめんなさいー! でも、あの痴漢じゃないの。このプールの中になんかびりびりしてくるうなぎがいるみたいなの……」
「はぁっ!?」
誠治は慌ててプールの中を覗き込んだ。
「本当だ……なんか黒いのがうようよしてる……」
うなぎを確認すると、誠治は何かを考えすぐに実行にうつす。近くにいたほかの監視員を呼び集め、一般のお客さんたちを流れるプールに近づけさせないようにすると、自分はタノベさんの事務所へと駆けて行った。
誠治は事務所に入ってからそれほど経たないうちに出てきて、流れるプールへとまた走る。
流れるプールの状態を確認して、誠治は満足そうにうなずく。
「よし、お願いした通りだ。プールの流れが止まってるな」
そう、タノベさんにお願いしてきて流れを止めてもらったのだ。他の監視員に指示をだし、網でうなぎを一か所に追い込むと、一気にうなぎを一網打尽にした。
誠治はしゃがみこみ、プールから引き揚げた網の中でぴちぴちしているうなぎを
見つめた。
「……これ、あれ出来るんじゃね?」
何を思ったのか、というかどうやって持ってきたのか屋台を持ってきて、うなぎをさばき始めた。そして、完成したのは――。
「うなぎラーメンの完成だ!」
夕方からの屋台だったが、すべて売り切れになるほどの人気が出たらしい。
(これで彼女にプレゼント買えるな。何買おうかな? イヤリング? ブレスレット? 指輪? 悩むのも楽しいものだな)
誠治はほくほくしながら家路についたのだった。
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