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リアクション
「祥子お姉さま、遅いですわ。どこまで買いに行ったのでしょう?」
真っ赤なビキニに深紅のパレオを身に着けた神倶鎚 エレン(かぐづち・えれん)は心配そうに周りをキョロキョロ見回した。
エレンが座っているのはカップル用のスペースにあるイスだ。テーブルもついているし、つい立もあって他の人に邪魔されないのが良い。
買い物に行ったまま戻らない宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)の荷物を見つめる。
「ひゃっ」
突然、何か冷たいものが首筋に当たり、声が漏れてしまった。
「あら、可愛い声」
「祥子お姉さまったら」
戻ってきた祥子の手には冷たい炭酸の入った紙コップが1つと、親指ほどの細さのアイスキャンディがあった。首筋に当てられたのはコップの方だ。
エレンは少し赤くなりながら、祥子の白いビキニ姿に目を細めた。引き締まった体によく似合っている。
祥子はイスに座ると、アイスキャンディをエレンに向けた。
「ふふ、同時に食べるなんてどうかしら?」
そう言うと祥子はアイスキャンディから棒をそっと引き抜き、エレンの口にくわえさせると自分はその反対側をくわえた。
2人はそのまま見つめ合いながら食べすすめ、最後の1口まで来ると、祥子は紙コップで口元を隠した。紙コップの影ではアイスと一緒に互いの唇を重ねたのだった。
アイスと炭酸を飲み終わると、今度は波のプールに来ていた。
1つの大きな浮き輪を2人で使い、互いに沈めあったり、抱き着いたりとラブラブを満喫している。
「2人で一緒にこうしていられる時間は貴重ですわね」
「ええ、そうね」
2人が微笑んだその時、突然エレンのトップスが取れてしまった。
それを見た祥子は慌ててエレンの背後に周り、自分の手を使って胸を隠してやる。
「ありがとうございます、祥子お姉さま。でも……」
「なにかしら?」
「かえって恥ずかしいです……」
「ふふ……可愛い」
エレンはそばに浮いていた自分の水着を慌てて取った。祥子はエレンが他の人に見えないように正面から抱き着いてあげる。その間にエレンは急いで水着を着てしまう。
「なんだったのかしらね? 突然水着が取れるなんて」
祥子は水着を着たエレンに聞くと、エレンは波のプールの奥の方を指さした。
「あれのせいみたいですわ」
指の先では白い触手がプールから飛び出したり、他の人の水着を奪ったりしている。そして、その白い物体に指示を出そうとしてしているハデスの姿があった。
「なるほど……。なんだか落ち着かないプールね。早く出てデートの仕切り直しと行きましょうか」
「はい。祥子お姉さまとなら、きっとどこでも楽しめますわ」
「なら、ちょっと高いんだけど個室のレストランに行かない? レストランの中は水族館みたいになってて幻想的なんですって」
「素敵ですわ」
行先が決まると、2人はプールから上がって空京の街の中へと消えて行ったのだった。
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