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リアクション
夕方。
流れるプールを見て目が爛々と輝いているのは滝川 洋介(たきがわ・ようすけ)だ。いや、見ているのはプールと言うよりも、その中にいる黒いうねうね……びりびりうなぎの方だろう。
うなぎの固まっているところを見つけて、少し離れたところから静かにプールに入る。脅かさないようにそっと近づくと、向こうから体を摺り寄せてきてくれた。ぬるぬるしたうなぎをなんとか掴むと離れたところで遊んでいるエリー・プラウド(えりー・ぷらうど)と雑賀 孫市(さいか・まごいち)を見る。エリーはシンプルなスクール水着、孫市はビキニを着ている。
洋介はにやりと笑うと、狙いを定めて、うなぎを投げた。
うなぎは弧を描き、孫市の胸の谷間にイン。ぬるりと奥へと潜ると苦しいのか少し激しく動き回り、軽く放電した。
「あぁ〜ん……」
孫市は腰をくねらせ、セクシーな声が漏れた。
それを見たエリーが投げられた方角を見て、洋介を確認する。
(エリーにもって思ったが……あれじゃあ、どう見てもそのままプールの中に落ちちゃうよな……んー、パス!)
エリーが追いかけようとしてくるのを見たのもあって、洋介はプールから出てどこかへと逃げてしまった。
「まったく洋介ってば……! 違うプールに行こう?」
「フフフ……そうですわね」
2人は流れるプールを出て、波のプールへと向かって行ったのだった。
その頃、波のプールではドクター・ハデス(どくたー・はです)がクラーケンを発見して大喜びしていた。白衣を着たままざぶざぶと波のプールの中へと入り、クラーケンのそばまで行く。
「フハハハ! 貴様こそ、我が秘密結社にふさわしい人材(?)だ! さあ、共に世界征服をおこなおうぞ!」
両腕を広げ、ポーズをとるが、クラーケンは全く気にしていないようだ。むしろ周りの人たちからの視線が痛いがハデスはその視線に気が付かないフリをした。
クラーケンはハデスを無視し、引っ張り甲斐のありそうな獲物を探しているようだ。しかし、ハデスはその動きを違う意味にとらえたらしい。
「おお、そうかそうか、我が秘密結社の一員として働いてくれるか! では、俺も共に活動するとしよう!」
ハデスはクラーケンの横で指示らしきものを出し始めた。
その時、プールの波打ち際では淡い紫のビキニを着た高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)がハデスとクラーケンを見てため息をついていた。
「今日はプールに行くって言うから、せっかく可愛い水着を着てきたのに、兄さんったら、また秘密結社なんて……」
ぶつぶつ言いながら、ハデスのそばへと泳いでいく。
「もう! 兄さん! いい加減その秘密結社なんて――」
「なにをしている、改造人間1号よ! お前も怪人イカ男とともに戦うのだ!」
「誰が改造人間ですか! その呼び方はやめてくださいって何度も……って、何してるんですか兄さん!?」
「さあ、さらなる力を得て蘇るがいい、怪人イカ男よ!」
ハデスはクラーケンの胴体にぷすりとどどめ色した何かの液体を注射した。その瞬間、クラーケンの動きが一瞬止まったが、すぐに活発に動き出した。
「これで触手くらいならいくらでも再生できる! パワーアップ完了だ!」
「なんてことしてるんですか!」
クラーケンはそばにいた咲耶を次のターゲットと見て、トップスの紐に触手を掛けた。慌てて止めようとするが、それよりも早く紐を引っ張られてしまった。
「きゃ、きゃあっ、水着が!?」
「フハハハ! それでこそ我が秘密結社の一員! どんどん働くのだー!」
「兄さん違う! そこに誰かいます!」
咲耶は右腕で胸を隠しながら、左手でクラーケンの陰を指さした。ハデスのその指の先を見る。
「だ、誰だ貴様はっ!」
そこにいたのは……ふんどし姿の厳 顔(げん・がん)だ。クラーケンとボディーランゲージで意思の疎通をはかっているらしく、水の中から何やら指示を出していた。どうやら、咲耶のトップスを取るように命じたのもこの男のようだ。
顔は他にも指示を出し、氷藍の水着の紐を引っ張ったり(そのあと幸村にクラーケンは攻撃されてる)、白花と月夜に手を出したり(そのあと刀真に切り付けられている)……その他もろもろやり放題だ。
そんな無法地帯に成り下がっていたところへ、勇者……もとい、勇者の監視員エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)がロケットシューズで飛んできた。
「なんだ貴様は! 我が秘密結社を壊滅させようというのだな!? そうはいかん! いけっ! 怪人イカ男よ!」
ハデスの声に合わせて顔がクラーケンに指示を出す。
クラーケンは触手をエヴァルトに伸ばしてきた。しかし、それをひらりとかわす。
「女性に失礼な存在は、許さんッ!」
エヴァルトはそう言うと空中から幻槍モノケロスを構えて、龍飛翔突で一気にプールの中へと入っていき、クラーケンに槍を突き刺した。
苦しそうなクラーケン……と思いきや、どうやら違うターゲットに残りの触手を伸ばしていただけのようだ。
そのターゲットはこっちに遊びに来ていた孫市だった。エリーは眼中にないらしい。
孫市はトップスの紐を外され、ぽろりと胸が出てしまう。そして、残った触手を他の人にはわからないように自ら跨ぐとまるで触手に犯されているかのような体制に……。
「あ……ん……」
孫市はなんだか少し楽しそうだ。
そして、顔はそれだけでは飽きたらず、次はプリムローズをターゲットに。うまく水着が取れ、顔の鼻の下が伸びている。ついでにハデスも。
しかし、悪行もそこまでだった。エヴァルトがドラゴンアーツのパワーで殴ってひるませた瞬間、怒ったプリムローズから龍の波動が放たれ、クラーケンに直撃した。クラーケンの息はもうないが、そのままにしておくわけにもいかないので、エヴァルトはロケットシューズの推進力を加えた蹴りで、陸までぶっ飛ばしたのだった。
プールには巻き添えを食らったハデスと顔がぷかぷか浮いている。
「なんだ、こっちはもっと派手だったのか……」
逃げていた洋介が波のプールに顔を出したのだが、それが運のつきだった。
どうやらいつの間にか顔はとんずらしていたようだ。孫市とエリーが笑顔で洋介に詰め寄る。
「フフフ……やり過ぎですわよ」
「洋介はお仕置き決定! ところで、どうして周りには被害が出てるのに私には何もないのよ!」
「それは……貧乳だか――あっ」
何かがブチ切れる音が聞こえた気がした。
「ひん」
エリーは洋介にタックルをくわえる。
「にゅー」
くるりと回転しながら肘鉄をみぞおちへ。
「てぇっ」
洋介が悶絶して逃げられないうちに右腕に力をためる。
「言うなぁ!」
そう叫びながら、エリーは超アッパーカットで洋介を空中へ打ち上げた。
洋介の落下地点では孫市が般若を背負ったものすごい笑顔で待ち構えている。このあと、彼に起こった事は……。まあ、世の中には知らない方が幸せな事もある。
こうして、クラーケンは無事に仕留められたのだった。
どうやら仕留められたクラーケンは珠樹が美味しく調理してしまったとの事。
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