リアクション
エピローグ
「ふぅ……」
メルヴィアが報告書を纏め終わり、息をつく。
その脇には書類を纏めるシャウラの姿も。
「はい、ミントティーです。疲れがとれますよ」
「うむ、すまない」
ユーシスが淹れた紅茶を幸せそうな顔で飲み干すメルヴィア。
隣ではシャウラがそれを羨ましそうな顔で凝視している。
あれから数日後。
崩壊した研究所は完全に地面に埋もれてしまい、二度と入れなくなっていた。
幸い別行動の班は全員外へと脱出しており、被害者はでなかったものの、二度目の調査は非常に困難と思われた。
今回の調査で分かったことは、正直言ってあまり無い。
あの研究所はどうやら随分前に見捨てられたらしい。
そのせいか、研究所内で手に入れた資料は古いものばかり。
新しいものもあるにはあったが、全て研究に使ったと思われる訳の分からない数式が書いてある物だった。
捕らえた研究員達からも色々聞き出したのだが、大した情報は持っていなかった。
唯一、研究員のリーダーが、関係すると思わしき施設の場所を吐いた位である。
研究の発案者と自称する彼も、自分達に研究する場所を与えた者については、何も知らなかった。
関係施設と思わしき場所は、キメラ研究所からかなり離れた荒野の一角にあるという。
現在、施設の存在を確認するため、数人の契約者がその場所へと向かっていた。
中には、クコと霜月の姿も。
「ほんとにこんな所にあるのかしら?」
「確実な情報ではありませんからね……でも放っておく訳にはいきませんから」
「そうね。またあんな莫迦な研究しているようなら、今すぐぶっ潰してやるわ!」
一方、助け出された子供達は……。
「お父さんとお母さん、明日迎えに来てくれるんだって。良かったねっ!」
詩穂が小さな女の子の頭を撫でる。
その子は、研究所から脱出する途中で暴走し、詩穂達と戦った少女だった。
先程教導団が親の居場所を特定、連絡を取っていた。
どうやら、明日迎えにきてくれるらしい。
女の子はニコニコと笑っている。
「お家の場所、聞いたから……いつか遊びに行くのだ」
薫も少女の手を取り、笑いかける。
助け出された子供達は、一時的に教導団が預かることになっていた。
捜索願から一部の子供の家族は特定できたものの、未だ殆どの子供が教導団に残っている。
しかも子供達の話を聞くに、どうやら半分程は孤児だったらしい。
孤児の子供達をどうするべきか、教導団では話し合いが続いている。
他の子供達と違い、一人だけ教導団の医務室で眠っている少女がいた。
「まだ目を覚まさねえのか……」
エヴァが、少女の顔を心配そうに覗き込む。
眠っているのは、研究員のリーダーが連れていた少女だ。
彼女はあの戦闘で完全にキメラ化が解け、人間の少女に戻っていた。
しかし衰弱が酷く、あれから数日経った今でも、目を覚まさずにいた。
「命に別状は無いらしいし、気長に待とうぜ」
煉がエヴァの肩に手をかける。
少女は穏やかな顔で眠り続けている。
「皆助かって良かったね! あの子だけ目を覚まさないのは気になるけど……」
ティアが巽のバイクのサイドカーに座り、遠くから子供達を見つめていた。
窓越しに見える子供達の顔は、皆一様に笑顔だった。
「大丈夫、きっと目を覚ますさ」
「うん、そうだね! それじゃ、ボクらも帰ろっか?」
巽がバイクを発進させる。
研究所調査に奮闘した契約者達が、解散し、それぞれの居場所へと戻っていく。
子供の一人が、歩き去る彼らの背を見つめ、小さく手を振っていた。
そして、小さな声で呟く
「……ありがとう、おにいちゃん、おねえちゃん」
そしてにっこりと笑うと、楽しそうに遊ぶ子供達の輪へと入っていった。
初めまして、REDです。
埋没遺跡のキメラ研究所、如何でしたでしょうか?
予想以上の参加人数に驚きつつも、私なりに頑張って書き上げました!
プレイヤーの皆さんが楽しめるリアクションになっていますでしょうか?
これからも精進しますので、また機会がありましたらよろしくお願いします。
最後に。ご参加頂いた皆様方、誠にありがとうございました!