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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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第11章 元の空間に待ち受ける恐怖

-AM6:05-

「やっと出られた・・・ぁあ!?」
「持ち帰ったはずのゴーストたちが・・・」
 歌菜たちがマントに包んでいたゴーストの身体は、黒い灰のように崩れ去り、風に吹かれて飛んでいった。
 他の生徒たちも同様に、持ち帰ったのっぺらぼうのパーツや資料、それら全て灰化して空の彼方へ吹き飛んでいく。
「聖水は・・・」
 不安になった真が聖水の瓶を開けて匂いを嗅いでみると、ツーンと鼻をつくような香を放っていた。
「ビネガーよ・・・これ」
 瓶の中身を伽耶が嗅いで確認する。
 苦労して持ち帰った生徒たちは、がっくりと肩を落とした。



「そういえば政敏、レポート終わってますか?今日・・・提出ですけれど・・・」
「―・・・・・・・・・終わってない」
 カチェアに言われて真っ白な状態のレポートを思い出した政敏は、数分ほど間を空けて言う。
「写させ・・・・・・」
「頑張ってくださいね」
 彼が言い終わる前に、カチェアは完全拒否する。
 日常的なやりとりの傍ら、まだゴーストタウンについて考え込んでいる生徒がいた。
「幸いメモしたことだけが残ったけど、ゴーストタウンの品は全部崩れてしまったようだ・・・。トンネルの外では原型が止められないようだけど・・・死者の怨念と何か関係があるのか?箒だとかが突然使えなくなったことと何か関係がありそうだ」
 ニコは書いたメモを眺めながら、頭の中にさらなる疑問を増やす。
「ますます・・・興味が湧いてきたじゃないか!」
 嬉しそうに微笑み、ニコはメモを握り締めた。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

おはようございます、按条境一です。
皆様、無事に遅刻せずに登校できたでしょうか。
トンネルの外で持ち帰ろうとした資料は灰になったり、聖水はただのビネガーになっています。
外に持ち出したゴーストたちも、灰と化して成仏しました。
成仏した先がナラカかもしれませんが・・・。
一部の方に称号をお送りいたしました。
では今回の謎解きの説明をさせていただきます。

「家族で帰った後、白い土を踏んで家に帰る。」
家族の単語を英語のファミリーに変えて、頭の“ファ”だけとり“白い鍵盤”を叩きます。
土は、“白い鍵盤のド”になります。
最初に叩いたドの音を、四分音符とします。

「庭の植木に入っている白い土の上に黒い土をかけ、手で2回叩いた。」
この言葉には、黒い土が白い土の上となっているので半音上がる“ドのシャープ、黒い鍵盤を2回”叩きます。

「白い土の上に、さらに白い土をかけて滑らかにならす。」
次のことの言葉の意味ですが、“ドから1オクターブ高いド”を、“音と音の間に切れ目がないように滑らかに弾く(レガート)”という意味でした。

「家族の皆で2回分長めのディナーを食べる。」
最後のことの行は“ファ”を1回叩いた後に、“ミ”の音は2回分長めとなっています。
ですから四分音符を2つ分の長さ、“ミの二分音符”を弾くという意味でした。

今回はのっぺらぼうを倒した一部の方に称号をお送りいたしました。
えーっと・・・フランケンのおっちゃんが何か言いたいようなので代わります。

ヘルド
「やぁ皆、無事に生還できたか?
てっ、おっちゃん言うなよ!
まぁ・・・あれだ・・・あまりすきにしてくださいみたいに言うと、大変なことになるから気をつけたほうがいいな。
このマスター、本気で遠慮ないからさ。
謎解きの出し方なんていきなり酷くなっているし、正確に全部正解できたやつ誰もいないじゃないか。
次の謎解きはどうなることやら・・・。
元々の性格が現れ・・・おとっ、これ以上言ったら膝蹴りくらうか。
生存してたのに無残に斬られたやつとか、のっぺらぼうの逝き様・・・かなり酷いことになっているな。
帰宅時間までオレの部屋に何人かいたようだが・・・おかげで寝不足になったぞ。
しかも三十路のおっさん相手に酷いことしするなよ。
あぁーそれと、校舎内の備品をちぎったり壊したりするのも簡便だな・・・。
―・・・それじゃあ、縁があったらまたな」