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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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第8章 狂気に飲まれし生者たち

「今は現れてこないけど・・・油断してるとまた出てきそう。交代して見張りしてるけど、寝たらアウトよね」
「あっ!俺のシフト多めでよろしく。むしろずっと俺オンリーのシフトでもいいよ」
 バリケードの近くで呟く歌菜に、カガチが教室から声をかける。
「(1人で耐え切れそうな感じやな)」
 一見無茶そうなカガチの宣言に、陣は心中で呟く。
「バリケードが突破されそうだ!」
 真が叫ぶように言う。
「待ってて椎名くん、今行くぞ!さぁあ・・・朝まで踊り明かそうぜぇ・・・死に損ないのカオナシベイベェ共!潰れたその顔をもっとグチャグチャにして素敵にしてやるぜ!」
 無理やりバリケードを突破してきたのっぺらぼうたちに掴みかかり、力任せに腕を引き千切った。
 その腕をゴーストへぶん投げつけ、包丁で斬りつけられようとお構いなしに次々と標的の身体を毟り取っていく。
「好きなだけ化け物をいたぶれるここは俺にとって天国だぜっ」
 頭から肉片を被った状態になったカガチは、狂気にとり憑かれたようにゲラゲラと笑う。
「カガチ傷だらけよ!」
 なぎこがヒールをかけてやるが、焼け石に水と同じく傷を負いまくる彼には無意味だった。
「1つ叩いてはみんなのため〜、2つ叩き砕いては私のため〜♪皆様ようこそー、マイラボラトリーヘ!」
 襲いかかるゴーストたち無痛覚の相手に、足を狙って幸は鉄パイプで殴りつける。
「あはっ♪活きのいい検体発見しちゃった〜、確保確保!」
 少女が綺麗な花を見つけてウキウキ気分で野原へ行くように、喜々とした表情で幸がゴーストたちに襲いかかった。
 素手で取り出した臓物を摘んだ花を見るような目で、嬉しそうに眺める。
「うぁ・・・カガチたち派手にやらかしているな・・・」
 真はなぎこをたちを守りながら戦うのに必死だった。
「真さん危ない!」
「えっ?」
 陣の言葉に何事かと、彼の方へ振り向くと背後からのっぺらぼうに背中を刺され、口から血を吐き出す。
「ぐぁあっー!」
 包丁が心臓した辺りを貫通し、刃物を引き抜かれた傷口から血がブシャァアッと噴出した。
 床に転がる彼の顔を目掛けて包丁を突き出す。
 転がりながら避けるが、ドスッベキッと音を立てて床に顔を斬り損ねた刃が刺さる。
「―・・・くそ・・・こんなのに殺られてたまるか・・・うぐぁっ!」
 獲物を動けなくしようとゴーストは真の足へ、削り取るように包丁を刺す。
 火術で陣がゴーストを焼きはらうが、真の傷はかなり重症だった。
「真殿ー!大丈夫ですか!?」
 駆けつけたガートナが真へヒールをかけてやる。
 朝まで耐え切れるのだろうか、彼らは顔のない化け物たちと戦い続ける。



「かなりの数のゴーストたちが来ますね」
 凶器を使わせまいと、ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)は雅刀でゴーストの手首を斬り落としていく。
 斬りおとされた手は獲物を探すように床を這う。
 足元に迫ってきたそれをガートルードはクツで思いきり踏み潰す。
「そのようじゃのう!」
 ゴーストの腕や手を狙い蹴り飛ばしながら、シルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)が言う。
「本当にどこから湧いてくるのか分かりませんわね!」
 パトリシア・ハーレック(ぱとりしあ・はーれっく)もランスで化け物たちの身体を突き、応戦しようと果敢に立ち向かう。
 赤黒い血が床へ飛び散る。
「もうすぐでバリケードが完成するようだから、君たちもこっちへこないか?」
「いいえ、私たちはこのゴーストたちとどこまで戦えるか試したいので遠慮しておきます」
「せっかく誘ってくれたのにすまないのぅ」
「頑張りますわ!」
「そうか・・・無理しない程度にな・・・(あぁ・・・目の前に女の子が3人もいるのに手だせないな)」
 言葉では心配しながらも、心の裏では一色 仁(いっしき・じん)は邪悪なことを考えていた。
「いきますわよ!」
 ミラ・アシュフォーヂ(みら・あしゅふぉーぢ)がランスの柄を、仁の背へ叩きつける。
「分かった、分かったから叩かないでくれ!」
 これ以上ランスで攻撃されたらたまらないと、彼はしぶしぶその場を立ち去った。



「ほ〜らほら、顔をあげるから大人しくしなさい♪」
 ヴェルチェはゴーストに向かってお面を投げる。
「やっぱり大人しくならないよね」
 リターニングダガーで狂気を持つ相手の手首へ刺し、腹をドスッと蹴りつけた。
「行方不明になっている生存者もいないようだし、朝になったら帰ろうかしら・・・ね!」
 ザクッと標的の両腕を斬り落とす。
「やることなくなっちゃたし、家庭科室へでもいこうかしら」
 そう言い終わると生徒たちが謎解きしているピアノがある部屋へと向かった。



「植木鉢の意味は遺体を乗せる場所ということだよな?家庭科室で人の死骸に倒したゴーストを上に乗せればいんだろ」
 頭にフードを被ったウォーム・コンタバレ(うぉーむ・こんたばれ)は勝手な解釈をし、なぜかイルミンスール制服を着て保健室へ向かった。
 ドアをノックすると、部屋の中から義純が出てきた。
「避難者ならもう中に入れるなよ」
「えっ・・・でも・・・」
「(ここは強硬手段しかないよな!)」
 ウォームは義純を押し退け、無理やり入り込み手斧で殺そうと襲いかかるが、シダがランスで刃を受け止める。
「何?どうしたの!?」
 異変に気づいたまなかが目を覚ます。
「ちっ!」
 舌打ちをして手斧をヘルドへ投げつけた。
 義純が迫りくる手斧の柄を掴み、殺害計画を阻止する。
「何だったんでしょうね・・・」
 去っていくウォームを見ながら、眉間に皺を寄せて義純が呟いた。