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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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第7章 見ぃつけた

「うぅ・・・怖いな・・・。聖水も切れちゃったしどうしよ」
 聖水の効力が切れてしまったファニー・アーベント(ふぁにー・あーべんと)は、食堂の付近をウロついていた。
「何か面白いものでも落ちてないか探していたら・・・あそこに聖水が切れて困っている子を見つけてしまったわ」
 メニエス・レイン(めにえす・れいん)はファニーの姿を見つけ、意地悪なことをしでかそうと思考を廻らせた。
「おねーちゃん、もしかして助けてあげるの?」
 首を傾げてロザリアス・レミーナ(ろざりあす・れみーな)が言う。
「まさか・・・そんなつまらないこと、このあたしがすると思っているわけ?」
 メニエスは玩具を見つけたような物言いをすると、ファニーの方へ近づき聖水の入った瓶を見せびらかす。
 飲もうとするようなふりをすると彼女は泣きそうな顔をする。
「あの・・・もしよかったらその聖水・・・わけてくれない?」
「えぇいいわよ」
「本当に!?よかった・・・」
 聖水の瓶をファニーが取ろうとしたその時、メニエスは聖水を全て床へこぼした。
「あーら、ごめんなさい。こぼしちゃったわ」
「―・・・うぅ」
「どうしたの?早く逃げないとゴーストたちに襲われるわよ」
 ショックのあまり涙を潤ませる彼女に、さらに追い討ちをかけるように言う。
「うぁああんー!」
 ファニーは泣きながら食堂へ駆け込んでいった。
「これが正しい使い方なのね!素晴らしいわ、おねーちゃん」
「フフフ・・・そう?とっ・・・笑ってばかりいられないわね」
 メニエスは光術で空間から白い球体を生み出し、ゴーストたちへ放つ。
 相手の皮膚が焦げたり、衝撃で一瞬よろける程度しか効果がなかったため、メニエスたちは調理室へ駆け込み引き出しの中に入る。
「どうやら追ってこないようね」
 彼女はほっと安堵した。



「朝まで1人で隠れていないといけないなんて・・・」
 ファニーはテーブルの下に隠れてガタガタと震える。
「顔をくれ・・・顔を・・・」
 ブツブツと呟きながらゴーストの声が近づいてきた。
 見つからないように、のっぺらぼうの位置を確認すると、奥のテーブル付近でウロつていた。
 化け物たちは獲物を探すように、テーブルの下を確認している。
「(どうしよう・・・もし見つかったら)」
 数メートル接近してきたのか、のっぺらぼうは諦めた様子で調理室から離れていった。
「はぁ・・・よかった」
「―・・・そこ・・・そこにいるのか・・・」
 ぱっと声が聞こえた方へ振り返るが誰もいない。
「やだな・・・怖い怖いと思っているから聞こえちゃうのかな・・・」
「見ぃつけた・・・顔をよこせぇえ!」
「きゃぁああ!」
 床を這いながらテーブルの下から出ると、ファニーは叫びながら廊下を全力で走り、その場から逃げていった。