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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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第9章 紙に書かれた謎を解け・・・古ぼけたピアノ

「うぁあっー!どこもゴーストだらけじゃないですかぁあ!」
 陽太は絶叫を上げながら階段を駆け上がる。
 迫りくるゴーストの頭を、アサルトカービンのトリガーを引き狙い撃つ。
「顔をよこせぇええっ!」
 ゴーストが鋭利な刃物を陽太の顔へ向けて突き出す。
 とっさにしゃがみ込み、なんとか頭上スレスレで避けた。
「ぁあっ断面が・・・のっぺらぼうの顔の断面がぁあ・・・!」
 化け物の血肉を直視してしまった陽太は、恐怖のあまり失神して気を失いそうになる。
 包丁を鉄パイプでガードしようとするが、壁際へ追い込まれてしまった。
 ガンッガンッとぶつかり合う金属音に恐怖を感じ、陽太は泣きそうな顔をする。
「うっうわぁああ!」
 逃れようと力任せに鉄パイプで押し退け、アサルトカービンに持ち替えてゴーストの身体へ銃弾を撃ち込んだ。
 起き上がってくる前に、ピアノがある部屋へ全速力で駆けて行った。



「誰かの声がしたようでありますが・・・」
 比島 真紀(ひしま・まき)はなにごとかと、教室の椅子や机を使って作ったバリケードの隙間から覗く。
「生徒かな?何かもの凄い勢いでこっちに来るけど」
 様子を見に来たサイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)が、傍から覗き見る。
「他の生徒が来たの?それとものっぺらぼうかしら」
 ミーナ・コーミア(みーな・こーみあ)も一緒に、声の正体を確認しようとする。
「あれ・・・誰か来たの?」
 持参してきたお弁当をモグモグと食べながら、伽耶は近くへ寄った。
「何であんなところにバリケードがぁあ!?」
 ようやく家庭科室の近くへ辿り着いた陽太は、驚愕の声を上げた。
「仕方ありません、一旦バリケードを崩すであります」
「しょうがないね・・・」
 苦労して作り上げたバリケードを崩し、その先へ陽太を入れてやる。
「ゴーストも一緒に来たようだね」
「そのようでありますな」
「あわわっすみませんー!」
 さきほど陽太が仕留め損ねたゴーストが彼を追ってきた。
「顔が欲しいとばかり繰り返しよって・・・顔ならそこについているだろう?自己の救いだけ求める醜い化け物の顔が!」
 家庭科室から出て駆けつけてきたシーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)は、カルスノウトの刃でゴーストを斬りつける。
「シーマ・スプレイグ、ここに在りっ!」
 ミーナとサイモンはゴーストの足を氷術によって凍らせ、真紀と陽太はアサルトカービンの銃弾を標的へ浴びせた。
「にゃぁああー!(訳:我輩がお相手しよう!)」
 バリケードの隙間からンルートヴィヒが、アサルトカービのトリガーを引く。
 ランゴバルト・レーム(らんごばると・れーむ)が手斧で、首や手首をバラバラに切断する。
「ふぅ、これで襲ってこれないじゃろう」
 無残な姿にされてもなおピクつくゴーストを目にした陽太は、あまりの恐怖にその場から動けなくなる。
「だいぶショックだったようじゃな。そこの貴殿・・・大丈夫かのう?」
 彼はランゴバルトの声でようやく動けるようになった。
「えぇ・・・なんとか・・・」
 さっき見た光景を忘れようと首を左右に振り、ピアノが置いてある部屋へ入った。
「しょうがないね、あたしもバリケード作り直すの手伝うよ」
 美雪子は床に落ちた机を持ち上げ、椅子や他の机の上に積み上げていった。



「―・・・あっ!皆こっちで謎解きしてますよ」
 牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)は片手を振って陽太を呼び寄せる。
「ひょっとしてもう謎解けましたか?」
「いいぇ、それがさっぱり・・・」
「俺なりに考えたんですけど家族という言葉は5本指、白と黒は鍵盤だと思います」
 5本の指で鳴らしてみるが、何も起こらない。
「次に・・・ショパンの葬送行進曲でも弾いてみましょうか・・・」
 そう言い陽太が弾いてみるが、まったく変化はない。
「駄目でしたか・・・」
「紙に書かれた謎の言葉の中に沢山出てきた土ですけど・・・フランス語でソルていう言葉になるんじゃないでしょうか」
「うーん・・・どうなんでしょう」
「ソの音か・・・それともト音で弾くとか・・・。そう解釈すると親が1番、小指が5番になると思いますよ。親指から始まって小指で親指まで帰るという意味になるんじゃないかと・・・」
「そうするとどうなるんだ?」
 謎解きの説明を聞いていたラルクが問う。
「2行目についてなんですけど、フランス語のスペルにするとラの音ですね・・・たぶん。さらに黒土を・・・というのは黒い鍵盤のシャープの方だと思います。2回叩くという言葉は該当する黒い鍵盤を2度同じ音を鳴らすという意味ではないでしょうか」
「なるほどな・・・黒鍵盤のシャープについては、複数の生徒がそうじゃないかと言っていたな」
「それで3行目なんですけど、ソと高い音のソを滑らかに鳴らすということを表しているのではないでしょうか。滑らか・・・という言葉はスラーかレガートかと・・・」
「滑らかに弾く・・・たしかにそうかもな」
「最後の行にはディナーを2回分長めにとなっているので、二分音符あたりですよきっと」
「そういう考え方もあるのか・・・」
 アルコリアの説明にラルクはなるほどと頷く。
「私が分かるのはそこまでですね・・・」
 再び考え込んでいると、ゴーストたちの呻き声が聞こえてきた。
「わたくしがのっぺらぼうを倒してきますわ」
 藍玉 美海(あいだま・みうみ)は謎解きの邪魔をされないよう、声が聞こえた廊下へ出た。



「ゴーストばかりに遭遇してしまい、だいぶ到着が遅れたようなのだな・・・」
「―・・・・・・・・・そう・・・だね」
 校舎内を探索していた天 黒龍(てぃえん・へいろん)紫煙 葛葉(しえん・くずは)は、謎解きのヒントを探し出そうと調理室を調べていた。
 棚に収まっている食器を手に取り、音符が描かれいないか確認する。
 しかし目ぼしいヒントが何もなかった。
「さて、そろそろ聖水を飲んで謎解きしにいくか・・・」
 調理室を出た2人は、謎を解くために家庭科室へ向かう。
 2階に上がると、バリケードを突破しようとしているゴーストたちがいた。
「困ったな・・・家庭科室に行くためには、まずあれを倒さないといけであろうな」
「―・・・・・・ん?・・・せっかく・・・聖水を・・・飲んだ・・・のに」
 階段付近でどうすればいいか立ち尽くしていると、美海の氷術によってゴーストたちが凍りついた。
「まだ誰か何かいるようですわね」
 バリケードの隙間から覗くと、黒龍たちの姿があった。
 彼らは空っぽになった聖水の瓶を、美海に見せて飲んだばかりだということを知らせた。
 駆けつけた真紀とサイモンがバリケートを除けて中に入れてやる。
「しまったであります・・・!ゴーストたちがピアノのある部屋へ・・・!」
 凍った足を引きずりながら進むゴーストの足へ目掛けて、美海は手斧で斬りつけた。
 葛葉は自らの手から光条兵器を出現させ、傍にいる黒龍に渡した。
 黒い柄を片手で握り締め、聖水を飲んだばかりの姿を隠している黒龍は床を蹴りゴーストに接近する。
 ゴーストの胴体を青龍刀のような刃で、凶器を持つ標的の腕へ片手平突きをくらす。
 動けなくなったゴーストたちを、真紀とサイモンは階段へ蹴り落とし、再びバリケードを形成する。
「まだ謎は解けてないようなのだな」
 黒龍が部屋に入ると生徒たちは、紙に書かれた謎の言葉について考え込んでいる様子だった。
「踏んで帰るという言葉は弾く・・・という意味だろうな」
 九条 瀬良(くじょう・せら)は、自分なりに考えた謎の言葉を解き明かそうとする。
「あぁ、たぶんな」
「そこまでしか分からねぇな」
 ため息をつき、瀬良はお手上げのポーズをとった。
「ゆうやけこやけを弾いてみたんですけど、これといって変化はなかったです・・・黒い鍵盤を2回弾いたりいろいろ試してみても駄目でした」
 優希はションボリと顔を俯かせる。
「―・・・家族が帰るファミレ・・・という意見はもうかなり出てますよね・・・ソーラのフラット・・・ラのフラットー・・・ソラーで弾いてみます」
 尤が弾いてみるが何も変化は起きない。
「あたし・・・少し考えてみたんだけどいい?」
 久世 沙幸(くぜ・さゆき)が片手を上げる。
 彼女の言葉に、生徒たちは頷いた。
「白い土の言葉なんだけど、白い鍵盤のドじゃないかな?」
「私もそうおもったのだよ」
「拙者も同じことを考えていたでござるよ」
 ゲッコーが片手を上げて言う。
「同じ意見のやつが何人かいたな」
 ラルクが横から口を挟むように言う。
「それで黒い土は黒い鍵盤のドのシャープだと思うのよね」
「白い土にさらに白い土を・・・というのはオクターブ高いドであろうな」
「そうね、たぶん1オクターブ高いドだと思うのよ」
「なるほどな・・・そろそろ皆の意見をまとめてみようぜ。まず、家族という言葉はたぶんファミリーのファ・・・じゃないのか?」
「ファミレ・・・じゃないのね」
「単語で置き換えて頭だけとったらファだけになるんだよな。そんで土という意味はドを表しているんだろう」
 生徒たちが頷いたのを見ると、ラルクは説明を続けた。
「黒い土はドのシャープで、ドのさらに1オクターブ高いドの音を、レガートで弾く・・・ということなんじゃないのか。以上の点を踏まえて考えると、ファの次にドの音を鳴らしてドのシャープを2度鳴らすんだろ」
「へぇー・・・そうなるのね・・・」
「ドから1オクターブ高いドをレガートで弾き、ファの音を鳴らしてミの二分音符を鳴らす・・・というふうになると思うんだが・・・」
「ミ・・・?」
「皆という言葉の頭をとるとそうなるな」
「ドは土のドー、レはレモンのレー。ミは皆のミー、ファはファミリーのファーということでござろうか」
「たぶんな・・・」
「それで弾いてみるわね」
 ラルクの説明通りに沙幸が弾いてみると、カチャンッと何かが床に落ちる音が聞こえた。
「こういう仕掛けなのか」 
 ピアノ下に落ちた鍵を、オウガが拾い上げる。
 鍵が落ちてきた辺りの周辺を調べると、ピアノの下に小さな扉が開いていた。
「ここから落ちてきたのだな」
「―・・・鍵か。たしか調理室に鍵がかった冷凍庫があったな。行ってみるか?」
「えぇ行ってみましょう」
 速人の言葉に陽太たちは頷き、調理室へと向かった。