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トウモロコシ農場を救え

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トウモロコシ農場を救え

リアクション

※ ※ ※

 その頃の農家では……
 王大鋸の応援依頼のデンパを受信した有志たちが集まりつつあった。

「セアリアさん、畑の方の見回りをしてきますね。何かあったら連絡しますので」
「風森さん、あまり危険な事はしないでくださいね……」
 守護天使セアリアに見送られ、風森巽(かぜもり・たつみ)はパートナーの菩提 達摩(ぼーでぃ・だるま)ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)らと農家を後にトウモロコシ畑へと出かけていった。

「じーさん、手伝うぜ」
「しっかりと撒くのじゃぞ」
「OK」
 トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)は達摩を手伝い、生石灰を家の周囲に撒く。
「これで敵が光学迷彩を使っても、足跡が残るじゃろう」
「連中も風車小屋の周りに同じ事をしていたら笑えるよな」
 笑ってくれてかまわないぞ、トライブ。
 とりあえず、ひととおり家の周囲に石灰を撒き終え、見えない侵入者にへの対策はとった。
「ふむ、まぁこんなもんかのう。後は童共に任せるとしようかのう」
 達摩は、巽たちの向かった先へと目を向ける。
「戦いは始まったばかりじゃ」


「後で焼きトウモロコシとか食べたいなぁ……」
 実るトウモロコシを横目にティアが言う。
「無事に守りきることができたら、セアリアさんにお願いしてみましょう……しっ」
 巽はティアを制し耳を澄ませた。
 遠く爆音が聞こえる気がする。
 トウモロコシの間に身を潜めて待っていると、数台の改造バイクがやって来た。
「どら、出来具合はどうかのう」
 ヤンキーのひとりが無造作にトウモロコシをもぎ取り包葉を剥ぎ取る。
 それに習い他の者たちも、トウモロコシを次々ともぎ取り、その熟し具合を確認し始め、中にはそのまままる齧りする者もいた。

「そこまでだ!」
 収穫にガハガハと笑いあうヤンキーたちの目の前に、銀色のヒーローマスクと赤いマフラーを首に巻いた男が現れた。
「蒼い空からやってきて、大地の恵みを護る者! 仮面ツァンダーソークー1!」
 トウモロコシを背景にポーズを決めるのは、変身した風森 巽だ。
「なんっじゃ、ワレェ!?」
「あほちゃうかぁ?」
「いてこますぞ!」

ドカ! バキ! グハッ!

 殴り合い。
 仮面ツァンダーソークー1の必殺技轟閃光「轟雷ハンド」が煌くが、多勢に無勢。

ドカ! バキ! グハッ!

「タツミ!」
 巽の劣勢にティアが援護するために飛び出そうとしたところで、比島 真紀(ひしま・まき)サイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)志位 大地(しい・だいち)が援軍にやって来た。
 そして参戦。

ドカ! バキ! グハッ!

「覚えてろよ!!」
「待て!」
 ヤンキーたちがお約束の捨て台詞を吐いて立ち去る。
 その改造バイクを軍用バイクで追おうとする真紀とサイモンだが、騒ぎを聞きつけた ゆる族たちがわらわらとやって来るのが見て取れた。
「これでは……」
「セアリアさんたちに知らせて、こちらの体制を整えたほうが良いのではないでしょうか?」
 大地の提案に、仲間たちの集まる農家へと戻ることになった。

※ ※ ※

「セアリア、わらわたちがついておる安心するのじゃ」
 農家では、ベルナデット・アンティーククール(べるなでっと・あんてぃーくくーる)が、自分も農家へと集まってきた助っ人(特に強面のパラ実生)たちを泣きそうなくらい本気に怖がっているにもかかわらず、セアリアを励ましていた。
「ベルナデット、後ろ!」
「きゃっ!?」
「あははははっ」
「トライブ〜 朱鷺がいじめるのじゃ〜」
 千石 朱鷺(せんごく・とき)が虚勢を張るベルナデットをからかい、ベルナデットがトライブに泣きつく。
「おまえらな……」
 呆れるトライブだが、朱鷺もセアリアの不安を少しでも和らげてやりたいのだ。
 そんな様子をセアリアは寂しそうに見守っている。
「ダージュが仲間たちに連絡をしたかラ、もうすぐ多くの者が集まってくるだろウ、そうしたらおじいさんを助けにいけル」
 シー・イー(しー・いー)の言葉にセアリアはコクンと頷いた。
「それに家の周りに石灰を撒いたし、万が一敵が近づいても大丈夫だぜ」
「あ、ありがとうございます……私は、みなさんがいてくださるから大丈夫です……」
「トライブってば、セアリアには“特別に親切”じゃありませんこと? なにか下心がおありなのかしら?」
 トライブが心細そうなセアリアを安心させようと微笑み、それを見た朱鷺がニヤニヤと笑いながら言う。
「と、朱鷺!」
 朱鷺の言葉にトライブは、急にセアリアを意識してドギマギし始めた。

 そこへ、周辺の警戒に出ていた者たちが戻り、シャラン一味の偵察部隊が現れたことを報告する。
 ほのぼのした雰囲気だったところに緊迫した空気が流れた。
「どうする?」
「打って出るか?」
「いや、向こうもこっちの出方を見ている感じだ、ならこちらから手の内をさらすのは危険じゃないか?」
 実際に偵察部隊と出会った風森 巽たちの意見をもとに、農家の守りを固め、人数がそろうのをもう少しまとうという事になった。