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2.それはとっても怪しいなって


 次の日、ブラウによって集められた協力者は各自の行動に従い、捜査、護衛、調査などに別れた。
 犯行時刻が夕方に集中しているため、昼間の襲撃は無いと思われるが、早めに動いている面々は昼間のうちに捜査を進めていた。

「では、校長行ってくるよ」
「事後報告は後ほど」
(うむ、内通者居ないとも限らん。用心して当たれ)
 コリマ、校長室を去る茅野 茉莉(ちの・まつり)レオナルド・ダヴィンチ(れおなるど・だう゛ぃんち)を見送った。
 コリマとしても今回の“強化人間狩り”の事件に思うところがあるらしい。それもそうだろう。自校の生徒ばかりが被害にあっているのだから、何かしら警戒をせねばと思うのも当たり前だ。
 勿論ブラウからの情報を信用していないわけではないが、直接の情報を仕入れる為には直属の調査員を送るのがいい。それに手を上げた茉莉とレオナルドをブラウの捜査協力に送った。
「失礼します」
と、二人と入れ替わるようにアウリンノール・イエスイ(あうりんのーる・いえすい)が校長室へと入ってきた。
(どうした? 何か用か?)
「“強化人間狩り”について思うところがありますわ。一連の事件はこの学院の関係者ばかり狙われています。私はこれはコリマ校長に批判的な海人の差し金ではと。ですので、彼に面会する許可を頂きたいのです」
(なるほど……、だが、残念ながらヤツとの面会許可は出せん。それに奴は別のイベントに出る準備で忙しい。それにここ数日の海人の行動はチェックしている。不審な点はない……)
「しかし、彼がサイオドロップなどを使って犯行を支持しているとも――」
(なら、何故、強化人間だけを狙う? 彼もまた強化人間ではないか。ヤツがワシを狙うなら直接狙うだろう。ヤツは限りなく白だ)
「――」
(“強化人間狩り”に関しては、海人を当たるよりブラウに協力をしてくれ)
「――わかりました、失礼します」
 コリマは出て行くアウリンノールを見送ると、深々と椅子に座り直した。


 ――昼。空京、東地区。事件現場


 血痕は一日前のモノと新しく、白いコンクリートに被害者の流した血の量を示していた。染み付いた血雨が振ってもはしばらく取れないだろう。
「事件が終わったら塗装だろうなこりゃ」
 それは自分の仕事ではないが、黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)は続けて呟いた。この血の量が致死量なのは判断はつかないが、被害者が酷い傷を負っていのは想像がついた。
「襲われたのはヴェルリアさんらしいですが……。こんなところで何していたんでしょう?」
 人気のない裏路地だ。民家やビルの裏口ばかりで、16歳そこらの女の子が一人で歩くとことではないユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)は思う。と同時に、こんなところで自分も襲われたらと思うと――。
「ユリナ……ひっつきすぎて動けないよ」
 ユリナが怖がりなのは竜斗も分かってはいるが、こうもずっとひっつかれると嬉しいが、動きづらい。
「ユリナ殿をこんなにも怯えさせるなんて! 許せない、主殿! 必ず犯人を見つけましょう!」
「みつけておせっきょーだよ!」
 ミリーネ・セレスティア(みりーね・せれすてぃあ)リゼルヴィア・アーネスト(りぜるゔぃあ・あーねすと)が意気込む。意気込むのはいいが捜査はまだ始まったばかりだ。この事件現場からはまだ何もつかめてはいない。
「なんだ? オメーらこんなところで何てるぎゃ?」
 と、彼らに近づいてくる見た目幼き地祇。親不孝通 夜鷹(おやふこうどおり・よたか)
「夜鷹か。アルテッツァ先生の地祇が何しているんだ?」
 竜斗が尋ねると夜鷹は五月蝿く答えた。
「ワシはワシの地祇のカンを頼りにここに来たぎゃ? にしても、大分事件現場同士が近いぎゃ」
 夜鷹の言葉に、ミリーネの思考が引っかかる。
「近い? 他の事件現場も見てきたの?」
「そうだぎゃ? 二日前の事件現場とここの事件現場はそう離れとらんぎゃ。他のところもぎゃ。まあ、悪い奴ってのはネジロを縄張りの中に置きたがるぎゃ」
「意外と近場にいるってことですか……」
「ユリナ、そう怖がらなくても……まだ、昼間だから犯人が出てくる可能性は低いよ」
 ひっつき離れないユリナを竜斗が宥める。
「主殿、他の現場にも行ってみましょう。なにか分かるかもしれない」
 ミリーネの言葉に頷き、一同は次の現場に向かうとした。が、リゼルヴィアが「おーなーかーすいたー!」と駄々をこね始めたので、夜鷹の案内する店で一旦食事となった。