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パンツ四天王は誰だ?

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パンツ四天王は誰だ?

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「さあ、状況はさらにカオス化してまいりました」
「そこまでよ。空京の平和はあたしが守るんだもん!!」
「おおっと、ロイヤルガードです、ついに本格的な取り締まりが始まったか!?」
 西ロイヤルガードの制服の下に蒼空学園の新制服を着た小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が颯爽と現れると、パンツアームで暴れ回っているPモヒカンたちにむかって言いました。
「ヒャッハー、そんなミニスカート、のぞいてくれと言ってるようなもんだぜ!」
「おおっと、Pモヒカンの言う通り、小鳥遊美羽選手、ミニスカートです。これは危ないか!?」
「そう易々と、見せるわけないんだよ!」
 言うなり、小鳥遊美羽が華麗にロイヤルガードの制服の裾を翻して、手に持ったハリセンでPモヒカンを往復ビンタしました。勢いよく、Pモヒカンが吹っ飛んでいきます。
「この脚線美は拝ませても、それ以上はだめなんだからね」
「小鳥遊美羽選手、あざとい。ロイヤルガードの制服がロングなのをいいことに、華麗に鉄壁のスカートでガードします。おはなちゃん、撮れた?」
「だめでござる……」
「チッ」
 なぜか涙目な葦原島華町の返事に、風森望が小さく舌打ちしました。なかなか普段ミニスカートの面々はガードが堅いようです。
「ローゼンクライネ、美羽のサポートだよ」
 コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が、オリヴィエ博士改造ゴーレムのローゼンクライネに命じました。黒いゴスロリ衣装を着た金髪碧眼の美少女型ゴーレムが、ま゛っと、Pモヒカンたちを千切っては投げ千切っては投げしていきます。
「うおおお、俺のモヒカンのパンツがあぁぁぁ」
「おや、モヒカンからパンツが外れたPモヒカンが苦しんでいます。これはどうしたことでしょう」
「パンツは彼らの命とも言えるんだよ。あからさまな弱点だよね」
「はあ、なんと分かりやすい……。そうこうしている間にも、ゴーレムのローゼンクライネ選手、次々にPモヒカンたちを退治していきます。これは強い。いったいどうしてでしょうか、解説のブルタ・バルチャさん」
「見れば分かるんだな。決め手は純白レースのショーツなんだな」
「はあっ?」
 なんでそれがと、風森望がちょっと困惑した顔をします。獲物にされはしても、それに力があるとはとうてい思えません。
「パンツ四天王は、煩悩ポイントの量で決まるんだな。だから、パンツ四天王やPモヒカンの強さは、煩悩の強さに比例するんだよ」
「それが何か?」
「あのゴーレムをよく見るんだな。戦闘用なのに、美少女型。しかも、ゴスロリ衣装を着てエロエロ。さらに、これ見よがしにパンチラしながら戦っているんだな。戦闘用なら、本来は全部いらない要素なんだな。きっと、持ち主は相当のマニアなんだな」
「はあ、フィギアに下着着けて喜ぶような人種でしょうか?」
 風森望の言葉に、ブルタ・バルチャがコクコクとうなずいた。
「ちょっと、コハク、あなたいつの間にそんなマニアックに……」
 小鳥遊美羽が、思いっきりどん引きしながらコハク・ソーロッドを見つめました。
「えっ、えっ、えーーーーーー。僕がそんなことするわけないだろ」
「じゃあ、あれはなんなんだもん!」
「誤解だって!」
 不毛な言い合いを始めたために、小鳥遊美羽にわずかな隙が生じました。モヒカンのパンツを失った瀕死のPモヒカンの一人が、死力を振り絞って小鳥遊美羽に這い寄っていきます。
「新しいパンツを早く……」
 むんず。
 Pモヒカンが、のばした手で小鳥遊美羽の純白のパンツをつかみました。
「きゃあっ!! このっ、このっ、このっ!!」
 あわやズリ下ろされかけたパンツを死守すると、小鳥遊美羽がPモヒカンをゲシゲシと容赦なく踏みつぶします。
「ああ、そのくらいにしてあげなよ、原型なくなっちゃうよ」
 あわてて、コハク・ソーロッドが止めに入りました。
 その間にも、ローゼンクライネはハイキックでパンチラし放題です。
「ふむ。あれくらい豪快に戦うと気持ちよさそうであるな」
「何を言ってるのよ。パンツとられたら大変なんだよ。ボクなんか以前……って、それはいいから、ジュレも気をつけて」
 ローゼンクライネの戦いっぷりをほれぼれと見ていたジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)に、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)が釘を刺しました。
「大丈夫なのだ。もともと我ら機晶姫の中には、鉄壁の鋼鉄パンツを穿いている者も多いからな」
 しれっと、ジュレール・リーヴェンディが言います。確かに、機晶姫の中にはボディアーマーがそのまま皮膚になっているタイプも多く、パンツという概念のない人たちもいます。ちょっと反則です。
「何言ってるの。ジュレには、ボクがレオタードを用意してあげたじゃない」
「あれは……」
 嫌なことを思い出したと、ジュレール・リーヴェンディがちょっと顔を顰めました。カレン・クレスティアは、イコンに乗るときにはジュレール・リーヴェンディにレオタードを着せたがるのです。
「レオタードなど、反則だ。アンダースコードみたいな見せパンは敵だあ。それは許さん!」
 それを小耳に挟んだジュゲム・レフタルトシュタインが、荷馬車の中で暴れて叫びました。羽根を振るわせて、あおむけに手足をもぞもぞする姿は、きもすぎます。思わず、丸めた新聞紙を手にしたくなるくらいです。風森望たちも怖気って身悶えましたが、ブルタ・バルチャが間に入ったので、かろうじて叩き潰して白い物が出てくるといった最悪の事態は避けられました。うげっ。
「そうだよ。ズボンの重ね穿きなんて許されないんだから!」
 フィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)が言いました。ちなみに、フィーア・四条は、下は魔女のパンツ一丁です。なんでも、これはズボンでパンツじゃないから大丈夫という独自の理論を展開しています。
「なんだと、パンツをズボンと呼んでもいいのか!? だとしたら、俺はブリーフ番長を目指しているんだが、パンティーもブリーフの一種だと考えたって間違いじゃないよな」
 なんだか新しい境地に目覚めて、猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)が叫びました。どさくさに紛れてPモヒカンたちのパンツを狩っていたのですが、悟りを開いたのか、獲物の範囲を女子のパンティーにまで広げたようです。
「むっ、二枚穿きの気配がする……」
 そう言うと、フィーア・四条がカレン・クレスティアに突進していきました。
「きゃっ」
 フィーア・四条の速攻で、カレン・クレスティアが穿いていた毛糸のパンツを脱がされてしまいました。
「やっぱり、二枚穿きしていたね。これは反則だよ、ちゃんとパンツだけ穿かないと。ふむふむ、ちゃんとしたパンツは白で、ダミーの毛糸パンツはクマさんパンツか……」
 「なんだと、クマさんパンツだとぉ」という叫び声が遥か遠くから聞こえてきたような気もしますが、こんなことを言う人は人間の盾にされているはずですからただの空耳でしょう。
「ふっ、それで勝ったと思ったら間違いなんだから」
「なんだ、これ!」
「ゆけ、式神、キラーパンツよ!」
 すかさず毛糸のパンツを式神化したカレン・クレスティアが、フィーア・四条を追い払いました。穴の部分が全て牙で被われた凶悪な式神です。
「ジュレも気をつけなさい」
「安心するがいい、今日の我が穿いているのは究極のステルスパンツなのだ。つまり、バカには見えない。すばらしいパンツなのだ」
 珍しく穿いているスカートの裾をひらひらさせながら、ジュレール・リーヴェンディが言いました。実際には、何も穿いていません。ジュレール・リーヴェンディいわく、ノーパン健康法の一貫なんだそうです。
「おはなちゃん!」
「お任せでござる」
 すかさず、葦原島華町がカメラをむけようとします。そのレンズに何かが噛みつきました。バリバリと、カメラを噛み砕いていきます。キラーパンツです。足を通す二つの穴と、ゴムで伸び縮みする部分に牙の映えた口が見えます。凶悪です。
「ひー、他の場所に行きまーす」
 ノート・シュヴェルトライテが、あわてて荷馬車を牽いてその場を逃げだしました。
「君、ちゃんとズボンは穿かなきゃだめじゃないか」
 そう言うと、一度は逃げだしたフィーア・四条が戻ってきて、自分のパンツを脱いでジュレール・リーヴェンディに与えようとしました。
「おお、くれるんなら俺様にくれ!」
 突然走ってきた尾瀬 皆無(おせ・かいむ)が、問答無用でフィーア・四条のパンツに手をかけました。
「おっとっと……」
 いきなり後ろから引っぱられて、バランスを崩したフィーア・四条がつんのめって倒れます。その勢いで尾瀬皆無の手からパンツがするりと外れましたが、半脱ぎプリケツのままでフィーア・四条はぶっ倒れました。
「うおおおお、けつだ、けつ! なんとぶりちーで柔らかそうな。もう辛抱たまらん。いただきま……」
「そこまでよ!」
 突然響き渡った狩生 乱世(かりゅう・らんぜ)の怒鳴り声に、尾瀬皆無が溢れ出る鼻血を拭くこともせずに凍りつきました。
「ラ、ランちゃん!?」
「今日という今日はシバキ倒す。そこを動くな!」
 憤怒の表情で、小型飛空艇オイレに乗った狩生乱世が言いました。きっと、よほどのことがあったのでしょう。
「うわあああ、デビール隠れ身!」
 半プリケツのフィーア・四条を残して、尾瀬皆無がパンティー吹雪と共に姿を隠しました。Pモヒカンたちが歓声をあげて、舞い散るパンティーに群がります。
「あっの馬鹿、あたいの下着を……。殺す! どけっ!!」
 小型飛空艇オイレで自分のパンティーをつかんだPモヒカンたちを次々に葬りながら、狩生乱世は尾瀬皆無を追いかけていきました。
「よいしょよいしょっと。はい、交換だよ」
 フィーア・四条の半けつをくんかくんかした後、別名象牙の書 エイボンの書(べつめいぞうげのしょ・えいぼんのしょ)がパンツを脱がして自分のパンツと交換しました。
「ふふっ、非の打ち所のない変態だわ。もう止めないから、あなたはあなたの道を究めなさい」
 少し離れた所の電柱の陰からそっと様子をうかがいながら、エレクトリック・オーヴァーナイト(えれくとりっく・おーばーないと)がこっそりと別名象牙の書エイボンの書にむかって言いました。