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パンツ四天王は誰だ?

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パンツ四天王は誰だ?

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「うぎゃあ!」
 ちゅどーん!
「パンツ四天王に栄光あれ!」
 ちゅどーん!
 戦いは激しさを増して、あちこちで爆発が起きているようです。爆風に舞い上げられたパンツも、あっちこっちに散乱しています。
「嫌あ!」
「ほれほれほれ」
 逃げるヘスティア・ウルカヌスをまだ追いかけて、パンツアームの触手をうねうねさせて毒島大佐が通りすぎていきます。
「なんだか大変よねえ。あら、あの人何してるのかしら」
 我関せずを決め込んでメロンパンを囓りながら歩いていた獅子神 玲(ししがみ・あきら)が、道端にしゃがみ込んでエクストリームアイロンをしている騎沙良 詩穂(きさら・しほ)を見つけて小首をかしげました。
「まあ、かわいそうに。今助けてあげますからね。すりすり」
 道に落ちていた紫のビキニパンツを見つけて、騎沙良詩穂が愛おしそうに頬ずりしてからアイロン台の上におきました。当て布をしてから、アイロンでちゃんと皺をのばします。
「もう大丈夫ですよ。おぱんちゅディフェンダーとしては、どんなおぱんちゅであろうとも、きっちりお世話させていただきます。どこか痒い所はおありですか? 少し熱いですけどがまんしてくださいね」
 まるでお客さんに話しかけているかのようにパンツに話しかけている騎沙良詩穂の姿はちょっときています。どうやら、彼女の中では、パンツも、その中身も等しく同等のようです。
「そのパンツもらったあ!」
 ちょっとふらふらした足取りでやってきた藤原千方が、騎沙良詩穂が綺麗に選択してアイロンをかけたパンツの山を指さして叫びました。背後には、Pモヒカンたちが偶然一緒になってぞろぞろと歩いてきます。
「ちょっと、千方、何をやっているのよ」
「もちろん、パンツ四天王になるための戦いに決まっているであろう。そのために、パンツを奪って奪って奪いまくるのだ」
「まあ、そんなことだけがパンツ四天王になる道ではないんだよ」
 藤原千方の言葉を聞いて、騎沙良詩穂が言い返しました。
「まったく。どうしょうもないですね。さっさとお帰りなさい」
「ふっ、その前に、そこのパンツと、貴様らのパンツもいただこう」
 不敵に笑ってみせると、藤原千方が騎沙良詩穂と獅子神玲に言いました。
「残念でした。今日の私はスパッツです。スカートめくりも何も意味ないですよ」
 ちょっと、獅子神玲が勝ち誇ります。
「甘いな。スパッツだろうと、アンダースコートだろうと、世に見せパンと呼ばれている物であろうと、実際にはパンツの上から穿いているパンツにすぎないのだ。その証拠に、下のパンツがなくても、それらはパンツとして充分に機能するではないか。そこが、スカートとの決定的な戦力の差だ。それに、それらを一回でも直穿きしたことがないとは言わさん。むしろ、スパッツなど、身体の線がくっきりはっきり、パンティーよりも恥ずかしいぞ。布地の多さが、羞恥心と比例するなど浅はかすぎるのだ。さあどうだ。ほれほれ」
 そう言ってジーッと獅子神玲のスパッツを見つめる藤原千方の目は凄く嫌らしく感じます。こうなってくると、恥ずかしくないのに恥ずかしくなってくると言うものです。きっちりと上等なメイド服を着ている騎沙良詩穂までなんだかもじもじとしてきました。
「おおーっ」
 ギャラリーと化していたPモヒカンたちも、その手があったかと藤原千方に倣います。
「それ以上近づくと、容赦なく斬り倒しますよ!」
 じりじりと近づいてくる藤原千方たちを獅子神玲が威嚇しました。
「もしかして、このパンツさんたちのために戦ってくれるの?」
 獅子神玲の様子を見て、騎沙良詩穂が訊ねました。
「ええっと、空京飯店のバイキング一日券くれるなら……」
「いいでしょう」
 あっさりと騎沙良詩穂が承諾しました。
「というわけで、私のごはんのために死んで」
 そう言うなり、獅子神玲は藤原千方とPモヒカンたちに突っ込んでいきました。
 
    ★    ★    ★
 
「パンツ四天王ってなんですか?」
「なんだこのアマ、それよりパンツ見せ……」
 いきなりPモヒカンに質問をした神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)でしたが、あたりまえのように襲われかけました。
「うぼあっ!?」
「簡単にパンツにパンツの話しちゃいけないって言ったですぅパンツ」
 Pモヒカンを一撃で蹴り倒した神代 明日香(かみしろ・あすか)が、神代夕菜を注意しました。
「いいんですぅパンツ。今空京はパンツなんですぅパンツから、そんなときに特別なパンツを穿いた夕菜ちゃんがパンツパンツ歩いてたりしたらどうなると思っているのですぅパンツ」
「あのう、明日香さん、パンツが多い気がするのですが……」
 あからさまに顔を赤らめて、神代夕菜が神代明日香に言いました。
「そんなことはないですぅパンツ。隠したって私には分かるんですぅパンツ。夕菜ちゃんのパンツは輝いて見えましたですぅパンツ」
「いつの間に見たのですか!」
「きっと、あのパンツこそは、ブライド・オブ・パンツに違いないのですぅパンツ。それを、パンツ四天王の手に渡してはいけませんですぅパンツ」
「はううう、きっと明日香さんは以前縞パンを南鮪に被られてから、悪質なパンツ菌に冒されてしまったのですわ」
「そんなことないですぅパンツ。あの縞パンは焼却処分したですぅパンツ。一度でも人に被られたパンツなんて二度と穿けないですぅパンツ。今穿いている縞パンは、おろしたての新品ですぅパンツ」
 力説する神代明日香ですが、やっぱり何か変です。ほんとは、被られた縞パンを穿いてしまって、悪質なパンツ菌に冒されてしまったのでしょうか。
「なんだってぇ、縞パンがここにあるのだとぉ!!」
 突然、縞パンという言葉に反応して、毒島大佐が走ってきました。背中にはまだしっかりとパンツアームを背負っています。
「そこかあ!」
 毒島大佐がパンツアームの触手をのばしました。
「そうはさせるものですかですぅパンツ」
 素早くガードした神代明日菜でしたが、毒島大佐の狙いは神代夕菜の方でした。どうやら、勘違いしているようです。
「きゃあ」
 あわてて神代夕菜がガードしますが間にあいません。触手が、スカートの下から中を見あげました。
「なんだとー、なんなのだ、この謎の光は!?」
 モノクル型のモニタでカメラの画像を確認していた毒島大佐が叫びました。録画された画像には、ちょうどパンツが映っているはずの股間の部分に謎の強い光が走っています。これでは何も見えません。
「おのれ、詳しくはブルーレイでねと言うつもりであるか。なんと姑息な」
 なんだかよく分からないことを毒島大佐が口走ります。
「やっぱり、夕菜ちゃんのパンツはブライド・オブ・パンツだったのですぅパンツ。だって、光ってるですぅパンツ」
 神代明日香が納得しました。
「仕方ない。次の獲物を……」
 そう言うと、毒島大佐は急いで逃げて行きました。