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想いを取り戻せ!

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想いを取り戻せ!

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   10. 届くもの 繋がっていくもの
 
 ツァンダの街道を騒がした野盗団・レッドアームズは壊滅した。
 頭目である男は予想に反し、自身をはじめ配下にも大人しく縛に着くように命じた。
 どうにしようもない悪党だが、最後の最後に一つ筋を通したのだろう。
 ひとまずは重傷を負ったものが回復するまで、コントラクターたちの監視化でツァンダ家預かりとし、
 最終的にはレティーシアの、ツァンダ家当主代行の名前でツァンダの警察に引き渡されることになった。
 余談だが、副頭目らしい男だけは別で往生際悪く、手近にいた青年を盾に取り、解放を要求したのだが。
 人質にとった相手から目も当てらない暴行を受け、逆に保護を願いでるという残念な結果になったことはここだけの話である。
 
  
 積荷も無事に戻った。
 かなりの量があるので、改めて回収班を向かわせる話も出たのだが。
 襲撃に参加したメンバーで分担して持ち帰ることになった。
 メンバーに力自慢がいたのと、かなりの量を収納できる鞄があったおかげだろう。
 
 
 当然、少女の手紙をはじめとする書簡類も無事だった。
 誰がその手紙を少女に返すか。
 それは結局、そのために力を尽くした全員で行われた。
 感極まって、頬を染め、瞳に涙を潤ませた少女は何度も何度も頭を下げた。
 優しい言葉の他に花を贈るもの。
 お礼には少女に笑顔をもらうと微笑むもの。
 とくに最後の一言は絶大な効果があったのか。
 少女の顔はまるで林檎のようだったとか。」
 
 
 積荷の再配送の段取りも行われた。
 その中にはゆる猫パラミタの名があり、有事に備え、警備会社から常時護衛が派遣されることになった。
 急を要すもののに、その日のうちに有志で各方面に届けられることになり、つい今したが出発した。
 獅子座の十二星華は、そんなことに付き合わないとそっぽを向いたのだが――
 あれよ、あれよと言う間に仲間に囲まれ、連れて行かれることになる。
 精一杯の抵抗でバイクの後ろに乗ることだけは回避したようだが。
 荷馬車の上で少女は大切そうに手紙を抱える。
 誰かが内容を問えば、恥ずかしそうに内緒だと言葉が返ってきた。
 荷馬車が進む。
 ハッピーエンドは、もう目の前。
 
   * * * 
 
 風がカーテンを揺らした。
 ツァンダ家の客間はコントラクター野盗を問わず負傷者に解放された。
 窓際のベット。
 そこには赤毛の少年が眠っている。傍らには竜人が一人。
 目覚めた時に――二人の抱える想いは、今度こそ互いに届くのだろうか……
 
 
 
 ――カタン
 
 手紙が届く。
 あの一件に関わった全ての人たちへ。
 差出人は――アンナ。
 あの少女だ。
 
 
  書きたいことはたくさんあります。
  でも、手紙に向かうと上手く書けません。
  おばあちゃんは、少しずつですが、元気になっています。
  わたしの手紙も役にたってるといいな。
  おばあちゃんはわたしの手紙はあったかいって言ってくれます。
  元気になる、幸せのもとなんだって。
  
  だから――
  お礼の代わりにお手紙をおくります。
  
  あれから、もうひと月。
  みなさんはお元気ですか?
  わたしは元気です。
  どうか、優しくてすてきな風がみなさんに幸せを運びますように。
  
  ありがとう
  
  
 ――カタン
  
 一軒だけ、もう一つ、手紙の届いた家がある。
 郵便受けを覗いた金の髪の剣の花嫁は、その差出人を見て微笑む。
 差出人の名はないが――住所にツァンダ警察内監獄事務所とあった。
 どうやら、悪人の心も救いたいという馬鹿みたいに真っ直ぐなパートナーの想いは無駄ではなかったようだ。
 ツァンダ家当主代行に頼んで、こっそりとカンパを託したのも利いたのかもしれない。
 地獄の沙汰も金次第。
 それよりも人と人――言葉を届ければ、きっと繋がるのだ。
「手紙だよー」
 嬉しそうな声がな青い空に響いた。

担当マスターより

▼担当マスター

竜田大輔

▼マスターコメント

 大変お待たせいたしました。
 様々な事情が重なった結果、このようにお届けが遅くなり大変申し訳ありません。
 せっかく、ご参加いただいた皆様の信頼を裏切ってしまい、最早お詫びのしようもございません。
 本当に申し訳ありません。
 
 
 さて、アクションとリアクションについて少しだけ。
 今回は野盗団討伐と積荷の奪回というシンプルな構造でした。
 迫力のあるかっこいい戦闘シーンは難しいです。
 もっと敵対勢力に回る方がいらっしゃるかと思いましたが、少なく。
 人数とレベルなどの時点で野盗側の敗北はほぼ確定しておりました。
 できるだけ、皆様のアクションを生かせるように執筆しましたが、
 中には思ったのとちょっと違うという方もいらしゃるかと思います。
 全員のアクションが重なり、それを物語にした結果だとご理解いただければ有難いです。
 
 前回のリアクションで表記ミスがありました。
 今回はそのようなことがないように細心の注意を払いましたが、人の目による確認です。
 万が一漏れがありましたら、お手数ですがユーザーサポートを通してご連絡ください。
 対応させていただきます。
 
 それでは、本文を少しでも楽しんでいただければ幸いです。