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リアクション
プロローグ
「総員、配置に着いたか? それでは、李 梅琳(り・めいりん)、エレーネ・クーペリア(えれーね・くーぺりあ)の救出、及び、敵要塞の偵察作戦を開始する!」
そこは、とある要塞の周辺に広がる森の中、今回の作戦の指揮官、補佐を担当する者たちが拠点とする場所だった。
要塞から距離があるとはいえ、警戒するに越した事は無い。拠点にいる者たちは皆、それぞれ【迷彩塗装】などで身を隠していた。
「やはり、放校処分者の参加は認めるべきではないと思いますがね」
マーゼン・クロッシュナー(まーぜん・くろっしゅなー)は、先程作戦開始の号令をかけた、指揮官、佐野 和輝(さの・かずき)に向かって呟く。
「教導団の人間としては、放校処分者、いや、犯罪者の手を借りるというのは受け入れがたい。たとえ戦力的に多少不利になるとしても、目先の利益のために教導団員としての矜持を捨てるべきでは――」
「あーはいはい、分かったから。耳元で騒ぐな」
佐野は至極どうでもよさそうにマーゼンをあしらう。
「というか、参加するなとか言った所で、連中が言う事を聞くと思うか? 『犯罪者』ならなおさらだ。それに、下手に口出しして向こうに付かれたら厄介だ。放っておけば良いさ。それなりの働きはするだろう」
「だが、李大尉が犯罪者の手を借りたと知ったら――」
「そんなもん、どうでもいいんだよ。矜持、自尊心、誇り。大事なのはそこじゃあない。作戦が成功するか、しないかだ。俺は、作戦成功の為に動く。指揮官をする。それが今回の俺の仕事だからな。それに、救助者の生死が関わってる。そんなことでうだうだしてられないだろ。理解したか?」
「……ならば、せめて奴らの成功報酬を少し減らしたりできないものだろうか。不正規の道具を使ったり人道に背くようなことをしているだろうしな」
「それは依頼者……、今回の場合は教導団か。そっちに言ってくれ。っと……そろそろ偵察組が侵入する頃か。さぁて、こっからが本番だ」
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