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リアクション
四季の森、北方、花保管庫前。
「……む」
フレンディスは『魔障覆滅』で襲い来る触手を切り刻もうとするが、『行動予測』を持つヌギル・コーラスは俊敏に避け、フレンディスの死角を狙い触手を伸ばす。『潜在解放』によりヌギル・コーラスの能力は強化されている。
「フレイ!!」
ベルクがフレンディスを守るために『我は紡ぐ地の讃頌』で回復系の攻撃をしかけるとヌギル・コーラスは効果は無くとも嫌な攻撃らしく怯みをみせた。その時、ヒュンと『ホークアイ』を使うローザマリアの『スナイプ』による銃弾がヌギル・コーラスの頭部を狙う。
「……ふむ。愚かな、そのような鉄の塊がこの私を貫く訳がありませんよ」
対消滅魔力結界でローザマリアの攻撃を防ぎ、飛んできた方向にエネルギー波を放った。
「やっぱり、そう簡単にはいかないか」
『光学迷彩』とベルフラマントで姿と気配を消したローザマリアは『行動予測』でエネルギー波が飛んでくる前に移動し、狙撃位置を特定されないように不規則に動き回る。
「……それでもやるしかないわね。この森とグィネヴィアのために」
移動しながら『インビジブルトラップ』を最大数仕掛けていく。ローザマリアは諦めない。
上空。
「禍々しい障気だな」
『イナンナの加護』で状態異常を防ぎ、『戦闘サポートプログラム・N』で攻撃力を強化したグロリアーナは王騎竜『ア・ドライグ・グラス』で上空からエッツェルの持つ瘴気を見極め、降下して奇襲をかけるタイミングを計っていた。
戦闘の最中。
「もう大丈夫だ。動けるようなら早く避難をした方がいい」
「さっさと行くですよ」
陽一は動ける花妖精に避難を促し、いつの間にか獣化したポチの助が逃走経路を指示した。『フールパペット』で亡き人を操り、正義側の人々や花妖精に襲いかかるもベルクが死龍魂杖で吸い込み、皆を助けた。避難が終わっていないのは動けぬ花妖精達だけだ。
ポチの助はビクの助に花と動けぬ花妖精を乗せていた。フレンディスに頼まれた任務を遂行していた。しかし、連れて行こうにもヌギル・コーラスの攻撃が飛んできたら花妖精にまでも被害が行くので下手には動けない。陽一は襲いかかる『古代の力・熾』で作り出したヌギル・コーラスの分身の攻撃を何とか消えるまで深紅のマフラーで堪え忍んだ後、戦闘の援護に向かった。
「そこまでだよ。これ以上、この森を浸食するのはやめるんだ」
「そうですわ。大人しく帰って下さいませ」
涼介と『エイボンの書』が登場。
「……浸食。おかしな事を言いますね。この姿こそが、此処のあるべき姿なのでしょう? それを歪めて、無理やり自身達の都合の良い形に捻じ曲げる行いを正当化するとは厚顔無恥も甚だしいですね」
ヌギル・コーラスは心外だと不快な笑みを湛えながら言った。
「……その道理を通す訳にはいかないよ」
涼介はいつもの優しさが一片もない表情で召喚獣:フェニックスと召喚獣:サンダーバードをヌギル・コーラスの周囲に展開させ相手を牽制し、ベルクの回復技と共に『命の息吹』でヌギル・コーラスを嫌がらせる。涼介と『エイボンの書』は『禁じられた言葉』で魔力を増幅する。
隙を与えず、陽一が大きく広げた漆黒の翼で動きを封じ、『アイアンフィスト』で打撃を仕掛け、ローザマリアの銃弾も火を噴く。
「……稚拙な」
しかし水晶翼で陽一の戒めを解き、銃弾さえも効果が無い。しかし、時間稼ぎには十分。陽一は離れ、花妖精の護衛に戻った。
「うむ」
グロリアーナは好機とばかりに降下し、一気にゼロ距離まで詰め、素速く刃を地面に水平に構えて『抜刀術』を使用し『燕返し』による流れる様な動きと上半身のバネを組み合わせた『疾風突き』を繰り出してヌギル・コーラスの体に突き刺そうとするもするりと避けられる。
「下手な子供のお遊戯ですね」
とヌギル・コーラスは嫌な笑い声を響かせる。
「……少しでも隙を」
「やれ!」
ローザマリアとベルクは銃撃と回復技でグロリアーナに攻撃の隙を与える。
「押して通らば命を賭せ、か。出来れば、使いたくなかった手ではあるがな……已むを得まい!」
グロリアーナは再び巡って来た好機にフェニックス・アヴァターラブレイドを突き刺しそのまま全身全霊を賭けた攻撃、『【バーリ・トゥード・アーツ】英霊用』を使用し、ローザマリアが仕込んだトラップへと何とか追い込む。
続いて
「炎を」
「門にして鍵、一にして全、全にして一たるモノの力を以て我が魔力を開放せん。イア! イア! イア! グルフ=ヤ、ツァトァグァ! われエイボンは、汝を呼び出し、命を与える。外なる神の化身に裁きを」
威力が増幅された涼介の『天の炎』と『エイボンの書』の『インテリジェンストラント』が発動する。
ローザマリアのトラップと大がかりな攻撃がヌギル・コーラスを襲うと共に地形が変化し、粉塵が舞う。
正義側の人々はヌギル・コーラスの攻撃に備えて構えるも視界が明るくなると同時に臨戦態勢を解いた。
「……いませんね。逃げたのでしょうか」
フレンディスはヌギル・コーラスの影形が無い事を念入りに確認した。
「そうだな。まぁ、退けただけよしとするか」
ベルクはあらゆる疲れがこもった息を吐き出しながらフレンディスにうなずいた。
「……犠牲者が出てしまったわね」
ローザマリアはヌギル・コーラスが花妖精達を捕食していた事を思い出し、表情はすっきりしない。
「そうだね。もっと早く駆けつける事が出来れば」
涼介も救えなかった命に心を痛めた。
「……兄様」
『エイボンの書』も涼介と同じように胸を痛めていた。
すぐに皆は一度森を出てフウラ祭司に相談する事にした。この惨状を花冠で修復出来るかと。陽一とポチの助は花妖精を連れて移動した。
四季の森から離れて。
「……さて次はどこに行きましょうかねぇ」
ヌギル・コーラスは水晶の翼で空を駈けていた。さすがのヌギル・コーラスも最後の攻撃は厳しく致命傷であったが、『プロフィラクセス』で復活した上に多勢に無勢のため姿を眩ませ、次なる災厄を振りまく地を探すため優雅に飛び去った。
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