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この中に多分一人はリア充がいる!

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この中に多分一人はリア充がいる!

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第一章 

――自分がリア充ではない、という事を証明してみせろ。証明出来たら見逃してやる。

 キロスの言葉に一同は顔を引き攣らせ、ざわめき出す。
 無理はない。『自分がリア充ではない』などどのように証明すればいいというのだろうか。
『一体お前は何を言っているんだ』という視線で一同はキロスを見ますが、口にはできない。碌な事にはならないのが目に見えている。
 どうしたらいいかと戸惑う中、一人のモヒカン――ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)が立ち上がった。
 ゲブーは笑っていた。それはこの緊張感漂う空気に精神が耐え切れずに壊れた――簡単に言うと緊張の糸が切れて発狂した、というようなものではなく、何処か勝ち誇った不敵な笑みである。
「おい、てめぇ」
 ゲブーは不敵な笑みを浮かべたままキロスに目を向ける。それに対し「あ゛ぁ゛ん?」と完全にぶち殺す感満々の苛立った顔でキロスが返す。
「てめぇだよてめぇ。モヒカンじゃねぇくせに中々見どころ有るじゃねぇか」
「あぁ? 何がだよ」
「何がじゃねぇよ。俺様をリア充と見なしたって事だ」
 そう言うとゲブーは大いに胸を張る。
「そう! この俺様こそがリア充よ!」
 声高に宣言するゲブーを、良識を持つ契約者達は『うわーコイツ何自分から死にに行ってるんだ』とか『自ら生贄になるとか無茶しやがって……』とか憐れんだ目で見る。それ以外はまぁ碌な事考えてなかった。
「お前がリア充だぁ? ひっとらえてきたオレが言うのも何だが……そんな風には見えねぇぞ?」
 キロスはというと、『胡散くせー』という態度を隠そうともせずにじとっとした目でゲブーを見る。
 ピンクのモヒカンが目立つその見た目は、何処ぞの世紀末世界で暗殺拳の使い手が現れるまではリア充だろうが、今現在は一般的なリア充像からはかけ離れている。ちなみにこれは外見をディスっているわけではない、とだけは言っておこう。
「あーっと、皆まで言わなくてもわかる!」
 そんなキロスを、ゲブーは大げさな身振りで止めると、更に勝ち誇ったようにこう言った。
「わかってるんだぜぇ? モテないてめぇはこの俺様が羨ましいんだろ?」
「お前は何を言っているんだ」
 キロスの言葉に、その場にいた者達が頷く。
「そうかそうか! しかたねぇなぁこうなったら俺様の武勇伝を聞かせてやらぁ! せいぜい涙流してうらやましがりなぁッ!」
が、ゲブーは全く聞いちゃいなかった。そして誰も聞いていないのに、自信満々に語りだした。

「俺様はいつでもモテモテ! おっぱいをエステしてやるぜーと女ども言ってやったら、キャーキャー黄色い声で喜んで、照れ隠しに逃げていくんだぜー! そして一度揉んでやったら、みんな大喜びってもんだぜ!」

 そしてこの武勇伝(妄想)である。
 あまりの武勇伝(妄想)っぷりに、キロスを始め唖然としてしまう。その様子を見て、何を勘違いしたやらゲブーはエンジンがかかり始める。最初からフルスロットルだった気もするが。
 そんなこんなで、ゲブーの武勇(以下略)は止まらない。過去、揉んだオパイオーナーについてまで語りだした。登場したオーナーは以下の通り。

 五千年ちっぱい
 災厄おっぱい
 自称Bおっぱい
 乙おっぱい
 種もみおっぱい

 さて、このオパイオーナーが一体誰か当ててみよう。全問正解者は喜べます。
 ちなみに正解は諸事情(書くのめんどい)により公表できない。

「どいつもこいつも揉んでやったら俺様をポカポカ殴ってくるくらい大喜びだったぜ! 俺様に揉まれて嬉しいからって照れ屋でしょーがねぇぜ!」
 ふん、と鼻息を吐いてゲブーが大きく胸を張る。実際はポカポカ、なんて物じゃなかったに違いない。だが彼の中ではそうなのだろう。彼の中では。
『一体こいつは何を言っているんだ』と唖然とするキロスを見て、ゲブーががははと勝ち誇る。
「どーだどーだ!? うらやましいだろう!? まぁてめぇも俺様みたいなモヒカンにすればもてるかもな? 俺様の1千億万分の1ぐらいはな! がははぶぁッ!?」

「それはリア充ではなく女の敵じゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 黙って聞いていた女性陣の堪忍袋の緒が切れた瞬間であった。

――それから始まったのは、それはそれは口にするのも憚られる程の酷いリンチであった。
 蹴る殴るは当たり前で、次第に『おい道具だ! 道具持って来い!』『簡単に殺すな! 生まれてきたことを後悔させてやれ!』といった不穏なセリフが飛び交う様になり、次第に響いていた鈍い音が段々と『ぐちゃり』という何か潰れた音がするようになった。どこぞの業界でも拷問である。
 そんな拷問の末、仕上げにとゲブーは【機晶爆弾】で爆発させられていた。
 まるでぼろ雑巾のように吹き飛ぶゲブーであったが、苦痛から解放されたその顔は何処か爽やかであった。

 ゲブーを散々ボコって消毒すべき汚物にした後、いい汗をかいた、と皆が帰ろうとしたが、
「おい待て! 流石にあれが犯人ってのはねーだろ!」
とキロスがとっ捕まえたのであった。ちっ。