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リアクション
★ ★ ★
「プリン、プリン♪」
騒ぎを逃れてきたデメテール・テスモポリスが、台所に潜入中の冷蔵子を開けようとしました。
「いやん、ワタシの中身は乙女の秘密です」
なんだか艶めかしい声で冷蔵子がバタンと扉を閉じました。
「なんなのよ、中に入っているプリンを渡すんだもん!」
チラリと中に見えたプリンを、デメテール・テスモポリスが要求しました。
「だめデス。ひとたびワタシの中に入った物は、全て私の物デス。誰にも渡さないデス! もしなくなったとしたら、常識的に考えて、犯人はヤス、デス!」
断固として冷蔵子がプリンを渡すことを拒否しました。ここに、プリンを巡るデメテール・テスモポリスと冷蔵子の戦いが勃発です。
そこへ、女王・蜂がやってきました。広間の戦いを避けてきたのです。ところが、ここでも戦いです。
「勘弁してほしいでございます」
そっと部屋の角に身を隠す女王・蜂でした。
さらに、あろうことか、ボコにされていた紫月唯斗が台所に逃げてきました。どうやって脱出してきたのでしょうか。顔中青痣だらけですが、なんとか生きてはいるようです。
「何をやっているんだ……んぐ、うぐぐぐ……」
冷蔵庫を壊そうとしているようにしか見えないデメテール・テスモポリスを止めようとしたときでした。紫月唯斗に何か白いスライムのような物が貼りつきました。
「うぐぐぐぐ……」
息をとめられて暴れる紫月唯斗が、ちょうど扉が開いていた冷蔵子の中に倒れ込みました。暴れた拍子に、中のプリンが外に飛び出します。そのまま、バタンと、扉が閉まりました。
「わーい、プリンー」
脇目もふらずにプリンに飛びつくと、デメテール・テスモポリスがそれを持っていって、隅っこで食べ始めました。
「ああっ、唯斗さんがワタシの中に……。ポッ」
冷蔵子が、ちょっと、顔を赤らめて言いました。
「なんなんですか、このお餅は!」
いきなり襲いかかってきた鏡餅を見て、イブ・シンフォニールが叫びました。
「どうだ、活きがいいだろう」
ちょっと自慢げにマネキ・ングが言います。
「おかしいでしょうが!」
マネキ・ングに言い返しながら、イブ・シンフォニールが持っていた包丁で、襲いかかってくる鏡餅に次々と止めを刺していきました。息の根を止められた鏡餅が、次々にお雑煮の大鍋の中に落下して煮られていきます。
「ふう、やっと全滅しましたか? でしたら、さっさと運んでください!」
お雑煮を銘々碗に盛りつけながら、イブ・シンフォニールが言いました。
★ ★ ★
「結局、紫月はとんずらしたままか」
お土産の酒瓶をかかえながら朝霧垂が言いました。
「ええ。見つけたら、締めておきます」
さらりと、エクス・シュペルティアが言いました。
「チッ、次は逃がさないわよ」
懲りていない紫月結花です。
「世界征服はだなあ……」
「うう、うるさいですな」
酔いつぶれたドクター・ハデスを、マスク・ザ・ニンジャがおんぶして運んでいます。マネキ・ングの命令ですので仕方ありません。
「皆さん、気をつけてお帰りくださいね」
紫月睡蓮が、お客さんたちを送り出します。
「うん、またね。次は、別の不倫写真よろしく」
「ねえねえ、不倫ってなあに?」
帰りの道々、川村玲亜が川村詩亜に訊ねています。
「ええっと、忍者さんの得意技」
そう言って、川村詩亜がごまかそうとします。
「不倫か? ごにょごょごにょ」
そんな川村詩亜を無視するように、何やら川村玲亜に耳打ちする辿楼院刹那でした。
「面白かったね、お仕置き」
ユーフェミア・クリスタリアたちは、何かを充分堪能したようです。
そのころ、誰もいなくなった台所で、冷蔵子が何やらガタガタとゆれていました。