イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

学生たちの休日12

リアクション公開中!

学生たちの休日12
学生たちの休日12 学生たちの休日12 学生たちの休日12

リアクション

    ★    ★    ★

「ここはどこなのー」
 紫月唯斗にDDTを見舞ってしまったはずかしさから駆け出していってしまったアルミナ・シンフォーニルですが、慣れない屋敷で突っ走ってしまったもので、完全に迷子になってしまいました。
「イブさん、どこー。せっちゃん、どこー」
 半べそでイブ・シンフォニールらを探しますが、どこにも姿が見えません。
「あれえ、こんな所で何をしているの?」
「助かったあ」
 思わず、安心したアルミナ・シンフォーニルがへなへなとその場にうずくまりました。運よく、忍者屋敷探検だあと暴走した及川翠やユーフェミア・クリスタリア、川村詩亜、川村玲亜(川村 玲亜(かわむら・れあ))たちと合流できたのです。
「さあ、探検だよ!」
 迷子になって呆然としていた川村詩亜と交代した奈落人の川村詩亜が、みんなをうながしました。
「探索いたします」
 女王・蜂が、トレジャーセンスでこの屋敷にある紫月唯斗のお宝を探しました。なんだかあちこちにいろいろな反応がありますが、一番強い反応は天井から感じます。
「そこに何かあるのね。レッツゴーよ、翠ちゃん!」
「えいっ」
 ユーフェミア・クリスタリアに言われて、及川翠が壁を蹴っ飛ばしました。とたんに、ドスンと天井から階段が下りてきます。
「すごーい、行ってみよー」
 そう言うと、川村詩亜が川村玲亜の手を引いて、及川翠たちの後について階段を上っていきました。
 辿り着いたのは屋根裏部屋です。
「再度、探査いたします」
 女王・蜂が、再びトレジャーセンスで屋根裏部屋を探しました。そして、何か、本のような物を見つけます。
「これは、なんでございましょうか?」
 女王・蜂が、見つけだした本を広げて皆に訊ねます。そこには、たっゆんな女の子たちが、それをほっぽり出しているグラビア写真が満載されていました。
「あー、写真が一杯なの。これがじゅうこん忍者さんのお宝なのー」
 興味津々で、及川翠が写真集を手に取りました。
「他に何か写真はないのー?」
 そう及川翠が言うと、突然天井から何かがぶら下がってきました。
「ヌハハハ! 我が名は正義の改造人間マスク・ザ・ニンジャ!! ささ、これを……」
 そう言って、マスク・ザ・ニンジャが数枚の写真を差し出しました。
「この写真はー」
 それを見て、思わずユーフェミア・クリスタリアが驚愕します。そこには、様々な女の子たちと、いけないことやキャッキャウフフを繰り広げている紫月唯斗の姿が映されていました。もちろん、これは紫月唯斗を脅迫して、アワビ養殖の新たな資金源とするためのマネキ・ングの捏造写真なわけですが、そんなことは本人以外には分かるはずもありません。こういうときは、本人の普段の行動がものをいうのです。
「残念なことに、私ではこの秘伝写真に秘められた改造情報は読み解くことができなかった。いったい、この写真から導き出される答えとはなんなのだ?」
 この写真に画像コードとして自身の新たなる改造計画が秘められていると、勝手に思い込んだマスク・ザ・ニンジャが訊ねました。
「そうですねー、いろいろな人に聞いてみましょう。ポチッと」
 ユーフェミア・クリスタリアはそれらの写真を、携帯を使って写メとしてミリア・アンドレッティに送ってしまいました。
「やれやれ、もっと他の者たちにも聞くべきであるのだな」
 そう言い残すと、マスク・ザ・ニンジャがまた忽然と姿を消してしまいました。
「ようし、もっとお宝を探すよー。探検だー」
 調子を上げて及川翠が拳を振り上げて叫びました。紫月唯斗邸を丸裸にする気満々です。

    ★    ★    ★

 場面は変わって、こちらは台所です。
 ここでは、エクス・シュペルティアが、紫月睡蓮に手伝ってもらって、せっせと料理を作っていました。
「私もお手伝いします。いろいろとおせちも持ってきましたので」
 そう言って、イブ・シンフォニールがお手伝いを始めました。
 そこへ、なぜかマネキ・ングもやってきます。
「我にも少し手伝わせてくれぬかな。事前に、食材は届けてあるのだが」
「ええと……」
 なんだか不安を感じて、紫月睡蓮がエクス・シュペルティアの方を見ました。
「大丈夫、アワビと餅を焼くだけであるからな。おお、あったあった」
 そう言うと、返事を待たずにマネキ・ングが真新しい冷蔵庫を開けました。中には、山ほどのアワビと鏡餅、それと、なぜかプリンが入っていました。
 こんな冷蔵庫いつ買ったんだろうかとエクス・シュペルティアがちょっと頭をかかえます。またぞろ紫月唯斗の衝動買いでしょうか。まったく、イコンの改造なと、お金の使いすぎです。
 買った記憶がないのもあたりまえでした。実は、この冷蔵庫は、先だってマネキ・ングが紫月唯斗邸に潜入させていたエージェント、冷蔵子だったのです。
「では、さっそく焼くとするかな」
 マネキ・ングは、活きのいいアワビと、クネクネ動く活きのいい鏡餅を台所で焼き始めました。