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【ニルヴァーナへの道】ツミスクイ 脱ノ章

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【ニルヴァーナへの道】ツミスクイ 脱ノ章

リアクション


chapter.17 罪救い 


 葦原明倫館、校長室。
 ここに晴明を呼び寄せたのは、他でもないハイナだった。地下城の探索とハルパーをめぐる戦いから、数日が経っていた。
 あれから地下城には再度探索隊の手が入り、中で倒れていた寺院の忍は残らず逮捕された。宗吾の証言通り、千住とお華も遺体で見つかった。
 行方をくらましていたつかさや雄軒、そして探索隊にも牙を向けた椋らの処分は会議の結果、既に放校処分を言い渡されていたためそれ以上の処罰は下されなかった。
 実際に彼らがハルパーを持ち出していたならば、また違った結果になったのかもしれない。
 宗吾と神海のふたりは、多くの罪に問われ、服役させられることとなった。その時の晴明の心中は、計るに忍びない。いや、それを言うならば、自分が間接的にとどめを刺したあの広間での時の方がより心の痛みは激しかっただろう。

「晴明」
 ハイナが名前を呼ぶと、晴明はハイナの方を向いた。
「この度は、すまなかったでありんす。今回のことは、わっちにも責任があるでありんす」
 先遣隊に内通者が潜んでいたこと、宗吾らの本質を見抜けなかったことをハイナは詫びた。
「晴明……本当は今回の依頼は、晴明に成長してほしかったから指名したでありんす。けれど、裏目に出てしまったでありんすね」
 ハイナは悔いていた。しかしそれはどうだろうか。仮にハイナがこの五人を今回の依頼に呼ばなければ、晴明は彼らの本当の姿を知ることはなかった。それは果たして、幸福なのだろうか。
「大丈夫だよ」
 数日で傷が癒えるはずはない。晴明のそれは強がりだろう。瞳に落ちた影が、その証拠だ。彼はゆっくりと立ち上がると、ハイナの方に歩み寄った。
「晴明? どうしたでありんすか?」
「変わってないわけじゃない」
 そう言って、次に彼はハイナの肩をぽん、と叩いた。
「晴明!?」
 人に触れることを頑なに避けていた晴明だったはずなのに。ハイナは驚きを隠せなかった。晴明はそのまま戸を引くと、部屋を後にした。
 今の自分は、きれいな人だろうか。
 晴明は戸を閉めた後、ぼんやりとそんなことを思った。今はもう聞けない人にこそ、その質問を投げかけてみたい。それが無理なのは分かっているが、もし答えが返ってきて、それがどちらであっても、晴明は素直に信じられる気がした。


担当マスターより

▼担当マスター

萩栄一

▼マスターコメント

萩栄一です。初めましての方もリピーターの方も、今回のシナリオに参加して頂きありがとうございました。
リアクションの公開が遅れてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

今作は、「前編と後編で明暗をつけ、話が進むにつれネガティブな感情を刺激したい」というコンセプトがありました。
疑うことを半ば強いるという、皆さん側からみれば心苦しいアクション作成だったかと思います。
しかしたまにはこういった趣向のものも面白いのではないかと思いやらせていただいた次第です。

なお今回すべてを完璧に的中させた方は、前編での情報の少なさもありいませんでしたが、
晴明を含めた葦原五人組の敵味方、ハルパーの場所に関して、神海のことに関してなど、
それぞれで私信を含め当ててきた方がいて驚いたと同時に感服しました。

また、今回リアクション内での時系列や各キャラの心情の都合上、
明らかに不自然であるとこちらで判断したものに関しては多少の没やアレンジが入ったことをご了承ください。

今回の称号は、MCLC合わせて3名のキャラに送らせて頂きました。
ちなみに称号の付与がなくても、アクションに対する意見などを個別コメントでお送りしているパターンもございます。

次回のシナリオガイド公開日はまだ未定です。
詳しく決まりましたらマスターページでお知らせします。
長文に付き合って頂きありがとうございました。また次回のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。