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リアクション
第三章 龍騎士シオメンの襲撃3
「龍騎士……だと? どうなってるんだ?」
蒼空学園橘 恭司(たちばな・きょうじ)は葦原明倫館分校長ティファニー・ジーン(てぃふぁにー・じーん)を連れて、マホロバ城下から空を見上げていた。
「か、かっこいいデスー!」
「ティファニー? そんな悠長なこといってる場合じゃない。あいつは、危険なやつだ」
恭司はメガネ越しに目を細めている。
「しかも、将軍や主力兵がいなくなったのを見計らって来たんだ。だとすると……狙いは何だ?」
恭司は龍の影が迷いもせずにマホロバ城へと向かっていることに気がついた。
「まさか、大奥の子供……か? だとしたら大変だ。大奥に龍騎士の攻撃を防げる奴なんていないだろう……ティファニー、俺たちもいくぞ!」
「行くってドコへですか?」
「決まってんだろ、大奥だよ」
「大奥ぅ!?」
ティファニーはあからさまに嫌そうな顔をして、恭司に「任せた」といって去ろうとしている。
彼はティファニーの腕をつかんだ。
「待てよ、いいか。お前はサムライに憧れてるんだろう? サムライってのは決して仲間を見捨てないヒーローだ。ここで逃げたら、お前はヒーローじゃなくなるぞ」
「……うう、それはイヤデス」
「目標は大奥にいる子供たちを救い出すことだ……やれるな?」
恭司に気倒されて、コクリと頷くティファニー。
彼はよしよしとティファニーの頭をなでた。
「いい子だ。俺が先行するから逸れないように付いてくるんだぞ」
恭司達はマホロバ地下から場内を目指す。
卍卍卍
「このままじゃ、大奥が危ないよ。ボクたちも逃げたほうがいいのかな?」
御根口で錠の預かっている
鏡 氷雨(かがみ・ひさめ)と
竹中 姫華(たけなか・ひめか)。
彼らにはいち早くこの情報が伝わっていた。
「ううん、だめだよ。もし、龍騎士以外にも瑞穂の伏兵がいたら、私たちが足止めしないとね」
姫華があたりの様子をじりじりと伺っている。
どうやら中奥や表のほうもようやく気づいたようだ。
「まったく、対応が遅いんだから。長いこと平和で戦らしいこともなかったんだから、仕方ないのかもしれないけど」
戦国の名軍師と呼ばれた竹中半兵衛の英霊である姫華には、この状況に苛立つのも当然だろう。
一方で氷雨は、いつでもマイペースだった。
「うーん、ねえ姫ちゃん。この騒ぎが収まったら、また皆で宴でもしたいねー。今度は、将軍様や他の人にも聴いてもらいたいんだあ〜」
と、氷雨は楽しい構想を語りだす。
「ボク、新しいコスチュームはうさみみ系がいいなあ。あ、制服系も定番で良いかなあ。意表をついて海賊コスとかも楽しそうだなあ……いいんだ、ばかやって。皆が、笑顔になれればそれで良いや」
「氷雨くん……」
「うん、その為にも頑張らないとね!」
程なく、外から地響きが聞こえてきた。
続いて悲鳴だ。
大奥で人々がパニックを起こしかけている。
「ちょっと……ここ、通らせてもらうぜ!」
大太刀を携えた恭司とティファニーが御根口へと差し掛かった。
氷雨がすばやく錠を外し、二人を通してやる。
「金髪の女の子を連れたお兄さん? うん、助けてあげて! ここはボク達が守るから、悪い人は絶対に通さないからね。ボクだって、守りたいものはあるんだ!」
「うん、頑張ろうね。氷雨君の願い、私も手伝うよ」
氷雨と姫華は手を繋ぎ、鎖を作るように扉の前に立ちはだかった。
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