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まほろば遊郭譚 第二回/全四回

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第八章 桜下の再会2

 扶桑の都。
 大きな橋の真下に彼らはいた。
コトノハ・リナファ(ことのは・りなふぁ)、そして蒼天の巫女 夜魅(そうてんのみこ・よみ)。お前達はマホロバの人達にとって大切な存在を傷つけたんだ。暴れたら容赦なく討つぞ」
 如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、強化したガンブレード型の両剣を向ける。
 コトノハと夜魅は抱き合ったまま、震えていた。
「どういった事情であれ、シャンバラの契約者が扶桑を燃やしたという事実は、消せるものじゃない……これ以上扶桑をやらせるわけにはいかない」
「あたしはおねえちゃんを助けたかっただけなのに……」
 夜魅は苦しそうにつぶやく。
「ほんとうのおねえちゃんを取り戻したいの」
「まだ言ってんのか。俺にとっても、友人の刀真や取り込まれた白花達は大切な存在だ。それを攻撃して、どうして彼らが助かるんだ? 現に、扶桑がさらに傷つき、中にいる白花達の安否さえわからない。国家神を失ったマホロバ人がどうなるかも、想像できなかったのか? 」
「……ごめんなさい」
 夜魅は謝ったが、それが嫌々であるのは正悟には分かった。
 彼はコトノハに言った。
「ふたりとも幕府に突き出す」
「待って、私も扶桑を何とかしたいの! 助けたいのよ」
 コトノハが夜魅をかばった。
 しかし、正悟は冷静に言い放つ
「一番の問題はな、夜魅本人ではなく、母親役でありパートナーであるコトノハ、あんただよ」
「そんな、私は姉妹の絆を信じたいのよ。いいわ、再び夜魅が扶桑に危害を加えようとしたら私を殺しなさい!ただし、私を殺すことは4人の命……罪の無いお腹の子も奪うことも覚悟して下さい!」
「どうして俺が殺人者にならなきゃいけないんだよ?」
 コトノハのいう理屈は、単に彼女が死にたがっているとしか思えなかった。
「あんたがそんなだから、夜魅も不安定になるんじゃないのか? 母親になるやつが、腹の子を命を盾にして脅すのか。その子はずっと母親は自分を守ってくれないのかと怯えるてるんだぜ?」
 正悟は二人に訴える。
「俺も扶桑に思い入れがあるわけじゃねーが、仲間が取り込まれてるんだ。どんな手を使っても絶対に守る。悪く思わないでくれよ」
 コトノハがうなだれて言った。
「罪を犯したセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)たちは恩赦を受けたのに、これからマホロバに対して貢献しようとしてもダメなの?」
「あんたがそう思っていればその機会もあるさ。まあ、見てな」
 正悟は二人を扶桑が見える丘に連れて行った。
「みんなが一生懸命やっている。助けたいって気持ちは同じだよ」
 彼らは、その一部始終を見つめていた。